TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜20:00~)。家計に関するお金のニュースを深掘りする「豊崎由里絵の家計Lab」のコーナーでは、政府による“電気・ガス料金支援”について取り上げました。
◆電気・ガス料金の補助が再開へ
2023年1月から一時の中断をはさみ2024年10月まで、政府は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」として電気・ガス料金に使用料に応じて補助金を出しました。また、2025年は電気・ガスの需要が高まる1〜3月と7〜9月の使用分に限り、一般家庭で月約1,000円の補助金を出しています。そして、その補助金が終了し現在は電気・ガスともに値上がりしています。

そうした中、政府は再び支援に動き出しています。高市総理は物価高対策の一環として、寒さが厳しく暖房の利用が増える2026年1〜3月にかけて電気・ガス料金の支援を行う方針を表明。当初、3ヵ月で計6,000円程度とされていましたが、さらに増える見通しです。

エネルギー料金の高騰は各所で大きな影響を与えています。そのひとつが町の銭湯です。墨田区・錦糸町で「黄金湯」を営む新保さんは「営業時間中はフル稼働しているのでどうしてもガス代がかかる」、「去年に比べて(電気・ガス料金は)10%ぐらい上昇している。ガス代だけでも100万円は超えているので大きな負担」と頭を悩ませます。

しかも、銭湯はエネルギー料金が高騰したからといって入浴料を上げることはできません。銭湯の入浴料は地域ごとに上限が定められ、料金の見直しは原則年に一度だけ。さらに、今年の都の入浴料は昨年と据え置きの550円。エネルギー価格の高騰が続く中、利用者の負担を考え値上げは見送られました。

それだけに高市総理が掲げる電気・ガス料金の補助再開に対し新保さんは「電気・ガス代に関して冬の方が大きな負担になっている。今回の補助は率直にありがたい」と喜びをあらわにします。

◆問われる補助金の是非
今回の政策は銭湯などの施設だけでなく、家庭にも恩恵があります。第一生命経済研究所の熊野さんは「電気・ガス代をどう下げるかは家計にとっては非常に大きな効果があり、家計支援としては中核になる」と言います。

しかし、一方で懸念もあります。「黄金湯」の新保さんは「(補助期間後の)翌月にすごく電気・ガス代が上がってしまうと厳しい状況になる」と短期的な支援に憂慮し「根本的にガス・電気が安定した料金で経営できたら一番我々も営業しやすい」と理想を明かします。

さらには熊野さんも「今の電気・ガス(の補助)は一時的な政策をつなぎつなぎで、短距離走を中距離走で走っているような形だと思う。見かけだけじゃなく全体の経済をどう動かしていくか、エネルギー政策をいかに持続的なものにしていくか。もっと本格的な経済のメカニズム全体を動かすような政策をやっていただきたい」と中長期的な支援の必要性を訴えていました。

今回の政策に対し、経済アナリストの池田健三郎さんは「この補助金は助かる人もいるが、いらない人まで補助している。だから、政策のターゲットとしては非常によろしくない。本当に困った人に限られた財源の中で光を当てていくのが政治の役目」と苦言を呈します。

さらには、「今後どんどん円安になって、原油価格やLNGの価格があがれば長続きするわけがない。だけど『割引しなくて結構』という人たちにも補助している。これはものすごくアンバランス」とも。
一方、元裁判官で国際弁護士の八代英輝さんは必要派。「冬場のエネルギー支援は命に直結する。一番必要な人にいくか・いかないかという点で、現状手立てがそれしかないのであれば、多少ムダになってもこの策しかないと思う」と語りつつ、「ただ、いつまでやっているんだろうというのは確かにある。一番苦しいのはしっかりと住民税などを払っているけれど生活は十分ではない人たち、彼らを救う手立てが必要になってくると思う」と指摘。

一方で「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子さんも「本当に(生活が)厳しい人たちはこれでは助からないという目線も必要なのかなと思う」と話していました。

<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 20:00~21:00 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
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