TOKYO MX(地上波9ch)朝の情報生番組「おはリナ!」(毎週月~金曜7:00~)。「TOKYO LENS」のコーナーは特別編として、東京大空襲の資料館にスポットを当てます。「東京大空襲・戦災資料センター」には近年、外国人の来館者が増加しており、さらに施設には過去を伝えるガイドとしてアメリカから来た大学生が働いています。それぞれどのような意識を持って施設を訪れたのか、取材しました。

◆東京大空襲の資料館を訪れる外国人が増加 来館する理由は?
今年3月10日、AP通信が東京大空襲について報じた記事は、「被害は1945年8月の原爆投下に匹敵する規模だったが、認知度は低い。その日の出来事は大部分が無視されるか、忘れ去られてきた」と指摘し、東京大空襲が世界的に知られていないことを報じました。
東京大空襲は1945年3月9日の深夜から10日の未明にかけ、約40万発の焼夷弾が東京の街を焼き尽くし、一晩にして約10万人の命が奪われました。
江東区北砂にある「東京大空襲・戦災資料センター」には、空襲によって焼け野原となった当時の都内の写真や、亡くなった乳児の着物などが展示されていて、戦争の悲惨さを物語っています。
近年、この資料館を訪れる外国人が増えていて、個人で訪れる来館者の約1割を占めるといいます。
なぜ施設を訪れたか聞いてみると、フランスから来た男性は「これまでに広島や長崎、沖縄にも行きましたが、東京大空襲については知識がなかったので、その情報を得るために来ました」と回答。
そして「第二次世界大戦は現在の政治にも大きな影響を与えていると感じます。特に今、中東でそれを目の当たりにしているように思います」とも。
オーストラリアから来た男性は「戦争で何が起こったかをもっと知り、様々な視点から理解したいと思って来ました。歴史を学び理解しようとすることは、世界の平和に向けて努力するために必要だと思います」と述べました。
館長の吉田さんは、外国人が多く訪れる理由を、世界中でいまだ続く空襲への問題意識が高まっているのではないかと分析します。
吉田さんは「ロシアのウクライナ侵攻とか、パレスチナでの空爆とか、空爆の問題が国際的にも焦点になってきているので、意識するようになったのではないか。民間人に対する空爆ということですよね」と話します。
◆英語で「東京大空襲」を伝えるアメリカの大学生
多くの外国人が訪れるようになった資料館では、一昨年からアメリカの大学からのインターンを受け入れています。
大学で近代史を専攻しているアメリカ出身のアルナさんは、第2次世界大戦の中で東京大空襲を学ぶことが重要だと考え、約1か月のインターンに参加することを決めました。
アルナさんは来館した外国人に英語でガイドを行っています。「当時の中学生はこうした防空壕に隠れることは期待されず、働いていた工場に行ってその場を守ることが求められました。そして防空壕は決して安全ではなく、多くの人が火に囲まれてここで命を落としました」と英語で説明。
実際に働いてみて、アルナさんは「私たちがここで学べるのは、日本人が過去にやってきたことや、やられてきたことから前進するためにどれほど努力してきたか。そしてこの歴史を伝承するために注がれている誠実な善意だと思います」と思いを明かしました。
アルナさんのガイドに同行すると、アメリカから来た男性から「亡くなった人たちは、ここまで広範囲に火の手が広がっていったということですか?それとも餓死のようなものもあったのですか?」と質問が。
アルナさんは「亡くなった原因は全てが焼死ではありません。他の理由もありましたが、いずれも避難の過程で起きたものです」と質問に自分の言葉で丁寧に答えます。
男性は「私はこの問題について多くを知っているつもりでしたが、現実味がありません」と吐露。
それを受けてアルナさんは「遺品や人々の証言は非常に大きな意味を持ちます」と答えます。
アルナさんからガイドを受けた男性は、空襲の被害が自身の想像以上に甚大なものだったと言います。「認識を改めたのは被害の規模と、民間人がどれだけ巻き込まれたかという点。そして民間人を意図的に狙った爆撃だったという事実です」と明かしました。
アルナさんは、過去を知ることが今起きていることへの理解につながると話します。「爆発だけでなくこうした様々な苦しみがあったことは、多くの(海外の)人にとって新しく、なかなか知る機会がないことです」と指摘。
そして「こうしたことを理解することは、現在パレスチナやウクライナで起きているホームレス状態、飢餓、凍死などといった同じ問題への共感にもつながります」と話していました。
<番組概要>
番組名:おはリナ!
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:山本里菜、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/oharina/
番組X(旧Twitter):@oha_rina
番組Instagram:@oharina_mx