卵の価格高騰を抑える切り札となるか? 長期保存可能、生食用の開発も進む“加工用たまご”

2025.12.10(水)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜20:00~)。家計に関するお金のニュースを深掘りする「豊崎由里絵の家計Lab」のコーナーでは、高騰している卵の新たな救世主について取り上げました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜20:00~)。家計に関するお金のニュースを深掘りする「豊崎由里絵の家計Lab」のコーナーでは、高騰している卵の新たな救世主について取り上げました。

◆エッグショック再来…卵価格が高騰

JA全農たまごによると、10月のMサイズ卵の平均卸売価格は1㎏あたり326円とエッグショックと言われた2023年春頃の水準に迫っています。また、2020年の同時期と比べると5年間で約2倍に高騰しています。

その要因のひとつが“鳥インフルエンザ”です。10月22日、北海道白老町の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザの感染が今季初めて確認され、約45万2,000羽が殺処分されています。

◆広がりをみせる「加工用たまご」

そうした中、卵の安定供給に向けた取り組みが注目されています。

10月31日から表参道周辺の飲食店9店舗が卵料理にスポットを当てたイベント「STOCK EGG DINING~ひらけ、タマゴのおいしい世界。~」が開催されました。そこでは卵を乾燥させて粉末状にした「乾燥卵」や溶いた卵を凍結した「凍結卵」など、全ての料理に“加工用たまご”が使用されています。

この加工用たまごについて、食品産業の健全な発展と新しい社会的課題を解決するために各種の事業を行なっている食品産業センターの根本さんは「加工用たまごは1〜2年間の消費期間があり、消費期間が長い卵を広く普及させることで一時的に大量になくなってしまう環境をしのぐことができるのではないかと期待を持って進めている」と言います。

通常、卵は需要と供給が絶妙なバランスで保たれているため価格が安定していますが、鳥インフルエンザなどで生産量が減ると価格が大きく変動してしまいます。そこで注目されているのが加工用たまごで、これは長期保存が可能なため安定した価格で供給できるとされています。

これまで業務用としては一般的に使われていましたが、近年家庭にも広がっています。

例えば、愛知県の丸鳥鶏卵が家庭用に販売しているのが冷凍液卵「楽ちんたまご」です。溶いた卵を特殊な製法で殺菌し、パック詰めして冷凍。使う際は流水なら10〜20分、電子レンジなら約50秒で解凍し、軽くほぐせばすぐに料理に使うことができます。

同社の白井社長は開発の経緯について「ヨーロッパに行く機会があり、その時にスーパーにいったら“液卵”が普通に売られていた。日本でも液卵の販売ができればと思った」と語ります。

数年前の販売開始以来、液卵の売り上げは右肩上がりで、現在は加熱調理用のみとなっていますが、今後は生食用の開発も進めていくそうです。

加工用たまごは政府も注目しており、農水省は今年1月の会見で、マヨネーズなど卵を大量に使うメーカーは凍結液卵をぜひ活用するようにと呼びかけています。

元裁判官で国際弁護士の八代英輝さんは、過去に加工用たまごを食べた時のことを振り返り「おいしかった」と言います。そして、卵生産者の鳥インフルエンザなどのリスクに対しては支援が必要とし「卵の価格が上がっている時は生産者が悲鳴をあげているサインでもある」と指摘します。

一方、キャスターの堀潤から「鳥インフルエンザは(原因が)渡り鳥で、なかなか一国だけでは解決できないから、(各国が)連携して鳥を清潔に保つ工夫などが必要だと思う」との意見が上がると、キャスターの豊崎由里絵もより根本的な対策の必要性を訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 20:00~21:00 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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