TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週月~金曜21:00~)。放送では、生成AIによる表現の許容点について議論しました。
◆生成AIによるコンテンツが台頭
2025年9月、Open AI社がAI動画生成モデル「Sora2」を発表しました。初代よりも動画生成が簡単で日本語にも対応。既存の動画生成AIと比べハードルが低いにも関わらずハイクオリティーとあって、SNSには「Sora2」で生成した動画が多数投稿されています。

しかし、その一方で著作権の問題や映像の信頼性低下、詐欺に使われる危険性などが危惧されています。

また、生成AIを巡っては近年実物と見分けがつかないほど精巧な人物の画像や動画も登場。生成AIの問題に詳しいレイ法律事務所の植田弁護士は「使い方によっては違法、優良誤認表示にあたる可能性がある」と懸念します。

果たして生成AIによる表現はどこまで許されるのか。生成AIのコンテンツが台頭している今、そのあり方について考えます。
◆AIタレントのメリット・デメリット
近年、企業などのPR活動に生成AIによるAIタレントやAIモデルを起用するケースが増えています。2023年秋には飲料メーカー「伊藤園」が、去年1月には福島県楢葉町が移住促進のPR大使としてAIモデルを抜擢しています。

AIタレントなどを起用するメリットとしては、人件費や移動費、撮影費用などの「コスト削減」。不祥事などがなく「リスク回避」にもなります。そして、多言語対応のため海外市場への展開も可能で、スケジュール調整も容易。さらには同じ見た目を保つことができるため「イメージの一貫性」も生まれます。

多くのメリットにライターのヨッピーさんは「(人間は)もう勝てない。お手上げ」と降参状態。かたやキャスターの堀潤は人間の体温を感じるからこその良さがあると言い「人に対しての感情をAIは補完できるのか?」と疑問を呈します。

これにAIコンサルティングなどを手掛ける株式会社オーガイ代表取締役の山田魁さんは「そこはあまり補完しないと思う。AIが作った画像は“不気味の谷現象”と言われるようにAIだとわかるものがある。そこに慣れて購入を控える人もいる」と返答すると、ヨッピーさんからは「僕は“不気味の谷現象”さえも簡単に超えると思う。開発と進化のスピードが早く、もはや今は本物かどうか見分けがつかない」との意見も。

AIタレントの起用については懸念点もあります。ひとつはこれまで画像や動画などの制作に関わっていた人たちの仕事がなくなること。例えばモデル、タレント、コメンテーターやカメラマン、メイク、アニメを作るアニメーターや声優などが挙げられています。

ただ、これに対し統計家の西内啓さんは「付加価値がある人には仕事が来るし、言われてやるだけでなくもう一段階上のプロデュース能力がある人は重宝される」と持論を展開。

タレントの山崎怜奈さんも起用するものによると前置きしつつ「ファンを作り、集客できるのかは生身の人間とAIタレントの違いでもあるのかなと思う」と私見を述べると、堀も「相当個性を持ったAIじゃないとファンは付きにくい」と追従。

しかし、キャスターの田中陽南からは「初音ミクなどの人気を見ていると人に依存するものでもないのかなという気がする」という意見が。堀は「これだけ二次元の産業が成り立っている日本だからこそだが、それ(キャラクター)と同じ捉え方でもよいか?」と問うと、山田さんは「初音ミクも最初は人間が作り、その後同じようなものがAIから生まれているが、結局初音ミクが一番いいとされている。やはり人間の熱量や関係値というのは大事」との意見が。さらに「人は裏の物語を見たいものと思うが、AIにはそれがあまりない。だから人が作ったものは残っていくのでは」と語ります。
◆生成AIによる人物像、法律上の問題は?
AIタレント・モデルを巡っては肖像権侵害の線引きが曖昧で、明らかに本人そっくりでない限りはそのモチーフは分かりづらいと言われています。実際、番組が堀とヨッピーさんの顔を合成した独自の人物像を生成したところ、2人の面影はあるものの誰をモデルにしているのかは本人含め誰もわかりませんでした。

似ているというだけで肖像権侵害は主張できるのか。植田弁護士に聞いてみると「法律上問題になる点はいくつかあり、例えば著作権違反、肖像権、パブリシティ権が主に問題になる。おそらく学習させた元データがあると思うが、それもひとつの著作物。それと似ている、関係がある場合には著作権侵害になる可能性がある。どのくらい元データに似ているかが著作権侵害の分かれ道になる」と言います。

また、犯罪だと立証することは可能だそうですが「元データに何が使われているのか開示を求める制度はいまだない。そうすると、似ているけど偶然の産物という言い訳もできるところがあり、元データの開示義務は法律上しっかりと整備しないといけない」と問題点を示唆します。

この問題に関してはヨッピーさんから「作った方も何のデータを元にして作ったのかわからない、『僕は指示を出したが何を元データにしているかわからない』となると立証のしようもないし戦いようがない」とさらなる指摘も。

また、西内さんは「“不混同権”があってもいいんじゃないか。自分の写真ではないが自分に似たようなものを作られ、それを自分だと思われるなら、それは僕の何かを侵害しているんじゃないか。この議論も進めてほしい」と時代に応じた規制の必要性を訴えます。
◆キャラクターを使った動画に関する規制は?
2025年9月にローンチされた「Sora2」は文章による指示で簡単に動画を作成することができ、人物やキャラクターの動画なども作成可能です。これに対しアメリカ映画協会は「会員の映画・番組・キャラクターを侵害する動画が急増している」として即時対応を要求。また、「マリオ」や「ポケットモンスター」、「スタジオジブリ」などに似たキャラクターも生成できることから国内でも批判が高まりました。
これには日本政府も反応しています。城内実前科学技術担当大臣は10月、「アニメ・漫画は日本が世界に誇るかけがえのない宝」だとして、Open AI社に著作権侵害となるような行為をしないよう要請したと明らかにしています。

山田さんによると現在は規制が厳しくなり、「Sora2」ローンチ当初はキャラクターを使った動画が多数現れたものの、数日後には規制されたとか。「最近はOpenAI側も規制を世にあったものにしていこうといったリリースを出しているので、OpenAI側と我々の対話が今後必要になってくると思う」と言います。

◆生成AIによる表現はどうあるべきか?
では、生成AIの表現はどうあるべきか。議論に参加した論客が提言を発表します。まず西内さんは改めて“不混同権”を主張。新たな法律の必要性を訴えます。

続いて山崎さんは“私たちはどう生きるのか?”。「私はタレント業をしているので、自分が関わることで企業にどんな恩恵をもたらすことができるかといったことも考えないといけないし、一方でAIに奪われかねない仕事はタレントのみならずいろいろあると思うので、AIをうまく活用する側に回るにはどうすればいいのかを同時に考えていきたい」と語ります。

一方、ヨッピーさんは「国家間で連携して規制・ルール作りをしてほしい」と切望。「これは包括的に一斉にやらないといけない」とし、さらには「ポルノとかと結びつくと重大な人権侵害が起こり得るので真剣にやってほしい」とも。

山田さんは「生成AIが普及していく中でAIをダメというのはよくない。人間と人口知能が共存していく世界をみんなで作っていくべき。禁止にするのではなく歩み寄っていくことが必要」と“臨機応変”の対応を望みます。

最後に堀は「(AIを)楽しむのはいいがのめり込みすぎない、AIが真実とならないよう『あんなのは飾り』と突き放すぐらいでいいんじゃないか」と節度のある対応を求めていました。

<番組概要>
番組名:「堀潤激論サミット」
放送日時:毎週金曜 21:00~21:25 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
「TVer」で放送後1週間Tverにて無料配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx





