江戸の粋と鮮やかな伏線回収、さらには絶妙なテンポ感! 映画「木挽町のあだ討ち」の魅力を中瀬ゆかりが熱弁

2026.02.14(土)

11:50

TOKYO MX(地上波9ch)の情報バラエティ生番組「5時に夢中!」(毎週月~金17:00~)。1月29日(木)放送の「中瀬親方のエンタメ番付」のコーナーでは、新潮社出版部部長の中瀬ゆかりさんがおすすめのエンタメ作品を番付形式で紹介しました。  

TOKYO MX(地上波9ch)の情報バラエティ生番組「5時に夢中!」(毎週月~金17:00~)。1月29日(木)放送の「中瀬親方のエンタメ番付」のコーナーでは、新潮社出版部部長の中瀬ゆかりさんがおすすめのエンタメ作品を番付形式で紹介しました。
 

【“中瀬親方”による2025年11月のおすすめ作品】

◆関脇書籍
「愛し、愛され。」
著:毒蝮三太夫・玉袋筋太郎(KADOKAWA)


卒寿を迎える毒蝮三太夫と還暦目前の玉袋筋太郎の2人が自身の人生経験から生きづらい今の世の中までを語り尽くす、笑えて、ジーンとする対談本。

<注目ポイント>
軽妙な掛け合いで爆笑必至、毒と優しさの人生論

中瀬親方のコメント「本作は全5章にわたってお互いの半生を振り返り、“生きづらい現代をどうやって生きていくのか”、そして“老いとどうやって向き合っているのか”を軽妙な掛け合いで綴った一冊です。

第1章で“愛のない優しさよりも心のこもった罵詈雑言”という印象的な言葉が登場するんですけど、毒蝮さんといえばコンプラが厳しい現代においても“ジジイ”とか“ババア、まだくたばんねえのか!”とか平気で言っているのに全然炎上しないじゃないですか。

その理由を玉(袋)ちゃんは、『本当に優しい人は地べたからの目線がある』と言っているんですね。“地べたからの目線”、つまり上から目線じゃなくて、相手と同じ、もしくはそれより低い位置からの姿勢こそが優しさであって、(玉袋さんの)師匠のビートたけしさんもそんな人だったと語っているんですけど、玉ちゃんの真面目で温かい一面が垣間見られるのも本書の魅力となっています。

さらに、本書ではゴールを意識した生き方も大きなテーマになっていて、後半は今年90歳を迎える毒蝮さんの人生後半戦の過ごし方とか、老いとの向き合い方を還暦を迎える玉ちゃんに惜しみなく伝えていくんですね。

読者はいつの間にかこの2人の懐に迎えられて、声を立てて笑わされながらも心に染み渡る言葉が刺さってくるという名対談になっています。

『最近なんか生きづらいな』とか『人間関係って難しいな』とか、『どうやって年を取っていけばいいんだろう……』と悩んでいる人はもちろん、私たちの年代にとってもこれからの人生が少し明るくなる、生きるヒントが詰まった一冊となっています。

読むと『人生は気の持ちようひとつでまだまだやれることたくさんあんじゃん!』って目の前がパーッと開けた気分になる、そんな痛快な一冊でした」 

◆大関
書籍「しじんのゆうびんやさん」
作・斉藤倫 / 画・牡丹靖佳(偕成社)


「第63回野間児童文学賞」を受賞した詩人・斉藤倫さんの話題作。

<注目ポイント>
大人の心にも響く詩が紡ぐ、涙あふれる児童文学

中瀬親方のコメント「本作は、詩を書く郵便屋さんが街の人々の想いを詩にして届けていく心温まる物語です。舞台は小さな街の小さな郵便局で、働いているのはトリノスという男の子と窓口係のガイトーの2人だけなんですね。

ある日、トリノスが配達中に灯台守のおじいさんと出会うんですけど、『わしは手紙を一度ももらったことがない』と聞かされるんです。その話をガイトーに伝えたら、ガイトーはその見ず知らずの灯台守のおじいさんのために詩をしたためるんです。

決して達筆ではないけれど、心を込めて綴られた詩におじいさんは深く胸を打たれます。それは海と空のことを詠んだ詩なんですけど、正直、私もこの詩を読んで嗚咽を漏らしてしまったぐらい感動的な詩。これだけ読んでいただいてもこの本の素晴らしさがわかるはずなので、このページから読んでもらってもいいぐらいです。

