渋谷で“はみ出し喫煙”増加、その背景に喫煙所の減少が…喫煙所と共生する街づくりとは?専門家と徹底議論

2026.02.20(金)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週金曜21:00~)。放送では、“喫煙所と共生する街づくり”について議論しました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週金曜21:00~)。放送では、“喫煙所と共生する街づくり”について議論しました。

◆喫煙所減少ではみ出し喫煙増加

渋谷で今、喫煙所からはみ出してたばこを吸う“はみ出し喫煙”が問題になっています。実際、渋谷の喫煙所では1時間で60人以上のはみ出し喫煙が確認できました。

また、渋谷駅周辺で行った大規模調査では8日間で3,000人以上の路上喫煙者を確認し、1万3,776本の吸い殻を回収。アンケートでは過去にマナー違反経験がある喫煙者のうち9割以上が「混んでいるから喫煙所の外で吸う」と回答していて、はみだし喫煙が横行している実態が明らかになりました。

このはみ出し喫煙増加の背景にあるのが喫煙所の減少です。渋谷では近年喫煙所が減少傾向にあり、数少ない喫煙所に喫煙者が集中。喫煙所の混雑が常態化し、外にはみ出してタバコを吸う人が増えているということです。

そのため、はみ出し喫煙を減らすために喫煙所の増加を求める声もあり、非喫煙者の6割以上の方が喫煙所を必要と感じているそうです。

喫煙所と共生する街づくりには何が必要なのか。今回はエッセイスト・メディアパーソナリティの小島慶子さん、統計家の西内啓さん、哲学者の萱野稔人さん、さらには公共空間と喫煙所の関係について研究されている東京都市大学の小林茂雄教授とともに考えました。

まず、この問題の焦点を小林教授に聞いてみると「急激にルールが変わることに追いついていない問題と、(非喫煙者が)喫煙者の気持ちがよくわからないことがあると思う」と回答。

非喫煙者の小島さんは「タバコの煙が嫌いなのではみ出して吸わないでほしい」と望む傍ら「(喫煙者が)はみ出さないためには場所を増やすのがいいかもしれないけど、(タバコは)健康によくないから(喫煙者が)吸う気がなくなる工夫も必要」とも。

一方、萱野さんは日本と海外の違いに言及。海外ではゾーニングした上で屋内外に喫煙所が設けられていますが日本は一方的に減らすばかり。それだけに「吸える場所をもう少し確保した方がマナーは向上するかもしれない」と推察。

小林教授によると、喫煙所の減少とタバコ健康被害に関する広報活動により喫煙者数は以前より減っているものの急激に減っているわけではなく、今は過渡期であり「いかに共存していくかが重要」と主張します。

◆都内18区が喫煙所増設を希望

喫煙所は増やすべきなのか。今回、番組では23区にアンケートを実施。その結果、渋谷区や千代田区など18区は「増やすべき」と答え、墨田区と練馬区は現状維持。3区は該当なしで「減らすべき」と答えた区はありませんでした。

ただ、喫煙所は簡単に増やせるものではありません。現在、公衆喫煙所を巡っては19の区が喫煙所の設置や維持管理に助成金を出しており、その費用がネックになっています。例えば府中駅前の場合、喫煙所設置に3,430万円、維持費用は年間179万円。助成金が出たとしても費用がかかりすぎるため設置が進んでいないそうです。

また、公衆喫煙所の設置にあたっては反対する住民も多く、計画が進まないケースも。さらには喫煙所を設置した民間施設の利用者が減るという懸念から増設できない現状もあります。

この問題に小林教授は「ある程度税金で負担する必要があると思うが、維持管理していくのは基本的に利用者が負担するのがいい」と持論を述べます。

◆喫煙所を増設した池袋、その効果は?

