TOKYO MX(地上波9ch)の情報バラエティ生番組「5時に夢中!」(毎週月~金曜 17:00~)。4月24日(木)放送の「中瀬親方のエンタメ番付」のコーナーでは、新潮社出版部部長の中瀬ゆかりさんがおすすめのエンタメ作品を番付形式で紹介しました。

【“中瀬親方”による2025年4月のおすすめ作品】
◆関脇
漫画「国宝」
原作:吉田修一 作画:三国史明(小学館)
人気作家・吉田修一の小説を原作に、三国史明が作画を描いた話題作。吉沢亮主演で実写映画化(6月6日(金)公開)も決定しており、さらに注目を集めること間違いなしのコミック。
極道の家に生まれた15歳の少年・立花喜久雄。極道としてではなく、活躍の場を歌舞伎の世界に移して女形として成長していく姿を描く物語。
<注目ポイント>
極道から梨園へ! 女形としての才能、開く!
中瀬親方のコメント「主人公の立花喜久雄は長崎一の極道・立花組の親分の息子で、本来は跡継ぎになるはずだったんですけれども、ある抗争によって親を殺されて、そこで暮らせなくなってしまうんです。そんな喜久雄を引き取ったのが“稀代の女形”と評される歌舞伎役者の花井半二郎で、彼には喜久雄と同い年の俊介というひとり息子がいるんですけれども、俊介とともにこの世界で切磋琢磨していくことになるんです。
極道の息子と梨園の御曹司という、これまで生きてきた世界が全く違う、美しき2人の友情とライバル関係がかなりの見どころで、2人が女形に変身するシーンは、漫画なんですけれども画から立ち上る色香がすごくて、ちょっと見とれてしまうほどでした。
そして、ある公演で半二郎が交通事故に遭ってしまって、自身の代役を何と息子の俊介じゃなくて、部屋子である喜久雄に任せることになるんです。これは、世襲を重んじる歌舞伎界にとってかなりの激震で、2巻の終わりでは驚くべき展開も待ち受けていて、物語からまだまだ目が離せない展開を見せていきます。
原作小説の執筆にあたって、吉田修一さんが全国の劇場を回ったり、実際に歌舞伎の黒衣を纏って楽屋に入ったりもしたほどの渾身作で、それを作画の三国史明さんが見事にコミカライズした1冊となっています。ぜひ、この漫画、そして原作の小説も併せて読んで、6月の吉沢亮さんの映画も観に行っていただければ、1粒で全く違う魅力を見せる3度おいしい傑作物語になると思います。それをぜひ堪能してください!」
◆大関
小説「救われてんじゃねえよ」
著:上村裕香(新潮社)
難病の母を介護しながら高校に通う17歳の女子高生・沙智が「ヤングケアラー」としての現実に向き合う姿を、笑いを交えて描いた、24歳の現役大学院生・上村裕香(かみむら・ゆたか)による衝撃のデビュー作。窪美澄、東村アキコ、柚木麻子といった今をときめく選考委員が大絶賛した「R-18文学賞」大賞受賞作。
<注目ポイント>
悲劇を喜劇に見せる圧倒的な視点と文才!
中瀬親方のコメント「(主人公・沙智は)ここ数年でよく耳にする“ヤングケアラー”と呼ばれる子どもで、夜に母親が『トイレに行きたい』と言えば、眠い目をこすって母親が起き上がるのを介助するような、いわゆる排泄の補助とかをやっていて、家も貧しくて修学旅行にも行けない……これだけ聞くと、『まだ若いのに苦労して大変ね』とか『あんまり頑張りすぎないでね』と思う方も多いと思うんですけど、本作の魅力ってそこにはないんですね。
むしろ、トイレに行きたいけど自分で起き上がれない母親を手伝う場面で、沙智がバランスを崩して一緒に倒れ込んでしまうシーンがあるんですけれども、そのときに勢い余って沙智が隠していたBL本の山が上から降ってきて、身動きがとれなくなっちゃうんです。
その時点ですでにもう沙智は絶望に満ちているんだけれども、母親は横で『漏れる……』って言っていて、なかなか阿鼻叫喚な一幕で、そこに追い打ちをかけるように1冊の本がリモコンに落ちて、テレビがパッとつくんです。そしたら画面のなかで小島よしおが『そんなの関係ねぇ!』って叫んでて、2人して結構悲惨で悲劇的なのに笑ってしまうシーンには、こちらも読んでいてもう笑わざるを得ないっていうか、爆笑しちゃうんですよ。
で、母親の介助を大変でつらいっていうふうに描くわけじゃなくて、むしろそれを振りにして喜劇に持ち込んでくる上村さんのセンスが本当に見事で、見る人によっては悲劇的にも見える介護の日常を全て喜劇にして笑わせてくれる1冊です。
母親の介助をするヤングケアラーが主人公なのに、気が付くと笑いの渦に巻き込んでくれるというイリュージョンが体験できる、本当に切り裂かれるような1冊です。読書体験でここまで打ちのめされるという稀有な感動をお約束します」
◆横綱
映画「サブスタンス」
5月16日(金)より全国ロードショー
第77回カンヌ国際映画祭で脚本賞、82回ゴールデングローブ賞の映画部門・主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞した、デミ・ムーア主演のホラーSF作品。
容姿の衰えから仕事が減ってきた50歳の元トップ人気女優・エリザベス(演:デミ・ムーア)が、ある再生医療「サブスタンス」に手を出したことから物語が始まる。注射するや否や、エリザベスの背を破るかのように、若さと美貌を持ち合わせたもう1人の自分・スー(演:マーガレット・クアリー)が現れる。抜群のルックスに加え、エリザベスの経験を持つ最強のスーがデビューして、一気にスターダムへと駆け上がっていくのだが……。
<注目ポイント>
美と若さへの執着がもたらす 人間の狂気と暴走
中瀬親方のコメント「とにかくスーがヤバいぐらいかわいくて、尋常じゃないスタイルと見てるだけで鼻血ブーのいわゆる“極上ボディ”。私は“牧場ボディ”ですけど(笑)。この謎の再生医療に、1週間ごとに入れ替わらなければならないという絶対的なルールがあるんですけど、徐々に若い肉体を持つスーのほうが暴走し始めて、ルールを破り始めて、歯車が狂い始めていって、そして……っていう話で、目が離せないストーリー展開が続くんです。
前半はとにかく“どうなっていくんだろう?”っていうサスペンスなんですけれども、美の執着とか成功への渇望がやがて狂気を生んでいくさまが凄まじいんです。デミ・ムーア対マーガレット・クアリーの鬼気迫る怪演っぷりが本当にお見事で、後半で、ある大乱闘シーンがあるんですけれども、狂気と狂気、肉体と肉体がぶつかり合う迫力が、今でも鮮明に脳裏に焼き付いているぐらいでした。
歳を重ねてきた女性なら誰しも1度は思うと思うんですけど、容姿の衰えへの悩み、その執着を生み出す狂気を見事にホラー仕立てに描いた作品です。もはやどんなビューティーホラーも跪きそうなぐらい、大女優デミ・ムーアの体当たりなんてもんじゃない演技には、後半ずっと目が点になっていました。
これを観ると、“もう若返らなくてもいいかも”って思うぐらいのショック度があって、とにかくスリル満点であっという間の口あんぐりの2時間半ですので、ぜひ劇場の大きなスクリーンで、狂気の暴走を味わってください!」
中瀬さんが推す3作品、ぜひチェックしてみてください! 毎月最終木曜日に発表するこのコーナー、次回5月のエンタメ番付は、5月29日(木)にお届けする予定です。お楽しみに。
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<番組概要>
番組名:5時に夢中!
放送日時:毎週月~金 17:00~18:00 <TOKYO MX1>
メインMC:垣花正、大島由香里
アシスタントMC:ミッツ・マングローブ(金)
番組Webサイト: https://s.mxtv.jp/goji/
番組X(旧Twitter): @gojimu
番組Facebook:https://www.facebook.com/5jinimuchuu