このままでは消失も…日本の伝統芸能の危機、乗り越えるためには? 狂言師の和泉元彌とともに考える

2026.03.20(金)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週金曜21:00~)。放送では“日本の伝統芸能の未来”について、狂言師の和泉元彌さんを迎え議論。後半の今回は、日本の伝統芸能の危機を乗り越えるための提言を行いました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週金曜21:00~)。放送では“日本の伝統芸能の未来”について、狂言師の和泉元彌さんを迎え議論。後半の今回は、日本の伝統芸能の危機を乗り越えるための提言を行いました。

◆地方の伝統芸能、深刻な現状

歌舞伎を含めた日本の伝統芸能をとりまく環境は変化し、今、大きな岐路に立たされています。そんな日本の伝統芸能を守っていくためにはどうすればいいのか。今回は社会起業家の白井智子さん、統計家の西内啓さん、哲学者で津田塾大学教授の萱野稔人さん、そして狂言師で俳優の和泉元彌さんとともに議論しました。

前半はコチラ

日本の伝統芸能が抱える課題は、前半で挙げた「鑑賞への高いハードル」と、「担い手不足」です。

文化庁の資料によると、能楽協会の会員数は 2002年をピークに年々減少。国立劇場の伝統芸能伝承者養成事業における歌舞伎俳優への応募者数も1994年をピークに減少傾向にあり、ここ数年は一桁台が続いています。

さらに、地域の伝統芸能も存亡の危機にあります。取材したのは、千葉県成田市にある「伊能歌舞伎保存会」。千葉県唯一の農村歌舞伎で、320年の歴史を誇る“伊能歌舞伎”を受け継いでいます。

現在の会員は15人で、市の無形文化財の指定を受け、11月に無料の定期公演を行っています。しかし、同会の堀越副会長によると、運営予算は市からの助成がほとんどで、時に足りなくなることも。かつては市内を中心とした多くの企業が協賛してくれましたが、コロナ禍を機にその数はゼロに。舞台だけでなく、備品の維持・管理にも費用がかかるため、やりくりに一苦労しているそうです。

また、悩みはお金だけではなく担い手不足も。会員の平均年齢は60代後半と高齢化。若い人の担い手募集を行うものの、なかなか入会する人がいないとか。

深刻な担い手不足に萱野さんは「例えば、小学校の学芸会などで伝統芸能をやってもいいのかなと思う」と提案。「やってみるとスゴさなどがわかるし、そういった経験が少しでもあると伝統芸能に対する関心も高くなる」とその理由を語ります。

和泉さんは早い段階で伝統芸能に触れることに賛同しつつ問題点も示唆。「伝統芸能は“型”がある世界なので、それを教えることができる人がどれだけいるか」と懸念しながらも「でも、それがきっかけで地元の保存会の方を外部の先生として呼んで、コミュニケーションが取れれば素敵なことだと思う」とも。

そうした中、伝統芸能の維持や継承に向けた取り組みも行われています。

能楽協会や日本芸術文化振興会、文化庁はメタバース空間での能楽体験を主催。日本の四季をテーマとした展示空間を期間限定で開設しました。また、立命館大学はモーションキャプチャーを利用して舞踊動作をアーカイブ化しており、舞踊研究に取り組んでいます。そして、歌舞伎や能楽は「ONE PIECE」や「鬼滅の刃」といった漫画やジブリ作品などとコラボし、大胆なアップデートが大きな話題を呼んでいます。

◆伝統芸能を守っていくためには…

では、日本の伝統芸能をどう守っていけばいいのか。今回の議論をふまえ、参加者が提言を発表します。

まず西内さんは“UX”。「要するに顧客体験。チケットを買うところから観覧する時の環境、それこそ飲食までアップセルするなど総合的に設計することができれば、お客さんを集め、産業として回ると思う」と主張。

続いて萱野さんは“鑑賞方法の多様化”。「例えば、そこでしか飲めないお酒がある、そこでしか食べられないものを食べながら観るとか、カジュアルに観るなど鑑賞方法の多様化をやる余地があると思う」と言います。

一方、白井さんは“子どもが伝統芸能を知る「場」を・時代に合わせたイノベーション”。「娘と歌舞伎に行ったんですが、三谷幸喜さんの新作歌舞伎が一番楽しかった。そういうイノベーションはちゃんと子どもにも響く」と自身の経験をもとに若者がアクセスできるような環境づくりを切望。

そして、和泉さんは“心・土に返す”。「“土に返す”というのは先代が言っておりまして、(伝統芸能は)高尚なものになりすぎたと。床の間に置いておくものではなく、皆さんの身近にあるものになるようこれからは土に返していく作業が必要だと言っていた」と先代の言葉を紹介。

さらには「型やルールは自分たちが大切に守っているものだが、それは心を伝えるために伝承されてきているので、何よりも心を感じようと思って観に来ていただければ、約束事がわからなくても昔の人が作り上げて伝えてきた心に触れていただけると思う」と話していました。

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<番組概要>
番組名:「堀潤激論サミット」
放送日時:毎週金曜 21:00~21:25 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
TVer」で放送後1週間Tverにて無料配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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