とにかくそれをきっかけに、ガイトーは頼まれて、子どもから大人までさまざまな想いを抱える人たちのために詩を書いて、それをトリノスが街中に届けていくようになるんです。手紙として書かれる詩の言葉はもちろんなんですけど、物語全体に流れる空気そのものが1篇の詩のようで、終始優しく包み込まれるような気持ちで読み進められます。詩人ならではの言葉選びと世界観は大人の心にも響くものばかりで、子どもだけではなく、全ての年代の人に読んでもらいたいです。

例えば、『詩って難しいんじゃないの?』、『よくわかんないな』、『苦手だな』と思ってる人、あとは『言うても児童文学だから子ども向けでしょ』と思っている人もいるかもしれません。でも、そうやって読み始めた人ほど思いがけず胸を打たれることがある。まさにその一冊なんですね。美しい日本語が織り成す優しい物語体験、ぜひ味わってみてください」

◆横綱
映画「木挽町のあだ討ち」
2月27日(金)より全国公開


直木賞と山本周五郎賞のダブル受賞という快挙を成し遂げた永井紗耶子の同名作品(新潮文庫刊)を見事に映像に落とし込んだ源孝志監督の話題作。

<注目ポイント>
あだ討ちに隠された極上の江戸人情ミステリ

中瀬親方のコメント「本作の舞台は江戸時代の木挽町。今の東銀座の辺りですかね。そこの歌舞伎の芝居小屋・森田座で『忠臣蔵』が超満員の千穐楽を迎えた直後、近くで美濃遠山藩士・伊納菊之助が父を殺して逃亡していた男・作兵衛の首を討ち取ったところから物語は始まります。

この一連の出来事は大勢の見物客の眼前で行われたために、この事件は“木挽町の仇討ち”と言われて江戸の語り草となるんですね。

それから1年半が過ぎ去ります。同じ遠山藩で、菊之助の縁者を名乗る宗一郎という人間がある日、森田座を訪れるんです。宗一郎はこの仇討ちにいくつもの違和感を持っていて、それを解明すべく事件に立ち会った芝居小屋の裏方の人たちからいろいろ話を聞いていくうちに、やがて驚くべき意外な真相に辿り着いていくという展開になっています。

仇討ちという結果を最初に見せて、そこから謎を解き明かすという回想形式のミステリー構造を時代劇に盛り込む斬新さは見事ですし、随所に散りばめられたユーモアと人情味あふれる脚本の巧みさも本当に大きな魅力になっています。

そして、何より人間味豊かに演じる役者陣が本当に豪華ですごいんです。ひょうひょうとしながらも謎めいた主人公を演じる柄本佑さんをはじめ、渡辺謙さん、北村一輝さん、滝藤賢一さんら超実力派俳優が集結していて、一人ひとりの存在感が物語に圧倒的な厚みを与えています。

原作もめちゃくちゃ面白いんですけど、その面白さを余すことなく伝えつつ、映像美の素晴らしさをはじめとした映画ならではの魅力にもあふれていて、これは原作を先に読んでいても、後で読んだとしても、どちらも楽しめること請け合いです。

芝居小屋の舞台裏側の人間たちの魅力とミステリーの伏線回収が鮮やかに融合していて、2時間あっという間に過ぎ去るめちゃくちゃテンポのいい、しかも江戸の粋な人情が詰まった間違いなく一級のエンタメ作品に仕上がっています。

実はタイトルにある仇討ちの“仇”がひらがなになっているのにも理由があるんですよ。とにかくこれは劇場で観なきゃ損。絶対外さないレベルの映画ですのでぜひご覧ください」

中瀬さんが推す3作品、ぜひチェックしてみてください! 毎月最終木曜日に発表するこのコーナー、次回2月のエンタメ番付は、2月26日(木)にお届けする予定です。お楽しみに。

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楽天グループの無料動画配信サービス「Rチャンネル」に「TOKYO MXチャンネル」が開設!
「5時に夢中!」も、リアルタイムで全国どこからでもお楽しみいただけます!

<番組概要>
番組名:5時に夢中!
放送日時:毎週月~金 17:00~18:00 <TOKYO MX1>
メインMC:垣花正、大島由香里          
アシスタントMC:ミッツ・マングローブ(金)
番組Webサイト: https://s.mxtv.jp/goji/
番組X(旧Twitter): @gojimu
番組Facebook:https://www.facebook.com/5jinimuchuu

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