TOKYO MX(地上波9ch)の曹蒙記者が外国人記者の視点で東京の魅力や課題を伝える「TOKYO LENS」のコーナー。今回は、海外に広がる日本の「漫才」を取材しました。
◆フィンランドで初開催!フィンランド人芸人が漫才に挑戦
北欧フィンランドで初めてとなる漫才大会が6月に開催され、現地の人がコンビを組み、日本の漫才を踏襲しつつフィンランドの言葉でボケやツッコミが繰り広げられました。

「俺はフィンランド初の漫才芸人。ラッパー・プロデューサー・ミュージシャン・エンタメ万能男、名は「アーポ・アラレ」。そして隣にいるのが、誇りをもって紹介しよう。こいつは…「ダンスク」だ」
「俺にも何か肩書くれよ!」
「彼は、フィンランドナンバーワンの漫才芸人!…のいとこだ」

会場に集まった約150人の観客を大いに沸かせ、見事優勝したのは、いとこ同士でコンビを組んだ「OHO」です。

2人にインタビューすると、「漫才は私たちにとって新鮮で、キャラクター間の掛け合いがとても魅力的でした」と漫才の面白さを語り、漫才を披露した時は「とにかく楽しかった。すごく笑ってもらえて感動した」との感想が。

そして、日本の漫才の動画をたくさん見て必死に勉強したことを明かしました。

◆「ツッコミ」は日本独自の文化…フィンランド人にとっては馴染みのない概念
漫才の起源は古く、平安時代に生まれた、新年にめでたい言葉を歌って家の繁栄と長寿を祈る「千秋万歳」がルーツと言われています。

そしてその後の漫才は、主に2人1組のボケとツッコミの掛け合いを中心とする日本独自の演芸として人気となっていきます。
漫才が根付いた理由について、お笑いの研究を行う江戸川大学の西条教授は「ボケとツッコミ形式が日常生活に取り入れられやすい、きわめて日常生活に近いエンタメとして若い人たちの中で取り入れられて、流行った。コンビネーションプレーみたいなことが日本人の気質に合っている」と解説します。
しかし、海外ではステージに1人で立ち、客席に向かって喋りかける「スタンダップコメディ」が主流のため、漫才の重要の要素である「ツッコミ」という文化が定着していないといいます。

その背景として、外国は日本に比べて民族や文化が多様で、共通の認識が少ないと西条教授は指摘します。「ツッコミ側の人も見ている人たちの常識とか良識を代表してツッコむんだけど、いろんな人種の人たち、いろんな考え方の人たちがいると難しい」と西条教授。

「ツッコミ」という日本独自の文化について、オーストラリア出身で日本で25年以上芸人を続けているチャド・マレーンさんは、「日本語が言語としてツッコミに向いている」と分析します。

「英語はちょっとセンテンス(文章的)になりがちで、言葉としてきまりが悪い。ツッコミというもの自体は発想としてはあって、極端な話ボケっぱなしでもお客さんが心の中でツッコんでくれるから笑ってる。ただツッコミをわざわざ言語化するのはなかなか高度で、これが面白い」と説明します。

フィンランドの漫才大会で優勝したOHOも、言葉による「ツッコミ」に苦労したそうです。

「ツッコミはフィンランド人にとっては馴染みのない概念。なのでそのまま真似しても伝わりにくい」といい、OHOの2人はボケの比率を増やしたり、顔や動きによるリアクションを多用したりして、その壁を超える工夫をしました。

今回フィンランドの大会を主催した高城さんは、漫才が世界に広がる可能性について「フィンランド語のダジャレや、現地の時事ネタなどを取り入れることもできる。同じフォーマットを使っているけど、この国ではこういうローカルでウケるものが扱われるとか、いろんな魅力が生まれる可能性があると思っている」と語っていました。





