電気の街、オタクの街…変化する秋葉原を多様な文化の聖地にするためには? 千代田区長を交えパブリックミーティング開催

2026.01.16(金)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週金曜21:00~)。番組では、千代田区の樋口高顕区長を迎えて「パブリックミーティング in 秋葉原」を開催。後編の放送では、秋葉原を多様な文化の聖地にするために必要なことについて議論しました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週金曜21:00~)。番組では、千代田区の樋口高顕区長を迎えて「パブリックミーティング in 秋葉原」を開催。後編の放送では、秋葉原を多様な文化の聖地にするために必要なことについて議論しました。

◆電気街からオタクの街…秋葉原は変化する街

2週に渡ってお届けしている「パブリックミーティング in 秋葉原」。前編の放送では「安心・安全な秋葉原の街づくり」について議論しましたが、後編のテーマは“秋葉原の文化”です。

参加者は前回に引き続き、千代田区出身の万世橋地区町会連合会長・佐竹信敬さん。アニメやプロレスなどとのコラボを実現させてきた神田明神の禰宜・岸川雅範さん。「氷の国のメイドカフェ リリアンプリアン」の接客マネージャー・凪チルタリカ=リリアンプリアンさん。さらにはアニメやゲームなど日本のサブカルに詳しいドイツ公共放送プロデューサーのマライ・メントラインさん、The HEADLINE編集長の石田健さん、そして樋口区長の8人。秋葉原が今後もカルチャーの中心地として発展し続けていくために必要なことを話し合いました。

そもそも秋葉原は1940年代、戦後に露天商として賑わい、高度成長期に電気街が形成されます。80年代に入るとファミコンの普及でゲームソフト店が急増し、90年代はコンピューター専門店が続々オープン。2000年代にはアニメやゲームの店が増えると同時にメイド喫茶やAKB48が大流行。そして、2010年代以降は外国人観光客、さらにはコンセプトカフェや企業のオフィスも増え、多様な文化が交差する街になりました。

こうした秋葉原の変化について、愛三電機株式会社代表取締役で秋葉原商店街振興組合理事長の河合洋さんは「秋葉原は変化とその積層の街。安心安全で先端技術と熱意が集う未知を創造し、時代を担う人々を街全体で育むイノベーションの街であってほしい」とコメントしています。

まず石田さんとマライさんから今の秋葉原の気になる点が。石田さんは「各都市が“日本といえば”、“アニメといえば”みたいなところで競争している中、いかに秋葉原ならではの独自性、来る理由を作るかが気になる」と言います。

マライさんは「今は(観光客が)メイド文化などサブカルの空気感を味わいに来ていると思うので、その空気感をどうやって保つか」と注目ポイントを示唆。

一方、1950年生まれでこの街の歴史を知り尽くす佐竹さんは「電気街の前には電線屋があり、トランジスタができた。秋葉原はここにしかないもの、秋葉原ならではのものがあって発展してきたと思う。ですから、いろんなものが入ってくるのは秋葉原らしい。商業地ですからどんどん変わっていくのは常識的」と変化に対して肯定的。

また、岸川さんが「(変化の中でも)忘れてはいけないのは“神田市場”。さらに明神下という門前町で中山道が通っていた。つまり、秋葉原は人が行き交う場所だったことは確かで、秋葉原はそうした歴史的変遷の末に今に至っている」と指摘すると、キャスターの堀潤も「土壌はやはり深い文化的な価値と人の交流。ここが大きな起点」と同意します。

そして、2010年代にメイドになった凪さんは「ごちゃごちゃしている空気感が良さというか、(秋葉原は)誰でも受け入れてくれる感じがする。集まる人もメイドカフェやオタク文化への理解が深かったり、ほかの街よりもそういうのを受け入れてもらいやすい空気」とそれぞれ思いを語ります。

◆アニメの聖地は秋葉原以外にも…

秋葉原はアニメの聖地として栄えてきましたが、いまや“聖地”と呼ばれる街は秋葉原だけではありません。池袋や中野も台頭しています。では、各所どんな違いがあるのか。都市ジャーナリストの谷頭和希さんに聞いてみると「それぞれターゲットにしている人が違う印象がある」と回答。池袋は乙女ロードを中心に“女性オタク向け”、中野は狭い範囲に密集して“ディープなオタク向け”、秋葉原はアニメカルチャーだけではない “ライトなオタク向け”と区分けできるといいます。

加えて、秋葉原の文化を醸成していくためには“民間企業の力”が不可欠と谷頭さん。「秋葉原は雑居ビルが多く、テナント数も多い。要は民間事業者がすごく多い。ですのでそういった人たちの力は必須で、一方でそれを“官”、役所側がいかにコントロールするか。どういう街を作っていきたいのかビジョンを提示し、民間をうまくコントロールしていく。理想的な意味での官民連携が必要」と主張します。

この意見に樋口区長は「今まで千代田区としてこの街を規定も誘導もしていない。いろんな専門性があるのが秋葉原の良さですから。みなさんがチャレンジできる場にしていけると、次世代の未来を感じさせる秋葉原らしさを継承できる街になっていくと思う」と感想を吐露。

また、石田さんはここ10年で秋葉原の代名詞でもある“オタク”という言葉のイメージが変化していると指摘。「コアな趣味を持つ一部の層というところから、いまや高校生のクラス全員がオタクを自認し、何かしらの推し活に関与している。(オタクが)サブカルではなくメインのカルチャーに変容していて、だからこそそのための支援も大事なんじゃないか」と言います。

