“食料品の消費税2年間ゼロ”さらには給付付き税額控除に現実味…その効果は?経済の専門家を交え徹底議論

2026.02.27(金)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週金曜21:00~)。2月13日(金)の放送では、第一生命経済研究所・主席エコノミストの熊野英生さんを迎え、“消費税減税の行方”、さらには“今、求められる物価高対策”について議論しました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週金曜21:00~)。2月13日(金)の放送では、第一生命経済研究所・主席エコノミストの熊野英生さんを迎え、“消費税減税の行方”、さらには“今、求められる物価高対策”について議論しました。

◆衆院選の最大の争点“消費税減税”

自民党の歴史的大勝で幕を閉じた第51回衆議院選挙。選挙期間中、最大の争点となっていたのが消費税減税に関する政策です。

各党さまざまな減税政策を訴える中、与党が打ち出していたのは「食料品の消費税2年間ゼロ」。実現すれば物価高に苦しむ家計に向けた支援となり、実生活の負担は一時的に軽減されます。

しかし、年間約5兆円の財源確保に加え、小売店のレジ改修や価格表示の変更、駆け込み需要への影響など課題は少なくはありません。

社会保障費が増加し、財政赤字を抱える中、消費税減税は真の物価高対策になるのか。この日は、キヤノングローバル戦略研究所 上席研究員の峯村健司さん、エッセイスト・メディアパーソナリティの小島慶子さん、ジャーナリストの風間晋さん、さらには経済の専門家である熊野さんを交え徹底議論しました。

まず、今回の衆院選について熊野さんは「(消費税減税に関する)議論はあまり深まらず、“減税ポピュリズムここに極まれり”という感じでみんなが同じことを言っていた」と分析。

かたや峯村さんは「(争点が)消費税だけになっているのは少し違う感じがする。むしろ“手取り”、可処分所得が増えないことが最大の問題で、包括的な議論をしないとダメ」と注意を促します。

また、小島さんは「目先の票を集めるためには消費減税が手っ取り早かったのかもしれないけど、中長期的に見たときにはそれが日本を豊かにするのか」と疑問を呈し、風間さんからは「僕は消費税減税には懐疑的」との意見もありました。

◆消費税減税のゴールは“給付付き税額控除”

今年1月の衆院選の公約として「食料品の消費税2年間ゼロ」を標榜し、衆院選は自民党が圧勝。総理はその後の会見で、消費税減税については与野党が参加する国民会議で具体的な検討に入り、夏前までに中間取りまとめを出すとのこと。2026年度中の実現を目指し、想定通りにいけば2028年度にも改革の本丸と位置づける“給付付き税額控除”に移行する可能性もあるとしています。

この一連の流れに熊野さんは「選挙では消費税減税が注目されたが、ゴールは給付付き税額控除。そこを詰めないといけない」と言います。加えて、消費税減税は年間約5兆円の財源確保が懸念されていますが「給付付き税額控除は、もっと大きな穴があるかもしれない」と危惧。というのも、給付付き税額控除が実施されているイギリスやアメリカではさまざまな弊害が出ているから。それだけに、より議論を深めるべきと案じます。

また、「消費税は何のために必要かというと社会保障の財源。物価が上昇する中、『消費税は下げる、財源はない』といびつな議論になっている。そして、給付付き税額控除というのはいわゆる“ベーシックインカム”で、その議論をしないといけないのに意味が分かりにくい給付付き税額控除になっている」とさらなる問題点を示唆します。

◆物価高をもたらす2つの要因

食料品の消費税を2年間ゼロにした場合の効果について、熊野さんは現状のペースで消費者物価指数が上がると1年5ヵ月で減税分の効果が失われると分析。また、政府は年間の消費税減税額は4.8兆円としていますが、大和総研の試算では消費喚起効果は年間0.5兆円程度となっています。

また、熊野さんは要因を突き止めずして物価高はおさまらないとし、その要因を“円安”と国内外の“物価格差”だと言及。「もっと言えば、円が弱すぎるというか海外に対して日本が成長していない。賃金をいかに上げるかの方が本質」と物価高対策は消費税だけではないとします。

