中瀬親方が敬愛する松本清張の評伝の決定版! 恋愛模様まで綴られた「松本清張の昭和」

2026.03.14(土)

11:50

TOKYO MX(地上波9ch)の情報バラエティ生番組「5時に夢中!」(毎週月~金曜17:00~)。2月26日(木)放送の「中瀬親方のエンタメ番付」のコーナーでは、新潮社出版部部長の中瀬ゆかりさんがおすすめのエンタメ作品を番付形式で紹介しました。

TOKYO MX(地上波9ch)の情報バラエティ生番組「5時に夢中!」(毎週月~金曜17:00~)。2月26日(木)放送の「中瀬親方のエンタメ番付」のコーナーでは、新潮社出版部部長の中瀬ゆかりさんがおすすめのエンタメ作品を番付形式で紹介しました。

【“中瀬親方”による2026年2月のおすすめ作品】

◆関脇
書籍「ひのえうまに生まれて─300年の呪いを解く─」
著:酒井順子(新潮社)


自身も丙午生まれの著者・酒井順子さんが、古くから日本に根強く残る“丙午の迷信”を300年の歴史から読み解いていく1冊。

<注目ポイント>
日本最大の迷信とその解体新書

中瀬親方のコメント「今年は60年に一度巡ってくる“丙午”の年で、古くから“丙午生まれの女性は気が強い”とか“(丙午生まれの女性は)男を食い殺す”とか散々なこと言われてきましたけど、本書ではこの丙午伝説が当時の社会観や女性観の裏側とどう結びついていたかを歴史を辿りながら読み解いています。

まず、丙午の起源とされているのは、言わずと知れた『八百屋お七』ですよね。彼女は1666年の丙午生まれで、恋に焦がれて放火事件を起こした人物です。陰陽五行説では、十干の丙も十二支の午も火の気を持つことから、当初(丙午)は“火事が多い年”という迷信が中心だったんですが、次第に“丙午の女性=男を食い殺す”といった迷信が増えていくんですね。当時の芝居や小説にもそう書いてあったりします。

そして、驚くのは1966年。(丙午伝説の)起源から300年経っているにも関わらず、この年の出生率がグッと落ち込んでいるのがデータを見るとわかるんです。それだけこの迷信の根が深いというか、(今から)60年前でも根が深いこともよくわかるんですよね。

さらに、明治時代には丙午生まれという理由だけで縁談が破棄される女性も少なくなかったそうです。人生の選択肢がまだ少ない時代に迷信に将来を左右される、その苦悩の大きさも感じました。

ただ、巻末には同じ丙午生まれの鈴木保奈美さんたちとの鼎談、「丙午に生まれて誇らしかったよ!」なんて楽しいトークもあり、時代が変わったことを実感できます。

300年続いた呪いは一体何だったのか。迷信の裏に潜む歴史・社会的背景を描いた解体新書は非常に興味深く、勉強にもなり、(読むと)誰かに話したくなります。

今年は60年に一度の丙午。この丙午という年がどういうふうに言われ、どうだったのかを知るいい機会だと思いますので、ぜひみなさん読んでみてください」

◆大関
映画「正義廻廊」
公開中


香港で実際に起こった事件とその裁判を描いた作品で、香港映画界を席巻した超話題の法廷サスペンス映画。

<注目ポイント>
衝撃と恐怖の実話法廷ダークスリラー

中瀬親方のコメント「本作は2013年に香港で実際に起きた両親殺害事件を元にしていて、すでに判決も出ている話を題材にした法廷サスペンス映画です。

エリートの兄を持つ“ヘンリー”という男がいるんですけど、ある時、彼がネットに投稿した『行方不明の両親を探している』という書き込みが拡散するんですね。しかし後日、投稿者であるヘンリーが両親殺害を自白し、逮捕されるという驚きの展開になるんですけど、そこから物語が始まります。

ヘンリーの供述を元に、警察は彼の友人の“アンガス”という男性の家を捜索すると、冷蔵庫から遺体の一部が発見され、アンガスも身柄を拘束されます。

そして、事件は世間の注目を集める法廷へといくんですけど、当初は(ヘンリーとアンガスの)共犯で決着するに違いないと思われたものの、裁判が始まると2人の供述は真っ向から対立するんです。

