採用の早期化、新卒一括採用にインターンシップ…令和の就活は問題山積、学生のために一番良い就活ルールを徹底議論!
2026.02.16(月)
06:50
TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週金曜21:00~)。放送では、形骸化している“就活ルール”について議論しました。
◆就活時期が年々早期化…学生への影響は?
大学生の“就職採用活動ルール(就活ルール)”を巡り、黄川田仁志共生社会担当大臣は12月の会見で見直しの検討に入る考えを示しました。国は現在、広報活動や採用選考の開始時期についてのガイドラインを策定し遵守を要請していますが、優秀な学生を獲得するために要請に従わず早期に就職・採用活動を行う企業もあり、ルールが形骸化している実態が問題視されています。

採用活動を前倒しする企業が現れると就職活動の時期も相対的に早まり、学業への支障が生じる可能性があります。さらにはルールを守る企業と守らない企業が混在することで学生や企業の間で不公平感が高まる懸念も。

そこで今回は弁護士の島田さくらさん、株式会社トーチリレー代表取締役の神保拓也さん、就活に関する事業を展開している株式会社ABABA代表の久保駿貴さんを迎え“就活ルール”について考えました。

現在、政府は学生が学業に専念し、安心して就職活動に取り組める環境を作ることが重要とした上で、広報活動開始は卒業修了年度に入る3月1日以降、採用選考活動開始は6月1日以降、正式な内定日は10月1日以降と規定しています。しかし、実際は形骸化し授業の欠席や研究活動の停滞、単位の取得などに影響が出ているという見方があります。

なお、就職みらい研究所の「就職白書2025」による大学3年生3月時点の内定率を示したグラフを見ると、コロナ禍が始まる2020年までは10%以下でしたが、その後右肩上がりに増え、2025年卒では40%以上となっています。

久保さんは「初めに(就活の早期化に)動き出したのが外資系の会社。昔は経団連の加盟企業などは基本的に(ルールを)守っていたが外資系が早めに動き出すので学生もそこに合わせて動く。そこに規制を入れるなどしないとこの問題は長く続く」と今に至る経緯を解説します。

◆企業も学生も囚人のジレンマに…
まずは現状の問題点について。島田さんは「学校と企業の間に学生が板挟みになっているんじゃないか」と懸念。「学生は3年生ぐらいまでは集中して勉強・研究したいと思うが、一方で企業は優秀な人材を受け入れるためにインターンをやる。それが平日昼となると単位(授業)か、インターンか、それぞれ希望があると思うがそれがうまく調整できていない」と分析します。

その上で「より実効力があるルールが必要になってくると思う」と語るも「ただ、これは法律で規制したり、罰則をつけると今度は企業の経済活動を制限したり、職業選択を制限したり、憲法違反みたいな話にまでなってしまうので、現実問題では罰則までは厳しい」とこの問題の根深さについて言及。

一方、神保さんは「企業も学生も“囚人のジレンマ”に陥っている」と指摘。「みんなが(約束を)守れば良くなるが、みんなが守らない中で自分だけ守ると損をしそうだから抜け駆けした方が得、みんなが抜け駆けするとみんなが悪くなる。今はみんながルールを逸脱してマーケットが混乱しているので、ここで歯止めをかけないと解決は難しい」と言います。

そして、久保さんは「そもそもルールが機能していない」と苦慮。久保さんによると就活のルールは当初経団連が所管していたものの、2021年以降は政府に移行。そのため経団連で議論はしているものの何かを変更することは容易にできないとか。

また、今回の議論の参加者の中で最も若いキャスターの田中陽南は「(学生は)就活をゴールにしてしまっているところがあって、就職を差し置いてまで学業をやりたいって自分も思えていなかったところはある」と学生時代を振り返ります。

◆新卒一括採用から通年採用へ
現在、多くの企業が“新卒一括採用”をとる中、近年は新卒に限らず既卒や第2新卒、留学生などを年間通して採用する“通年採用”も増えつつあります。2026年卒採用では松屋フーズホールディングス、富士通、ファーストリテイリングなど約35%の企業が導入しています。

