恐怖を通り越して逞しさすら感じさせる衝撃作…中瀬ゆかり絶賛の映画「アグリーシスター 可愛いあの娘は醜いわたし」

2025.12.06(土)

11:50

TOKYO MX(地上波9ch)の情報バラエティ生番組「5時に夢中!」(毎週月~金曜 17:00~)。11月27日(木)放送の「中瀬親方のエンタメ番付」のコーナーでは、新潮社出版部部長の中瀬ゆかりさんがおすすめのエンタメ作品を番付形式で紹介しました。

TOKYO MX(地上波9ch)の情報バラエティ生番組「5時に夢中!」(毎週月~金曜 17:00~)。11月27日(木)放送の「中瀬親方のエンタメ番付」のコーナーでは、新潮社出版部部長の中瀬ゆかりさんがおすすめのエンタメ作品を番付形式で紹介しました。

【“中瀬親方”による202511月のおすすめ作品】

◆関脇
評伝『反骨魂 後藤亘「ミスターFM」と呼ばれた男』
著:延江浩


FMラジオ誕生に尽力し、数々の魅力的なコンテンツでラジオ黄金時代を築いた男・後藤亘の反骨と野心に満ちた半生を綴った評伝。

<注目ポイント>
FMラジオの未来を切り開いたカリスマ経営者の半生

中瀬親方のコメント「本作は、現在92歳になられる後藤亘さんの幼少期から現在に至るまでを、FM東京で部下として働いていた延江浩さんが当時を知る数々の証言と本人取材をもとに描いた一冊になります。

放送実用化を夢見て試験局としてスタートしたTOKYO FMの前身『FM東海』時代の奮闘から1980年代低迷期だったFM東京の経営再建、後塵を拝していたJ-WAVEを巻き返すまでの逆転劇。さらにはTOKYO MXの社長に就任し、破綻寸前だったポンコツ局を立て直した裏側。後藤さんの大胆かつ果敢な経営術があますことなく詰まっています。

なかでもTOKYO FMの長寿番組『JET STREAM』の初代機長が城達也さんという、大好きな声のいい方だったんですけど、その方の降板にまつわるエピソードはもう涙なしでは読めず、本当にシビれました。

私も後藤さんとは面識があって、番組の審議会とかで月に一回お目にかかっていたんですけど、人懐っこい笑顔でこちらの話をいつも真剣に聞いてくれる、その懐の深さに感動していました。

とにかく型破りなリーダー、“ミスターFM”としてメディアの一時代を切り拓いた後藤さんの信念と野望が本当に胸に刺さる作品になっています。本気で何かを変えたいとか、人の人生をのぞきたい人には間違いなく刺さる内容ですので、みなさんぜひ読んでみてください。

私は最初、『これは絶対にエンタメ番付で無理だから……』と思いながら読み始めたんですけど、めちゃくちゃ面白かったんですよ。これは本当にここのスタッフ……お茶の間のみなさんにも勧めたいけど、まずスタッフ、お前ら読め(笑)。『5時に夢中!』が奇跡で成り立っていることがわかる、そういう一冊になっています」

◆大関
エッセイ「90歳、男のひとり暮らし」
著:阿刀田高


ミステリーやブラックユーモア界の名手で今も短編作品の第一人者として知られ、“日本のロアルド・ダール”とも言われた直木賞作家・阿刀田高。90歳となった彼の今の日々を綴ったエッセイ。

<注目ポイント>
孤独を超えて、自由へ。90歳の軽やかな暮らし方

中瀬親方のコメント「この本は今、本当にすごく読まれていて、あちらこちらから『読んでよかった!』っていう声がきている本なんですけど、90歳の作家・阿刀田高さんがひとり暮らしの日々を飾らずユーモアたっぷりに綴った、これまであったようでなかったエッセイ作品です。

阿刀田さんは奥様が認知症になられ、施設に入られたことがきっかけでひとり暮らしを始め、その後奥様は亡くなられるんですけど、彼のモットーは“十分でなくても自分が納得できればよし”。老いを深刻に捉えるのではなく、“まあまあでいい”という本当に軽やかな姿勢が全編に流れていて、90歳のひとり暮らしを自在でしなやかに生き抜く姿に読んでいるこちらまで肩の力がフッと抜けていくんですね。