一方、マライさんは「秋葉原は広くて、アニメ、漫画、ゲームなどいろんなことが同時に存在しているが、最近はオフィスビルが増えてサラリーマンが通勤している。そういった空気との棲み分けができているのか。その辺り整理されていない感じがして(ファンを)逃してる感もある」と懸念。

かたや佐竹さんは「街はいろいろな形があるが、多様性を持った街が発展していく。次から次へと変化していく方が街としては生きるし人も増える。あまり深くなると専門的になってしまうので、それ以外の方は来ない」と語り、凪さんからは「(お店に)入った頃は“ザ・オタク”という感じの方が多かったんですけど、最近はライトな感じで何かを推すことが広まってきているので、そういう人たちに向けたアプローチも必要だと思う」といった意見もありました。

◆秋葉原に新ランドマーク…再開発の価値とは?

現在、秋葉原は再開発の真っ只中。神田川沿いの万世橋がかかるエリアには2033年頃に新たな超高層複合ビルが誕生する予定となっています。そこはオフィスの他、商業施設やホテル、集会場などが入り、さらには歴史ある神田須田町や神田淡路町と観光地である秋葉原駅周辺を繋ぐ架け橋としての役割も担うそうです。

こうした再開発について岸川さんは「同じようなビルがどんどん建っている印象があるが、昨今はその地域の文化を取り入れていた再開発が出てきている」と語り、「この区域の歴史的な文化は何かというと“神田祭”だと思うので、神田祭あるいは祭礼文化を取り入れた開発をしていただきたい」と切望。

樋口区長は再開発に疑念を持つ方もいることを理解しつつ「誤解のないようお伝えしたいのは、これは秋葉原全てが再開発されるわけではない。神田川に面した北側区域だけで、総武線北側の秋葉原らしい路面店やビルが残るところに今後再開発が起こるとは考えにくい。というのも、ビルや地権者がかなり細分化されていますから。そうした意味では秋葉原の最後の方の再開発になると考えています」と現状を解説します。

さらには「再開発に期待したいのは、秋葉原はどこへ行ったらいいのか分からない、あるいは滞留できる場所がない。何万、何十万の方が来街されるものの実は滞在できる空間が少なく、防災の拠点もない。そうしたことを考えると、やはり再開発でしか担えない価値があると思います」とも。

◆秋葉原を多様な文化の聖地にするためには?

では、秋葉原を多様な文化の聖地にするためには何が必要なのか。最後に議論の参加者たちが提言を発表します。

まず、マライさんは“ここに行けばサブカルの最先端がある”。「今の秋葉原は流行りを太くしているだけで、実は最先端ではない気がする。(最先端でいるために)オピニオンリーダーを集めて座談会をしたり、委員会を作ってPRも強化してた方がいい」と提案します。

続いて、石田さんは“良質な事業者を呼ぶコンセプト”。「住民にとっては安心・安全じゃないとダメなので、やはり良質な事業者が集まるのが鍵。(そのための)良質なコンセプト。10年、20年と一緒に事業をやっていきましょうと共感してもらえるコンセプトメイキングが行政側に求められている」と訴えます。

一方で佐竹さんはシンプルに“自由”。「いろんな人が街に来て自由にやって、(秋葉原を)変えていく人もいれば変えない人もいる。変えない人はこの街を去り、変えていく人は残る。そういう意味では自由な街を形にしていかないと人は集まらない」と持論を述べます。

岸川さんは“歴史と誇り”。「“秋葉原発”というものは多くあり、だからこそ秋葉原の存在意義がある。そして、それを知るためには歴史を振り返り、ひとりひとりがいかに(秋葉原で)生きてきたか(が大事)。そういう思いを表に伝えていかないとけない」と主張し、そのためにもTOKYO MXに秋葉原を題材にした番組制作を提案する一幕も。

また、凪さんは今回の議論で「文化は人が作っていく」と感じたそうで“発信力を持っている人に来てもらえるイベントを”と提言。そうすることでより聖地巡礼などができると期待を寄せます。

そして、樋口区長は“まず、安全安心、そして多様な文化や先端技術と融合”。「(秋葉原のイメージは)家電製品からアニメや漫画などへと変わってきましたが、今後の秋葉原はこれからみなさんと作り上げていくものだと思います。今は専門性が薄れている、最先端のものがないというところもありますが、いろいろな若い人たちを呼び込めるような刺激を受ける街づくりをしていきたい」と今後の展望を語ります。

最後に堀が掲げたのは“家賃交渉”。「最先端なものは、まだ市場を形成していないから最先端。市場を形成し高額な家賃を払えるようになったものは日常化して広く浸透してしまっている。つまり家賃・固定費がどんどん出ていく街は自由がない。再開発が進むと家賃も高騰していくので、家賃交渉を誰がするのかは重要なポイントなんじゃないか」と独自の見解を示していました。

「パブリックミーティング in 秋葉原」前編はコチラ
https://s.mxtv.jp/tokyomxplus/mx/article/202601120650/detail/

※この番組の記事一覧を見る

<番組概要>
番組名:「堀潤激論サミット」
放送日時:毎週金曜 21:00~21:25 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
TVer」で放送後1週間Tverにて無料配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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