通年採用に関して神保さんは「海外留学をして9月に卒業する方などにも接点が持てたり、短期決戦ではいい学生が取りきれないこともあるので年中門戸を開けているのはいいと思う」と評価。他方で久保さんからは「学生も価値観などが大きく変わっていく。例えば通年採用で2年生の秋に内定が出たとしても、その後に考えが変わる方も多い」との不安要素も挙がりました。

就職活動が早まっていることに対し学生はどう思っているのか。話を聞いてみると「不平等に感じることはある」、「優秀な学生は早い段階から動くのは事実。それに追いつくために努力しないといけないし、早めに動かないといけない」、「企業が早めているから学生も急がないといけない。しょうがないけど納得はしていない」といった声が寄せられました。
ここまでを振り返り久保さんは「偉い人も含め“大学のあり方”を考えてほしい。例えば、修士に進学するとすぐに就活が始まり、1年の秋に内定が出たら、本来その後は研究など頑張らないといけないが疎かになってしまうこともある。実際、ここ5〜10年で(日本の)研究の質や論文の引用数は下がっている」と語り、かたや神保さんからは「今はルールを破った人が得をしてしまっているので、法律で禁じることはできないとしてもルールを守った方が得をするインセンティブをつけるなどはできると思う」という意見もありました。

◆インターシップはありか、なしか
学生が一定期間企業で実務を体験できる制度で、仕事の進め方や社風を見ることで企業への理解を深めることができる“インターンシップ”のあり方についても懸念の声が上がり始めています。というのも、2022年からインターンでの評価を企業が採用選考に利用できるルールが作られました。そのため採用戦略の一部として積極活用する傾向が見られますが、実質的に選考が早まり囲い込みの一因になっているという見方もあります。
そうした中、昨年6月に三菱地所が2027年卒の採用でインターン制度の廃止を発表。廃止の理由として同社は「学生の本質的な成長機会を逃している恐れがある」、「早期に準備できた人が優遇されやすい」などを挙げ、採用イベントを多く開催するなどして選考の密度を高めていきたいとしています。

これに対し久保さんは「インターンシップは職業体験という名目だが、裏の目的はただただ(学生と)接点をもちたい、(学生の)リストを集めたいだけになっている」とし、三菱地所の考えに賛同。しかし、田中から「学生の身からするとインターンには行きたい。(就職が)決まってから(思っていたのと)全然違ったとなるのもイヤなので」との声も。

◆学生のための就活ルールとは?
就活ルールはどうあるべきか、最後に議論の参加者が提言を発表します。神保さんは“大学が団結し、ルールを守らせる仕組みを導入”。「大学側が団結して企業にルールを守らせる仕組みを導入することを提案したい。例えば大学と国が就活イベントを主催し、そこに参加できるのはルールを守っている企業のみなどルールを守るインセンティブを設計していくべき」と主張。

一方で島田さんは“実効力をどうするのか?”。「(ルールを守らない)企業名を開示する検討も行われたようだが、それも罰則に近く実現できない中で、あり得るとすれば企業に任意に情報を開示してもらって『この企業はルールを守っている』とわかるような仕組みになればいい」と話す傍ら「ただ、それも強制はできないと思う」とも。

続いて久保さんは“就活生ファースト”。「ルールを守っている企業に公認バッジをつけたり、ホームページで公開するのもいいと思うが、ルールを決めるときに就活生ファーストであってほしい。これが根本にないといいルールはできない。政府と大学が一緒になって作っていってほしい」と切望します。

そして、キャスターの堀潤は“卒業を厳しく、大学側の改革”。「大学側も就職内定率をブランド力に使っているところがある。それは果たして本当に大学がやるべき本分なのか」と疑問を呈しつつ、新卒一括採用は卒業が前提となっているだけに、その卒業のハードルを上げることを提案。「大学側も改革が必要なんじゃないか」と訴えます。

田中も“学業をもっと見る”とし「企業が採用する時に(学生の)学業をもっと見る仕組みにすれば授業に出ざるを得ないし、研究を頑張らざるを得ないかなと思う」と話していました。

<番組概要>
番組名:「堀潤激論サミット」
放送日時:毎週金曜 21:00~21:25 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
「TVer」で放送後1週間Tverにて無料配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx





