あの井上監督が作る“東京ローカルの生ドラマ『いいひとりの日』”とは…?! 井上剛監督「みんながドキドキしながら動いているのを温かい目で観てください。寝っ転がって」(後編)

2025.10.31(金)

12:00

TOKYO MX開局30周年記念特別生ドラマ『いいひとりの日』を11/1(土)20:00~21:00に放送します。生放送と共に成長してきたテレビ局TOKYO MX が「何が起こるか誰にも分からない」完全生放送ドラマを制作!今回は監督をつとめる井上剛さんに、番組スタッフがインタビューしました。その後編をお届けします。

TOKYO MX開局30周年記念特別生ドラマ『いいひとりの日』を11/1(土)20:00~21:00に放送します。生放送と共に成長してきたテレビ局TOKYO MX が「何が起こるか誰にも分からない」完全生放送ドラマを制作!今回は監督をつとめる井上剛さんに、番組スタッフがインタビューしました。その後編をお届けします。

みなさん2回目ましてです。TOKYO MX制作部の山田です。
私は現在、右も左もわからぬまま、11/1(土)20:00から生放送するドラマ、『いいひとりの日』の準備に追われる日々を送っています。

放送まで残すは数日。
リハーサルも終えて、本当に放送するんだと実感が湧いてきた今日この頃です。
まだ小道具が全然揃っていないけれど、なんとかなるでしょうと思って、この記事を書いています。

前編はコチラ

この伝説的な生ドラマ企画をちゃんと紹介したいと、当初は延江さん(TOKYO MXプロデューサー)と井上監督の対談をお送りする予定でしたが、延江さんがいない!という事態になりまして、、
慌てて山田一人で監督のお話を聞いていたのですが、そこにやっと延江さんが登場!ということで、座談会やっと始めていきます。

でも延江Pなんだか、異常に疲れている様子で…

――――――――

(井上監督)ダイハード??

(MX延江)まじでやばかったです。21時25分に放送のやつが、編集が終わってなくて、今やっと終わって書き出してて(現在:21時頃)、その書き出しが失敗したら終わりです。笑


(興奮している延江P)


(嬉しそうな井上剛監督)

(井上監督)こういうところがすごいよね!すごいなー
ほらこういうところがテレビ局っぽいじゃん。

(MX延江)いやこれがいいんですよね。生きるか死ぬかみたいな。
ところでいまはどんな質問をしてたの?

(MX山田)監督に一番楽しみにしていることを聞いていました。

(井上監督)放送に出ることですよ。

(MX山田)放送に出ること…?

(井上監督)だから放送に流れることですよ!ほらでた!流れた!っていうのが一番楽しみ。

(MX延江)それは流れますよ、流石に!笑

(井上監督)なんだろうね、楽しみ。
本番当日、ホンモノのライブ!で盛り上がっていたらいいなって思います。
みんなで楽しく!見ている人たちも演者さんたちもスタッフも。
なんかもう、しっちゃかめっちゃかになっていると思うけど、その1時間を体験できることが一番楽しみです。

絶対今時ないですから。こういう作り方って。ないですよ!準備期間本当にないですから笑
本当に生でやるって言ったら10回くらいリハーサルやると思うんですけど。

(MX延江)でもそんなにリハやったら面白くなくなっちゃうかもしれない。

(井上監督)そうかもしれない。今回は1回。

(MX山田)不安じゃないですか?

(井上監督)不安ですよ!不安は不安!尺にはまるのかな?とか、あれどうしてたかなとか、昔は生放送をやっていた時どうやってたのかな?とか、思っています。
けどまあいいかみたいな。笑
だから最後まで行き着けるのかどうか楽しみです。
どういう終わりかたに果たしてなっているだろうかというのは楽しみにしている部分でもありますね。

◆『音を削る』って何?

(MX延江)井上さんと一番最初にお会いした時に、すごいなと思ったのが、ドラマを作る時は「音を削るんです」っておっしゃっていて、、

(井上監督)え、そんなこと言ったっけ?

(MX延江)「音を削るってどういうことなんですか?イコライジングとかそういうことですか?」って聞いたら、「違います、削るんです」って言ってて。
いや、答えになってないけど、すごいわこの人って思って。感動したんです。
だから今回一緒にやらせていただいて、それが見れるかと思うとワクワクしていて。

(井上監督)いや、それはこの生ドラマとは次元の違う話ですね。

(MX延江・山田)えー!!(爆笑)

(井上監督)普段の本業の?ドラマ作りでやっている、超リッチな作り方ですね。

(MX延江)どうやって削るんだろうなって思いながら、本番を迎えようと思っていたんですけど。結局「音を削る」ってどういうことなんですか?

(井上監督)芝居の時って当然ガンマイクとかワイヤレスで撮るじゃない?映画とかドラマとかだと、そこに音響効果とかがつくわけじゃない?足音とか。それに音楽もつくじゃない?その3つの音をどうバランスとって入れるか、容れ物の箱は決まっているわけですよ。

長年、僕の作ってるドラマは、音楽がいつもでかいのね、そうするとセリフ(の音量)が落ちるわけ、相対的には。
だから毎回お前の番組うるさいってクレーム来てたんですよ。でもいいんだって言ってやってたんだけど。そうは言っても、自分も成長もしなきゃいけないと思って。そこで、音響のわかるすごいヤツや信頼する音楽家たちが教えてくれたのが、ハリウッドかなんかでやってる手法なんです。

音楽は出したいけどセリフは落としたくないって時にどうすればいいか、「セリフのノイズを切る」、要するに、お米で例えると、玄米じゃなくて白米にするということがいいんだと。
そうすると、そのノイズを削った分余白が生まれるから、音楽は出しっぱなしでもセリフも明瞭に聞こえる、全然落ちて聞こえないっていうようなことです。
そうやって色んなものを削って磨いていくんです。まあ、正確に言えばノイズじゃないんだけど。

日本の映像って音構成だけみるとグシャっと混ざってるんですね。ネットフリックスとか見ればわかるけど。音にパンチがない。
大体日本語って発した言葉の最後のほう、落ちるんですよ、発音的に言語的に。英語とかはパンパンって、破裂音的な言語だから、負けるのね。
さらに彼ら、高い技術でもっと音を削って磨いてくるから、めちゃくちゃメリハリが効いてるの。
だから見てて注意が逸らされないんだよね。引きつけちゃうんだよね音でまず。感覚的に引きつけられる。

(MX延江)それが今回の生ドラマにも?

(井上監督)今回の生ドラマにはそういうのは一切ない笑笑
むしろノイズがすごいかも、現場の。誰かが叫んでいるかもしれないね。
スタッフが「わーーー!」とか言ってるのが漏れてるかもしれないね。

(MX山田)削るどころの騒ぎじゃない?

(井上監督)削るどころの騒ぎじゃない!

(MX延江)残念!笑

(MX山田)ありがとうございます。

(井上監督)なんか(このインタビュー)僕ちゃんと喋りました?大丈夫?

(MX山田)大丈夫です!最後にドラマを観てくださる方に…

(MX延江)ちょっとすみません、これだけは聞いとかなきゃと思って。
MXがネットフリックスに勝つ方法とかってありますか?

◆TOKYO MXがネットフリックスに勝つ方法って?

(井上監督)それ面白いですね。
MXがネットフリックスに勝つ方法はMXならではのやっぱりやり方に尽きるよね。
こういう生ドラマとかね。
あっちは造り込みだから、さっき言った音を削るとか磨くとかをやれる。

(MX延江)削るに対抗するものって。

(井上監督)多分、あの人たちは超リッチな料理を作っている感覚なんですよ。でもやっぱりお客さんはどこかでは手作りの変な料理も食べたいじゃない?

(MX延江)変な料理?

(MX山田)監督も今回そういう気持ちはあったんですか?

(井上監督)そうそうそう。それはそう。
普通は使わない脳みそなんで。
公開離婚とか絶対思いつかないし。そういう必然ないですもんね。他のジャンルで。
バラエティも見せながらドラマが侵食していくっていう。作り方はすごい興味がある、面白いなっていう。
…テレビがやりたかったんだと思う。ネットフリックスとかは作り込んでいるから。
そして、はちゃめちゃな感じを民放でやるならMXでやったほうが面白いと思ったんですよ。
自分的にはフツーのドラマはいっぱい作ってきたからね。

だから勝つ方法は…なんだろうね、、
例えばMXに課金する人はいないと思う。そういう意味ではネットフリックスには負けると思うんだけど
でもネットフリックス見ている人と顧客がぶつからないんじゃないかな。

(MX延江)でもネットフリックスに勝ちたいんですよね

(井上監督)勝ちたいって…ちょっとわかんない。笑
MXで国際エミー賞をネットフリックスよりも先に取るっているのは?日本で誰もとったことない…んじゃないかな?

(MX延江)じゃあ、それを目指そう!