ショートショートの名手らしく、文体の柔らかさとユーモアの切れ味も健在で、例えば友人に『老人には“きょうよう”が必要だよ』って言われるんですよ。それは知恵の“教養”かなと思ったら、『今日、用があることが大事なんだよ』っていう意味で“今日用”っていう。あえて用事を作ることが大切だとか、そういう小気味良い会話術があったり、あとは『心に耳を寄せれば恥となる』。“恥”という字が耳に心と書くから『心に耳を寄せれば恥となることがひとつやふたつあるだろう』というダジャレなんですけど、そういうことを楽しむ姿とか、90歳の暮らしをこんなにもチャーミングに書ける人がいるのかと驚かされます。

自分の老いた親が1人になった時とか、私の場合は自分自身1人の老後がイメージできるわけですよ。そうなった時に『この本は絶対に役に立つ』っていう大きなヒントが散りばめられていて、寝る前の知的なルーティンとか毎日鏡を見ることとかマネしたいことが本当に満載で、親御さんに差し上げてもいいし、自分のために読んでもいいなと思っています。

阿刀田さんの前向きとユーモアに満ちた生きた記録。これは絶対に役に立つので『一家に一冊とぜひ!』と思っています」

◆横綱
映画「アグリーシスター 可愛いあの娘は醜いわたし」
2026年
116日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開

おとぎ話「シンデレラ」をモチーフに、美しいシンデレラに嫉妬するいじわるで醜い義姉妹を主人公とした北欧のゴシック・ボディホラー作品。

<注目ポイント>
美にとらわれた“もう1人のシンデレラ”

中瀬親方のコメント「この作品は、グリム童話でおなじみの『シンデレラ』の義姉妹の目線から描かれた、もうひとつのシンデレラの恐ろしい物語です。

主人公のエルヴィラ(演:リア・マイレン)は、母レベッカの再婚をきっかけに妹のアルマとともにユリアン王子がいるスウェランディア王国に移り住むことになるんですけど、新しい姉妹となるアグネスは家柄も見た目も完璧な麗しい女性なんですね。一方でエルヴィラは、矯正器具で覆われた口元、そして体型的にもちょっとぽっちゃりしていてふくよか。鼻もちょっと小ぶりと何もかもが(アグネスと)正反対の存在。

しかし、(母の再婚は)玉の輿にも見えた結婚だったんですけど、実はその新しい父親が母レベッカの少ない財産目当てだったことがわかって、さらにはその再婚相手が急に亡くなってしまい状況が一変します。

母親は長女エルヴィラをなんとか王子の妃に押し込むために容赦ない整形手術を次々に施していくんですね。エルヴィラ自身も王子に選ばれたい一心で美しさを追い求め、やがて迎えるユリアン王子の花嫁選びの舞踏会、そこで物語は一気に破滅へと転がり始める流れになっているんですけど、とにかくエグすぎる当時の整形手術シーンや恐ろしいダイエット方法、さらには靴をはくためにとる信じられない行為とか、どれもすごく強烈すぎて、目を背けたくなるおぞましい描写の連続が続きます。でも、すごく美しい画面に目を奪われ、気づいたら私はなぜか『エルヴィラ頑張れ!』って必死に応援していました(笑)。

外見への執着がだんだん狂気へと変わっていくプロセスは、ボディホラー界の第一人者のデヴィッド・ポール・クローネンバーグ監督をリスペクトしている(本作のエミリア・ブリックフェルト)監督らしい鮮烈さがあって、その背後には現代社会に蔓延する、いわゆるルッキズムへの痛烈な皮肉もこめられています。

エルヴィラが味わう痛みと願望にいつのまにか自分も引き摺り込まれ、観終わった後に恐怖と不快感が入り混じる強烈な余韻がしばらく残るんですが、ラストにはその恐怖を通り越して、なんとも言えない逞しさすら感じるんですね。

美を巡る執念が恐怖に変わる衝撃作。美しさを求め続ける現代だからこそ深く考えさせられる一作ですので、ぜひ劇場で堪能してみてください」

中瀬さんが推す3作品、ぜひチェックしてみてください! 毎月最終木曜日に発表するこのコーナー、次回12月のエンタメ番付は、12月25日(木)にお届けする予定です。お楽しみに。

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<番組概要>
番組名:5時に夢中!
放送日時:毎週月~金 17:00~18:00 <TOKYO MX1>
メインMC:垣花正、大島由香里          
アシスタントMC:ミッツ・マングローブ(金)
番組Webサイト: https://s.mxtv.jp/goji/
番組X(旧Twitter): @gojimu
番組Facebook:https://www.facebook.com/5jinimuchuu

 

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