アンガスは『全てはヘンリーの計画だった』、『自分は脅かされただけ』と無実を主張します。そして、41時間に及ぶ厳しい取り調べの実態、暴力的な行為とか、メディアの過熱報道とかもありつつ、証言が二転三転するたびに真実が揺らぎ、陪審員を惑わせます。

それぞれの思惑が交錯する中、“疑わしきは罰せず”という原則の下、公判では新たな証言を皮切りに判決へと大きく展開していきます。

すでに判決の出ている実話でありながら、観客の視線を最後まで離さない構成力は圧巻で、法廷・陪審・メディア・警察という複数の視点を丁寧に描くことで単なる猟奇事件ではなく、社会が下す裁きそのものに主軸を置いた社会性の高い作品になっているんですけど、これを撮ったのは新人監督なんです。ベテランさながらの演出力で数々の新人賞を総なめにしたのも納得の完成度でした。

観ている自分も陪審員のひとりとして、“正義の重さ”を突きつけられるような胸の引き締まる怖い映画で、思わず目を背けたくなるようなグロいシーンもありますが、単なる犯人探しでは終わらない、緊迫の裁判の結末を陪審員のひとりになった気持ちでいろいろ考察しながら観てほしいです。ラスト辺りの考察は盛り上がると思うので、誰かと一緒に観てほしいなと思う映画でした」

◆横綱
新書「松本清張の昭和」
著:酒井信(講談社)


国民的大作家・松本清張の激動の生涯を丹念にたどった酒井信さんの話題作。

<注目ポイント>
逆境にも負けない生き方、清張評伝の決定版

中瀬親方のコメント「私も松本清張で本好きになったと言っても過言ではないぐらい清張のファンなんですけど、この作品は松本清張の壮絶な半生を彼が生きた“昭和”という時代背景と重ねて丁寧に描いた評伝作品です。

“極貧”といってもいいぐらい貧しい家庭に生まれた清張は、経済的事情から中学校に進学できず、高等小学校卒業後すぐに印刷学校に給仕として奉公に出ます。そこで年下に使われる屈辱的な日々に苦労するんですが、持ち前の向上心と、もともと優秀なので職人として頭角を現していくんですね。

やがて一人前になると、朝日新聞の支社長宛に毛筆で履歴書を送るという大胆な行動に出ます。その結果、数日後には下請け業者として契約することができ、後に正社員になるんですが、そこで立ちはだかるのがやっぱり“学歴差別”という壁だったんです。

そして、この鬱屈を突破すべく書いた『西郷札』という作品が週刊朝日の懸賞小説に入選して、そこから人生が変わっていくんです。ほうきの仲買など副業を掛け持ちしながら家族を支えていた下積み時代など、その人生が全部作品の血肉となって、芥川賞受賞から国民作家への道へとつながっていきます。

貧困や差別といった逆境を創作の燃料に変えていく清張のすごさはもちろんですが、これまであまり語られていなかった幼少期や思春期以降の恋愛まで詳細に書いた本はめちゃくちゃ珍しくて、まさに清張評伝の決定版と呼びたくなるような1冊です。

松本清張という名前は知っているけど、どういう方なのか知りたい人はまずこれを読んでほしいし、私のようにすでに愛読している方もこれを読めば彼の作品に対して『あの作品、この視点から読み返してみよう!』とまた読みたくなると思います。『ここが人生とリンクしているのか!』というのを発見したくなる、そんな作品になっています。

ぜひみなさん、松本清張の原点に触れて、清張作品を10倍楽しんでください」

中瀬さんが推す3作品、ぜひチェックしてみてください! 毎月最終木曜日に発表するこのコーナー、次回3月のエンタメ番付は、3月26日(木)にお届けする予定です。お楽しみに。

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<番組概要>
番組名:5時に夢中!
放送日時:毎週月~金 17:00~18:00 <TOKYO MX1>
メインMC:垣花正、大島由香里          
アシスタントMC:ミッツ・マングローブ(金)
番組Webサイト: https://s.mxtv.jp/goji/
番組X(旧Twitter): @gojimu
番組Facebook:https://www.facebook.com/5jinimuchuu

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