(井上監督)リッチなものも選ばれているけど、全然リッチじゃないドキュメンタリーとかも選ばれてるから、やっぱローカルなものがグローカルになる。と思う。
例えば、ちゃんと外国の方も参加して。全然違う視点で東京のローカルを切り取っていったりするような番組も面白いかもね。カメラマン全員外国人とかね。

あ、でもね、ネットフリックスのプロデューサーこの番組見に来たいって言ってたよ。

(MX延江)マジすか?

(井上監督)めっちゃ面白いですねって企画。

(MX山田)どこを面白がってくれているんですかね笑
…監督そろそろお時間ですよね、、!
最後に今回の生ドラマで一番どこをみてもらいたいか教えてください!

◆最後に生ドラマの見てもらいたいポイントは?

(井上監督)ドタバタですよ!
もうとにかく、この1時間がすごく濃密な1時間になるのは間違いないので、大の大人が駆けずり回ってます、のたうち回ってます、その様をご覧ください!という感じかな。なかなか見れないと思いますよ。
バラエティの人がいて、役者もいて、音楽も生出して、生CMもあって。

(MX山田)MXにしては豪華な布陣で…

(井上監督)なんだろ、なんか他に…
そんなにメッセージのあるドラマではないです笑
でもMXらしいところを僕らなりに松尾くんと一緒に吸い上げてできたドラマです。

(MX山田)演出的にもそういうところにこだわって?

(井上監督)いやそんなこだわらない笑
演出的には、とにかく一杯一杯です。みんながドキドキしながら動いているのを温かい目で観てください。寝っ転がって。

(MX延江)寝っ転がってみてほしい!

(井上監督)そうですね!!大丈夫かなって起き上がってきてほしいですね。


(左:延江プロデューサー 右:井上剛監督)

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以上、井上剛監督と延江Pの座談会でした!
ぜひみなさん、あす11月1日(土)夜8時は9チャンネルをつけて、ドタバタ劇をご覧くださいね!

◆井上剛◆
1968年熊本県熊本市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。93年NHK入局。ドラマ番組部や福岡放送局、大阪放送局勤務を通して、様々なジャンルのテレビ番組制作に関わる。おもにドラマやドキュメンタリーの演出・監督・脚本・構成を手がける。代表作に、数々の話題を生んだ連続テレビ小説『あまちゃん』や大河ドラマ『いだてん』特集ドラマ『その街のこども』土曜ドラマ『ハゲタカ』『64』『トットてれび』などがある。
『その街のこども』『LIVE!LOVE!SING!~生きて愛して歌うこと~』はドラマとドキュメンタリーの融合した演出が注目を集め、映画監督作品として劇場公開もされた。『拾われた男』はDisney+とNHK エンタープライズの共同制作の配信・地上波ドラマとして人気を博した。
2023年7月末日、NHKを退局し株式会社GO-NOW.を設立。フリーの監督・演出家として活動。現在、村上春樹原作の映画「アフター・ザ・クエイク」が公開中。

◆ドラマあらすじ
TOKYO MXの開局からちょうど30年となる2025年11月1日夜8時。
新たな生情報番組『原田龍二のイキタイ!』の放送がスタートした。
番組では視聴者からの応募で採用された企画「ハンコおしてちょーだい」を実施。
11月1日=「いいひとりの日」にちなみ、一般参加の夫婦が離婚届に判を押すという衝撃の企画である。
番組のフロアディレクター・千代田は企画に乗じてあるサプライズをしようと企んでいた。
ところが集まった参加者の中に、番組プロデューサー・内堀の妻・靖子の姿があり、
事態は思わぬ方向へと転がっていく……

<番組概要>
タイトル: TOKYO MX開局30周年記念特別生ドラマ『いいひとりの日』
放送日時: 2025年11月1日(土)20:00~21:00 生放送<TOKYO MX1>
配信:楽天の無料動画配信サービス「Rチャンネル」にてリアルタイム配信
   放送後「TVer」にて見逃し配信 https://tver.jp/series/srrd8dsiu2

出演: 大東駿介、松尾諭 ほか
スタッフ: 企画・監督:井上剛
     脚本:松尾諭
     プロデューサー:延江仁(TOKYO MX)
製作・著作: TOKYO MX

番組ホームページ: https://s.mxtv.jp/drama/iihitorinohi/
番組SNS:
X:https://x.com/namadrama_mx
Instagram:https://www.instagram.com/namadrama_mx/
TikTok:https://www.tiktok.com/@namadrama_mx

番宣動画: 第1弾:https://www.youtube.com/watch?v=FsJPklg_wGk
     第2弾:https://www.youtube.com/watch?v=grx6GzbKEu8
     第3弾:https://www.youtube.com/watch?v=Bl758Udfy50

※内容は都合により変更となる場合があります。予めご了承ください。

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