TOKYO MX(地上波9ch)の曹蒙記者が外国人記者の視点で東京の魅力や課題を伝える「TOKYO LENS」のコーナー。今回は日本の「箸」の奥深い世界を取材しました。
◆日本の箸の「繊細さ」…日本の豊かな食文化と共に独自の進化
日本の食卓に欠かせない食器「箸」。普段、箸を使わない外国人に日本の箸文化について聞いてみると、アメリカから来た女性は「箸を使うのは本当にすごいスキル。日本の皆さんは誇りに思っていいと思う」と感嘆し、アイルランドから来た男性は「日本に来て初めて箸を使った。難しかった、使い方にコツがいるよね」と言い、総じて「独特」「使いこなすのが難しい」といった意見が。

箸の起源は一説には中国とされ、東アジアを中心に広まりました。しかし、日本の箸には他国にはない特徴があると、日本箸文化協会代表の小倉朋子さんは指摘します。

「日本の箸は箸先がとがっていて細くて、手に合うように短くなっているのが特徴。伝統的な和食は細かいものがいろいろで、お豆をつまんだり、ひじきの煮物とか繊細な料理にも適していて、うまくつまめるようになっている」と話し、和食に対応して繊細な使い方ができるよう、独自の進化を遂げたといいます。

◆用途で選ぶ楽しさ!3000種類以上が並ぶ専門店
箸の進化の多様性は、東京・銀座にある箸専門店「銀座夏野 本店」を訪れると一目瞭然です。

この店で取り扱っている箸は常時3000種類以上。用途に応じて太さや素材、形状が異なります。

店員の峯村さんによると、特に用途に特化した箸が人気だといいます。例えば「焼き魚が食べやすいお箸」は箸先が細いので、焼き魚の骨など細かい物もつまみやすいです。

他にも先端が平らになっていて、丼でご飯をかき込むのに適した箸や、持ち手が凸凹していて手に馴染みやすい箸などもあります。

日本の箸がこれほど多様化している理由について峯村さんは、日本人があらゆる食事シーンで箸を使うことが影響していると言います。「アジアの多くの国で箸は使われていますが、日本だけが食事を箸だけで完結することができる。例えばつまむ・割くであったり、麺類もつまむことができる。使いやすさでもそうですし、食材に合わせてお箸を選んでみても面白いかなと思います」と話します。

そんな日本の箸は海外からの人気も高く、店を訪れる客の約4割が外国人だということです。

箸の魅力について聞いてみると、オーストラリアから来た女性は「箸はとてもシンプルで使いやすい。いくつもの道具を使い分ける必要なく、使い終わったら箸だけを洗えばいいから楽です」と感心した様子。

インドネシアから来た女性は「インドネシアではシンプルで安価な箸しか使わない。だからここでこんなにたくさんの種類の箸を見られるのは驚き」と奥深さに感銘を受けた様子でした。

◆「割り箸」は日本のおもてなしとエコの象徴
独自に箸文化が発展する中で、日本で生まれた箸もあります。それが「割り箸」。

割り箸は江戸時代に酒樽を利用して作られたのが始まりと言われており、小倉さんは「誰も使ったことのない新品の箸でおもてなしができるのではないか。もてなす気持ちから作られたという説がある」と話します。
使い捨てのため環境に悪いイメージを持たれやすい割り箸ですが、千代田区の割り箸専門店「箸勝本店」によると、実はとてもエコな製品だといいます。

箸勝本店の宮本専務は「割り箸は日本では端材・間伐材を利用して作っている。特に森林の間伐をしていかないことには、森林資源は再生・育成されない。環境に貢献しているのが割り箸だと思います」と語ります。
割り箸は環境への配慮と、おもてなしの心が産んだ、日本ならではの製品です。

ちなみに割り箸にも種類があり、お正月などの祝い事に使われる、両端が細くなった「祝い箸」は、片方を人が、もう片方を神様が使うとされ、神様と共に食事をするという意味が込められています。

日本の食事に欠かせない箸。食文化に応じて独自の進化を遂げていました。





