OKYO MX(地上波9ch)の情報バラエティ生番組「5時に夢中!」(毎週月~金曜17:00~)。3月26日(木)放送の「中瀬親方のエンタメ番付」のコーナーでは、新潮社出版部部長の中瀬ゆかりさんがおすすめのエンタメ作品を番付形式で紹介しました。
【“中瀬親方”による2026年3月のおすすめ作品】
◆関脇
映画「旅立ちのラストダンス」
5月8日(金)全国ロードショー
香港映画興収歴代1位。さらには映画賞レースも席巻。香港の葬儀業界を舞台に、死の送り方を通して生きる意味を問いかけるヒューマンドラマ。
<注目ポイント>
破地獄がつなぐ香港版「おくりびと」
中瀬親方のコメント「本作は、コロナ禍で借金を抱えた元ウェディングプランナーのトウサンが葬儀業者への転身を余儀なくされるところから始まります。(彼は)華やかな結婚式とは正反対の死を送る仕事に最初すごく戸惑うんですけど、葬儀道士のマン師匠という人とともに葬儀を取り仕切ることになるんです。
伝統を重んじる頑固なマン道士と、利益優先でとにかくお金が欲しいトウサンは価値観の違いから最初は衝突ばかり繰り返すんですが、さまざまな葬儀に立ち会い、香港の無形文化遺産にも登録されている道教の伝統の儀式“破地獄”を行うマン道士の姿を見るうちに、少しずつ2人の距離は縮まっていきます。
また、マン道士には跡継ぎ息子と救命隊員をやっている娘さんがいるんですけど、その家族関係も実はちょっと問題を抱えていて、それがさらにこのドラマを深く彩っているんですね。やがてトウサンの中に『葬儀は死者のためだけのものではない』という考えが芽生え始めた矢先、物語は衝撃の展開を見せていきます。
香港の葬儀文化の独特さに引き込まれますが、中でも“破地獄”という死者を地獄から救う儀式のシーンは本当に圧巻で、トウサンの『生きる者にこそ破地獄の救いが必要なんだ』という言葉には、思わず心を揺さぶられてしまいました。
香港で歴代興行収入ナンバーワンを記録した大ヒット作で、伝統と現代の価値観がぶつかり合う中で描かれる、死を通して生きている人の魂を救うという視点がじんわりと心に残る一作です。
生者と死者のエピソードの中でも、美しい死者とその恋人のお別れの物語や我が子の遺体を保存し続ける母親の話は必見ですし、とにかく主演のダヨ・ウォンさんと重鎮マイケル・ホイさんという2人の喜劇俳優の演技は圧巻で、ラストシーンはいつの間にか滂沱の涙が。ぜひ劇場の壮大なスクリーンで香港の伝統文化の感動体験をしてみてください。非常にいい映画でした」
◆大関
漫画「ねこいぬ漫画かき 1」
著:西原理恵子(新潮社)
月刊「小説新潮」に連載中。保護犬と3匹の老猫、そして毒舌の母・淑子とのかけがえのない日々を描いた西原理恵子さんのハートフルコミック。
<注目ポイント>
賑やかでちょっと切ない愛おしい動物家族
中瀬親方のコメント「この作品には、サイバラさんの家に保護犬としてやってきた、怖がりで人見知り、人間は大好きだけど犬が嫌い、外も苦手で散歩すら一苦労するゴールデンレトリバーの“ぽんさん”が、気まぐれな猫たちが好き放題やっている中で少しずつ家になじみ『お母さん』と呼ぶサイバラさんのもとでたくましくなっていく姿が描かれています。
(ぽんさんは)ばあちゃんの手をたまにかじったり、なんでもくわえてしまう。リンゴも丸飲みしちゃったり、いろいろと手はかかるんですけど、その愛嬌には毒舌の母・淑子さんも思わずほだされるんです。
一方で、日々サイバラの執筆の邪魔をする、営業部長であるアメリカンショートヘアの“文田文治”さんと、どこでも構わずうんこする奥さんの“菊美”さん、そして息子の“こぶ”ちゃんといったクセの強いニャンコも健在で、ぽんさんはそんな古参メンバーたちに翻弄されながらもサイバラ家らしい賑やかな日々に溶け込んでいくんです。
毒とユーモアが絶妙に効いた楽しい動物漫画でありながら、その奥には“生き物と暮らす”というリアルもちゃんとあって、特に1巻の最後のシーンでは“ぽんさん”の名前にまつわるちょっとした切なさがにじんでいて、笑いの中に小さな余韻を残す感じに胸を打たれます。
