問われるライフワークバランス…国会議員に仕事と子育ての両立は可能?

2026.01.20(火)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週金曜21:00~)。放送では“国会議員の働き方と子育ての両立”について議論しました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週金曜21:00~)。放送では“国会議員の働き方と子育ての両立”について議論しました。

◆寺田議員の政界引退、その理由は?

2003年に初当選し、これまで7回当選。妻も参議院議員をつとめている立憲民主党の寺田学議員が今期限りでの政界引退を表明しました。その理由は“子育て”です。

東京や地元・秋田での議員活動と小学6年生の息子の子育ての両立に限界を感じたそうで「私が引退することで家事や育児を一層担い、妻の活動を優先することを改めて相談し、妻も受け入れてくれた」とその経緯を語ります。

子育てと仕事が両立可能な社会を目指す国会議員がなぜ今回の決断をせざるを得なかったのか。今回は寺田議員と弁護士の島田さくらさん、ジャーナリストの風間晋さん、ライターのヨッピーさんとともに考えます。

島田さんは寺田議員の引退について「これから共働きでも働きやすい社会を作った上で子どもが増えてもらわないといけないのに、政治を動かしていく議員が両立できない状況というのは考えたことがなかったのでビックリしました」と驚きを隠せない様子。

一方、風間さんからは「この問題は規則を変えればいい話なんじゃないか?」と質問が。これに寺田議員は「平日の国会活動はなんとか夫婦でやれましたが、土曜・日曜に地元に帰って活動しないといけないときに子どもの面倒は誰が見るんだということになる。そこがなかなか難しかった」と返答します。

さらに、ヨッピーさんが「決断は偉いと思うんですけど、国会議員としては踏みとどまって両立する。共働きでこなせる仕組みに変える方向で頑張って欲しかった」と語ると、寺田議員は改めて週末の地元活動の大変さを説明しつつ「子どもを犠牲にして果たしていい政治ができるのかというのは私は疑問」と私見を述べます。

◆ネックとなるのは週末、地元での活動

寺田家の1日のスケジュールを見てみると、家事や子どもの弁当作りのため朝6時に起床し、7時に出勤。8時〜午後6時までは委員会や議連の会合のほか国会活動。そして、子どもの帰宅時間にあわせて帰宅しますが、夜の会合などがある場合は夫婦交代で参加。その後、午後9時からプライベート、深夜0時に就寝となっています。

加えて、寺田議員の引退理由についても改めて解説。まずは、子どもが体調不良になると予定が崩れ、政治活動に制限がかかること。子どもの成長とともに親がより向き合う必要があると感じたこと。さらには、女性議員が少ないからこそ妻が議員を続けるべきだと思い引退を決めたということでした。

ただ、前述の通り議員活動の中で大変なのが週末の地元での活動で、これは政治家である限り避けられないとか。「次の選挙に向けて活動する身で地元に帰らないというのはありえない。自分の選挙区に帰って有権者の声を聞くことは大事ですし、声を聞くだけでなく、さまざまなところに顔を出して人間関係を作ることが票の積み重ねになることは事実。それを飛び越して選挙に勝ち続けることは現実的に無理だと思います」と寺田議員は言います。

◆長時間かつ不規則…国会議員の仕事は大変

では、子育てしながら国会議員として活動をするためにはどうすればいいのか。課題のひとつが働き方が長時間かつ不規則な“国会のシステム”です。国会日程が直前まで確定せず、国会審議は長時間に及ぶことも。さらに、夜間国会・徹夜審議・深夜までの国対協議などで保育・送迎・家事などの計画が困難です。

高市総理は総裁選に勝利した際、ワークライフバランスに関して言及していましたが、寺田議員は「働ける環境があったら正直働きたい」と言いつつ「結局のところ働く影には誰かのサポートがある。そのサポートを誰もしてくれなくなった時に大変なことになる。ウチの場合はお互い働き続けることは難しく、サポートに回る側がひとり必要だった」と振り返ります。

ここで風間さんとヨッピーさんからは、平日の国会活動をリモートにするなど働き方を改善することで両立できるのではないかという意見がありましたが、寺田議員によれば国会活動は改善の余地があるものの、やはりネックとなるのは週末の活動で「自分自身だけでやれる部分とやれない部分がある」と苦慮。

