TOKYO MX(地上波9ch)朝の情報生番組「おはリナ!」(毎週月~金曜7:00~)。「ライプラ!」のコーナーでは、最近増えているという「副業で本屋」についての最新事情を取材しました。

◆出版大手トーハンによる新サービス「HONYAL」とは?
大手出版取次のトーハンが昨年秋、業界の常識を変える新たな本の取引サービス「HONYAL(ホンヤル)」を始めました。
そのサービス内容について、トーハン 書店事業本部マネージャーの山口陽洋さんは「いわゆる“書籍”だけを、ご注文いただいたものをご注文いただいた分だけお送りするというサービスです」と説明します。
書店が取次業者から本を仕入れる際、従来は輸送費などの問題から高額な最低取引金額を事前に設定することが必要でした。しかしこの新サービスでは、本の配送を週1回に制限し、雑誌などを省いた書籍のみの受付とすることで、今までできなかった少額での取引が可能に。
さらに、取引時に発生していた保証金などもなくすことで、本の販売業を始めるハードルを下げ、青果店や鮮魚店といった別業種の個人店が、併せて本を売るといったことも推奨しています。
一体なぜ業界大手のトーハンがこのようなサービスを始めたのか。その理由について、山口さんは「個人の独立された書店を独立系大型書店と呼んでいるんですけれども、そういった業態が日本のなかでも特にコロナ禍以降増えている」と話します。
近年、全国にある書店の数は年々減り続けており、2003年の書店数は2万880店でしたが、2023年は1万918店と、20年間でおよそ半分にまで減少しています。
一方で、チェーン系列の書店ではない小規模の店舗や、別業態のお店の空きスペースで、副業として行われるような独立系小型書店の数は増えています。今後もこういった個人事業主などが本を売る取り組みを支援することで、人々が生活のなかで本に触れる機会を増やしていきたいということです。
◆あなたも本屋のオーナーに? 「シェア型書店」の仕組み
副業で書店が始められる取り組みは、その他にもあります。例えば、東京・渋谷にある高層複合施設「渋谷ヒカリエ」の一角にある「渋谷○○書店」は、一見普通の書店のようですが、一風変わった経営の仕組みを取り入れています。
その仕組みについて、同書店の井内登哉店長は「1人のオーナーが経営する本屋ではなく、複数の棚主さんが共同で本屋を運営する"シェア型書店"となっております」と説明します。
シェア型書店とは、希望者が書店内の棚を間借りして「棚主」となり、そこで自分が販売したい本を陳列して販売する形式のこと。こちらのお店では、1区画の棚を月額4,950円で貸し出しています。
例えば、普段は地方で主婦をしているという女性が運営している棚では、地元・東北にしかない本や自分の好きな本が陳列されていました。
その他にも書店内には、自身の推しのアイドルの本を販売している棚や、自身が集めた美術作品を販売している棚など、運営・管理する棚主によって実にさまざま。
多くの人が参加してつくるシェア型書店に携わることには、本が売れる以上の価値があると井内店長は言います。なぜなら、「本好きとしては、本がたくさんある、いろんな方の偏愛が詰まった場所で、自分で本屋さんの体験ができるというのは、すごい価値だと思います。本を通して、いろんな方と出会ったりつながったりして、そこから新しい価値が生まれていったらすごくいいなと思っております」と思いを語っていました。
姿を消しつつある町の本屋。しかし、“本を売りたい”という人の希望を叶える裾野は広がっていることが、今回の取材から垣間見えました。
<番組概要>
番組名:おはリナ!
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:山本里菜、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/oharina/
番組X(旧Twitter):@oha_rina
番組Instagram:@oharina_mx