この意見には峯村さんも賛同し、「物価高の根源でいうと、輸入しているエネルギーの高騰。さらには人手不足などによる物流などの経費。そのあたりを変えないことには物価高対策にはならないし、熊野さんが言うように円をどう強くするか、手取りをどう上げるか議論しないと本当に格差が埋められなくなる。これは時間との戦いだと思う」と危機感を募らせます。

では、日本は今、何をすべきなのか。熊野さんは「中小企業が稼がないと賃上げは進まない。中小企業が伸びる余地はある。日本はGDPでドイツに抜かれたが、ドイツは中堅企業が強い。なぜかと言えば、国内外問わず販路を広げているから。日本も金融機関などのサポートで中小企業が海外に出ていくべき。特に円安なんだから有利」と持論を述べます。

◆経済の専門家が指摘する日本の弱点

高市政権が目指す「食料品の消費税2年間ゼロ」に関して、街のお店はどう受け止めているのか。今回は千代田区の老舗豆腐店「越後屋」を取材しました。

国産大豆のみを使った豆腐は現在、消費税込みで170円。約15年前から価格を変えていませんが、近年は物価高の影響で苦しい経営を強いられています。「越後屋」の石川さんによると、大豆だけでなく包装用紙やビニール袋、水道、ガス料金などあらゆるものが値上がりし、いまやギリギリの状態だとか。

そうした中で消費税減税はひとつの光明ではあるものの、石川さんからは「2年間じゃなくてずっとやってもらいたい」、さらには「物価を全般的に下げていただければ楽」との本音も。消費税減税だけでなく、現状を変える抜本的な政策を切望していました。

風間さんは「基本的にこの問題は短期的にどうにかするという問題設定が間違っている。構造の問題であればあるほど、短期的にどうにかするのは難しい」と中長期的目線の必要性を訴えます。

また、風間さんとキャスターの堀潤は、2000年代に時の財務大臣・宮沢喜一さん、さらには民主党政権時代に野田佳彦さんが声高に訴えていた“社会保障と税の一体改革”の進展が全くないことを憂い、なぜ進まないのか疑問を呈すと、熊野さんは「政権が変わるたびに看板を掛け替え続けたから」と回答。

加えて、「ドイツでは与党野党が入れ替わっても同じ改革をリレーのバトンのようにつなぎ、それで日本を(GDPで)抜き去った。看板を掛け替えすぎるのは日本の弱点で、これは構造の問題」と警鐘を鳴らします。

どうすればこの問題は改善されるのか。熊野さんは「メディアと国民、有識者の牽制は重要。(時の政権が)看板を掛け替えたらメディアや有識者は『なぜ目をそらすんだ!』と言い続け、国民は正論を吐いている政党に投票する。三位一体で監視するカウンターパワーが日本は弱い」と指摘します。

◆本当に必要な物価高対策は?

最後に、今回の議論をふまえコメンテーター陣が消費税減税、さらには真の物価高対策についての提言を発表。峯村さんは“手取り増 社会保障費↓エネルギー↓”。「まずは手取りを増やす。特に今働いている世代の手取りを増やすとなると社会保障費を下げる。そして、(物価高の要因である)エネルギーを含めた補助。手取りをいかに増やし、好循環に回すかが一番の物価高対策になる」と言います。

風間さんは“生産性UP→賃金UP”。「生産性が伴わない賃金のアップは格好だけ。生産性を上げる施策を政府が取り続けないといけない」と提案。

続いて、小島さんは“中小企業の活力・取り残される人へのケア”。熊野さんが指摘していた中小企業のチャレンジに期待しつつ、「どうしても取り残される人は出てきてしまうので、そこへのケア。これは絶対に忘れてはいけない」と訴えます。

そして、熊野さんは“成長→劇的賃上げ”。賃上げするにしても大幅な賃上げを5年ぐらい続けることが必要だと主張します。

また、堀は“何で食っていくか・「私」が付加価値を生み出す”。この国でどうやって稼ぐのか、自分自身で切り開いていくべきであり、付加価値を生み出す努力が必要とし、政治家に対しても一貫した政策を望んでいました。

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<番組概要>
番組名:「堀潤激論サミット」
放送日時:毎週金曜 21:00~21:25 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
TVer」で放送後1週間Tverにて無料配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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