喫煙所を増やせば、はみ出し喫煙は減るのか。実際に喫煙所を増やした豊島区・池袋を取材しました。

池袋も喫煙所以外の場所“闇スポット”での喫煙が問題となっていましたが、昨年10年ぶりに公衆喫煙所を新設。そして設置から3ヵ月、一定の変化が見え始めているそうで、高際みゆき区長はタバコのポイ捨てや歩きタバコが減少したと言います。

ただ、喫煙所を作っただけで全てが解決したわけではありません。高際区長は「喫煙所ができたから街が100%キレイになるものではない。ポイ捨て防止などの啓発・注意喚起は並行してやっていかないといけない。ただ、今までは『路上喫煙やめてください』と言っても『どこで吸えばいいの?』ということがあった。しかし今は『ここで吸ってください』と言えるので、路上喫煙防止の活動もやりやすくなったと思う」と喫煙所設置の効果を強調します。

なお、豊島区は“吸う場所がないことがマナー違反を生む”という悪循環を断ち切るべく、今後も喫煙所の増設を進める方針だそうです。

この取り組みに小林教授は「喫煙所を設けながら全体の喫煙の数をコントロールしていく、吸ってはいけない場所で吸わないようにするというような両方の政策を同時に出すことはいいこと」と評価。

また喫煙所を新設する際の問題点として小林教授は“喫煙所の場所”を挙げます。「喫煙所が非喫煙者がいる場所と重なると非喫煙者にとっては迷惑な施設になってしまう。ただ、喫煙所が遠く、閉鎖された場所にあると喫煙しに行きにくくなり路上喫煙などが増える。どこに設置するのかよく考えないといけない」と注意を促します。

喫煙所を増やしたのは豊島区だけではありません。千代田区は喫煙所を100ヵ所設置する取り組みを進行中。路上喫煙の減少や喫煙者と非喫煙者の共存を目指しています。また、同区は全国で初めて路上喫煙に対する罰則条例を制定したことでも知られていますが、喫煙所の増設後、路上喫煙による過料(2,000円)の徴収件数は増加。2023年度の約5,000件から2024年には約8,000件となったそうです。

それを聞いた西内さんは「過料を値上げし、集めたお金を財源に税金を使わずに喫煙所を作ったらいいんじゃないか」と提案。かたや萱野さんは「千代田区モデルは悪くないと思う」と称賛し「吸える場所ができたんだから厳しく取り締まる。その結果、過料の件数も増えたという話であればいい循環ができていると思う」と言います。

◆街と喫煙所が共存していくためには?

最後に、今回の議論をふまえ喫煙所と街が共存していくにはどうすればいいのか。コメンテーター陣が提言を発表します。まず西内さんは“JT(日本たばこ産業株式会社)が作って!”。「意外とこの論点は出なかったが、経済学では“外部不経済の内部化”といい、取引するお客さん以外に迷惑をかけていたら、その費用を取引の中に入れるのが基本。JTも確かに喫煙所を作っているが足りていない。だから、JTと喫煙者の間でこの問題を解決してほしい」と提案します。

一方で小島さんは喫煙所の増設を歓迎しつつ“吸わない選択をしたくなる工夫を!”。「吸える場所の中に“吸わない選択肢もある”、“吸わない方が健康にいいかも”とか、自分は吸わない選択もできるかもしれないと思えるような情報を提供する。(喫煙所を)そういう場所にしてほしい」と改めて訴えます。

萱野さんは“ルールを守る条件”。ルールをしっかりと守れる環境を整備し、その上で違反者に対する取り締まりを強化すべきと主張します。

そして、小林教授は“自由の尊重”。「吸う人は吸わない人の自由を尊重する。そして、吸う人にも権利がある。その自由を尊重する相互理解。お互い尊重することでいい共存のあり方ができてくると思う」と言います。

キャスターの堀潤は“心の豊かさ=多様なアイテム”。「JTも『心の豊かさを提供する会社』として今はいろいろなデバイス、多様なアイテムを作っているので、そこを究極的に極める。イノベーションに期待」とタバコの進化を望んでいました。

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<番組概要>
番組名:「堀潤激論サミット」
放送日時:毎週金曜 21:00~21:25 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
TVer」で放送後1週間Tverにて無料配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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