今年のサンマは“たまたま”豊漁だった…今後の漁獲量は?安定供給の切り札とは

2025.11.25(火)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜20:00~)。家計に関するお金のニュースを深掘りする「豊崎由里絵の家計Lab」のコーナーでは、 秋の味覚“サンマ”について取り上げました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜20:00~)。家計に関するお金のニュースを深掘りする「豊崎由里絵の家計Lab」のコーナーでは、 秋の味覚“サンマ”について取り上げました。

◆今年はサンマが“たまたま”豊漁…今後の見通しは不透明

かつては秋の味覚の代表格として親しまれたサンマですが、近年の不漁により価格が高騰し、食卓から遠い存在となりつつありました。しかし今年のサンマは記録的な豊漁となり、状況に変化が。全国さんま棒受網漁業協同組合によると、水揚げ量は1ヶ月半で2万トンを突破。これは歴史的な不漁であった2022年の年間総量1万8000トンをすでに上回る数字です。

この豊漁を受け、市場価格も下落。東京都内の鮮魚店では、去年1匹980円で販売されていた特大サイズのサンマが、今年は400円と半分以下の価格で販売されていました。都内のスーパーマーケットでは1匹200円台で販売されることもあり、今年はサンマがお買い得な年となっています。

しかし、この豊漁が来年以降も続くとは限らないようです。水揚げ量は年間約35万トン獲れていた2008年から、去年は10分の1以下まで減少しています。水産研究・教育機構の専門家は、今年の豊漁について「エサが豊富な寒流に乗って大きな魚群が日本近海に集まったことで、たまたま豊漁になった」と分析しています。

今後は漁獲量が減少し、サンマのサイズも小さくなっていくとの予測が。またサンマの寿命は約2年と短く、中長期的な資源量の見通しを立てることは極めて難しいのが現状です。

◆救世主となるか? 大手水産会社が「サンマの完全養殖」に成功

天然資源の先行きが不透明な中、サンマを再び庶民の味として復活させるための取り組みを取材しました。

大手水産会社のマルハニチロ養殖技術開発センターが今年10月、事業化レベルでのサンマの養殖に成功したことを発表しました。

サンマは繊細な魚で、水槽での養殖は長年困難とされてきました。開発を手掛けた桐生社長は「サンマは光や音に非常に敏感な魚で、我々飼育員が近づくと驚いて飛び出したり衝突してしまうとか、また鱗が非常に弱い魚なので、鱗が剥がれてしまうと弱って死んでしまう」とその苦労を明かします。

同社はクロマグロやマダイの養殖で培った技術や知見を応用し、エサや飼育環境を工夫することで、約半年で出荷目安の100g以上にまで成長させることに成功しました。

養殖サンマには、配合飼料によって味のコントロールが可能になるほか、季節を問わず一年中供給できるというメリットがあります。同社は今後、消費者が手に取りやすい価格での早期事業化を目指しています。

この技術がサンマの食文化を守る切り札になるかと期待が寄せられています。

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<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 20:00~21:00 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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