例えば、子どもを同伴するにしても大きくなると子どもの予定もありどちらかが家に残らねばなりません。「(夫婦)2人とも中途半端な活動しかできなくなるので選挙に勝ち続けるのは難しい」と寺田議員。ただ、そこで重要になってくるのが“有権者の理解”です。寺田議員は「政治家と有権者がお互い歩み寄ることが大事」と主張します。

◆オンラインに加え政党のサポートも

国会議員の働き方を是正するためにはどうしたらいいのか。政治や選挙制度に詳しい拓殖大学政経学部の河村和徳教授に話を伺いました。まずはどんな変革が必要か聞いてみると「国会議員は政党中心の選挙になっている以上、本来はスキームをきちんと各党で作るべき」と河村教授は政党のサポートの必要性を訴えます。

さらに、「オンラインで意見を言う場を作るのは必須。地方でも他国でもやっているわけで、(国会議員は)国会議事堂に来ること自体が権威化している」と指摘し、「オンライン技術が逆に国会の日程闘争などをなくす方向に持っていけるのではないか、そこがポイント」とも。

なお、憲法では本会議は総議員1/3以上の出席が定められていますが、オンラインも出席とするか否かについては「その解釈もできなくはないが、憲法の解釈を安易に広げると何でもできることになってしまうので、そこは少し考えた方がいい」と島田さんは案じます。

寺田議員もオンライン導入は賛成で、現在は国会でもいろいろな試みが検討されているそうですが、「正直、オンラインで物理的な出席をしなくなったら楽になるかというと、あまり変わらないかもしれない」との言葉もありました。

また、政党のサポートについても寺田議員は賛同。しかし、日本は選挙の際、政党よりも個人が重視される傾向があるそうで、「イギリスやアメリカは政党が前に出ていて、政党活動を一生懸命やることで地盤を作っていく。議員個人でなく政党が地元活動の中核になれば劇的に変わると思います」とのこと。

ここまでの話を聞きヨッピーさんは「寺田さんのような国会議員が増えれば政党も変わってくるんじゃないか」と感想を述べると、寺田議員は「私の場合は育児に加え母親の介護も始まりました。昔は(仕事と育児)両立できると思っていたんですが、子どもが小学校の高学年になると内面と向き合わないといけないときが出てくるので、そこは親として時間を使いたいと思いました」と心の内を明かします。

◆国会議員でも共働きを実現するためには?

国会議員でも共働きが可能な社会にするにはどうすればいいのか。今回の議論をふまえ参加者が提言を発表します。

まず風間さんは“連続多選規制”。「例えば2回連続で当選したら1回休みとか議員の選ばれ方を変えないとダメ。そうすることで国会のマインドも変わってくると思う」と抜本的な改革を望みます。

一方、島田さんは“憲法下でのリモートルール活用”。「リモートの技術も変わってきているので、できる範囲で使う。両立できるような工夫はどんどん進めていった方がいい」と言います。

かたやヨッピーさんは“良かったね”。「奥さんが働いて、自分は子どもと向き合う権利を得たというポジティブな考え方をする男性が増えると社会全体も変わってくるかなと。人生において子どもと向き合える時間はそんなにない。国会も大事でしょうけど親としては子どもと向き合う時間の方が大事だと思って当然」と子育てによる引退を肯定的に捉えます。

そして、寺田議員は“互いに前へ”。「政治家と有権者が一歩ずつ前に寄り、握手したら投票する、夏祭りに顔を出したから投票するとかじゃなく、もう少し内面を見るために前に出る。政治家側も批判を受けても自分の考え方を前に出し、みなさんにお伝えするのがいいんじゃないか」と提案。

最後にキャスター堀潤に代わって司会をつとめたフリーアナウンサーの荘口彰久さんは「オンライン出席など(仕組みを)変えていくべきだと思うが、(寺田議員は)いろいろな考えを持っているから、議員じゃなくなっても外側からでもいろいろな働きかけをしてほしい」と熱望していました。

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<番組概要>
番組名:「堀潤激論サミット」
放送日時:毎週金曜 21:00~21:25 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
TVer」で放送後1週間Tverにて無料配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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