サイバラの「わたしのはじめての犬、金色のいぬ」との決して長くはなかったきらめく幸せな日々を描いたこの作品は、もう幸せであればあるほどサイバラ得意の笑いと叙情が爆発する傑作で、本当に幸せなシーンを読めば読むほど私は涙腺が緩みまくりました。
賑やかで愛おしい中に切なさがじんわり広がって、猫・犬好きなら必読の感動の一冊。ぜひ味わっていただきたいですね。
ちなみに、私は自他ともに認める超猫派だったんですけど、この作品で完全に二刀流に変わりました。犬も大好きになっちゃいました!」
◆横綱
エッセイ「虚弱に生きる」
著:絶対に終電を逃さない女(扶桑社)
SNS を中心に話題沸騰の作品。虚弱体質の作家・絶対に終電を逃さない女さんの実体験をつづったサバイバルエッセイ。
<注目ポイント>
虚弱とがっつり向き合う彼女の大変さと、漂うユーモア
中瀬親方のコメント「これは、21歳の頃から過眠、頭痛、体力低下など日常に支障が出るほどの虚弱体質を抱える著者・絶対に終電を逃さない女さんが“健康”というスタートラインを目指して生きる日々をつづったエッセイです。
“虚弱エッセイ”というジャンルが本当にあるのか!? 絶対に終電を逃さない女さんがその始祖みたいなものなのかもしれませんが、彼女は大学 3年生の秋に突然、異常な体力低下に襲われるんです。そして、不眠や強い疲労、集中力の低下に悩まされます。
(やがて彼女は)友達と食事をした翌日は本当に何もできないほど体力が消耗してしまうようになるんです。それなのに、どの病院で検査をしても原因不明で病気も何でもない。
しかも、あまりにも虚弱なため就職もできず、障害者支援の枠でもないという、どこにも属せない生きづらさを抱えながら、筋トレや食事管理などあらゆる方法で日常を取り戻そうとするんですね。
そんな彼女の日常に「こんな人生あるんか!」と終始驚かされるんですけど、一方でその語り口は“虚弱状態”というものすごくシリアスなことにも関わらず軽やかに書いてあって、例えば膝の痛みがひどかった日常を『膝、膝、膝、世界の中心が膝になった』と言ったり、効果が薄れていた健康法を『私の意思に反して私の体が不健康になりたがっている』と言ったり。自身の不調をユーモラスに、でもどこか客観的に見つめる視線が印象的で、無理に前向きにならず、今の自分の状態を過度に憐れみすぎず、その絶妙な距離感がリアルな生きづらさを浮かび上がらせているところも本作の魅力になっています。
彼女は生きるために (1日)10時間寝ないといけない。そして、(ご飯は)ゆっくり食べるので3食で何時間もかかるし、家事もゆっくり丁寧にやっている。(それらを除いた)わずかな残り時間の中、たった4時間仕事をするだけで(体力の)全てが費やされるので収入もめちゃくちゃ少ない。
そんな彼女の 24時間は、私は“生命の時間割”を聞いたような気がして、よく『丁寧に生きよう』みたいなことを軽く口にしちゃうけど、そんな口先の綺麗事じゃなく(彼女は)体現されていることに震えるようなエッセイでした。
“原因不明の不調”という見えない苦しさと、それでも生きていくための試行錯誤を淡々としながらも彼女の芯の強さを感じさせる、ものすごく興味深い一冊でした。“虚弱エッセイ”と名付けられたこのジャンルは誰もが未体験ゾーンだと思うんですけど、人生観がちょっと変わるくらいの読書体験ができることをお約束します。
そして、このユーモアセンスと文才には本当に脱帽です。ぜひ読んでみてください」
中瀬さんが推す3作品、ぜひチェックしてみてください! 毎月最終木曜日に発表するこのコーナー、次回4月のエンタメ番付は、4月30日(木)にお届けする予定です。お楽しみに。
※この番組の記事一覧を見る
楽天グループの無料動画配信サービス「Rチャンネル」に「TOKYO MXチャンネル」が開設!
「5時に夢中!」も、リアルタイムで全国どこからでもお楽しみいただけます!
<番組概要>
番組名:5時に夢中!
放送日時:毎週月~金 17:00~18:00 <TOKYO MX1>
メインMC:垣花正、大島由香里
アシスタントMC:ミッツ・マングローブ(金)
番組Webサイト: https://s.mxtv.jp/goji/
番組X(旧Twitter): @gojimu
番組Facebook:https://www.facebook.com/5jinimuchuu





