ノーベル賞受賞の快挙! 坂口志文氏が語る“制御性T細胞”発見から苦節の時期を乗り越え成就した研究の舞台裏

2025.10.20(月)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜20:00~)。「New global」のコーナーでは、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大阪大学・特任教授の坂口志文さんへのインタビューの模様をお届けしました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜20:00~)。「New global」のコーナーでは、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大阪大学・特任教授の坂口志文さんへのインタビューの模様をお届けしました。

◆ノーベル賞・坂口氏が語る“研究の舞台裏”

日本人のノーベル賞受賞者としては29人目、生理学・医学賞では6人目の偉業を成し遂げた坂口さん。今回は、化学講師の坂田薫さんが7月に実施した坂口さんへのインタビューを番組で紹介します。

私たちの体を守る免疫細胞は、ウイルスや細菌を攻撃する一方で、過剰に働くと自己免疫疾患やアレルギーを引き起こすことがあります。

その暴走のブレーキ役を担い、抑制を働きかける細胞として坂口さんが発見したのが、“制御性T細胞”です。

しかし、制御性T細胞を発見した当時は、仮設の域を出ず、世界の研究者からは懐疑的な目を向けられていました。そのため、多くの研究者がこの細胞に関する研究を進めることはありませんでしたが、坂口さんは「自己免疫病という病気のシステムがあり、それを抑えてしまうリンパ球がいることは確かめていたので、何があってもこいつ(リンパ球)が何なのかを知れば、人の病気までつながるのではないかと(研究を)続けていた」と苦節の時期を振り返ります。

そんな思いもあって、その後も坂口さんは諦めることなく制御性T細胞の研究を続け、2003年にその発見が国際的に認められ、免疫学の常識が塗り替えられました。

聞き手の坂田さんからは「研究開発中の医薬品が現実のものになったら、どういったことが可能になるんでしょうか?」との質問が。

これに、坂口さんは「やはり口から飲めるような薬で“制御性T細胞”(の抑制)を下げて免疫反応を上げる、そういう薬が作れれば、頭痛がすればアスピリン、がんになればXXの薬といった具合に、そういう時代がくれば、10年後の話かもしれないが、がんは決して恐ろしい病気ではなくなるのではないか」との展望を示していました。

◆諦めずに研究を続けてきた坂口氏の姿勢に、識者は…

タレントのふかわりょうさんは、「今すでに、(早期発見であれば)がんというものが治る(病気)、乗り越えられるものだとなってきていますけど、(坂口さんの研究がさらに進むことで)より(がんに対する)怖さが薄まるというか、アレルギーなども……」と期待を寄せます。

ここで堀は、「坂口さんは、『やはり大事なのは“バランス”なんだ』という話をされていた。免疫というと、『免疫を高めましょう』とよく言いますけど、強すぎても攻撃してしまうし、弱すぎても機能しない…だからこそのバランスが必要なんだと。そのバランスというものを自分のなかでどのように価値としていつも持ち続けられるかどうか、という話もされていた」と補足します。

社会起業家の白井智子さんは「医学の話なんだけど、哲学的にも聞こえるというか、組織とかにも当てはまる話だなと思いました。すごくありがたいなと思うのは、(坂口さんの研究が進めば)がんもそうだし、アレルギーで自分のせいじゃないのに苦しんでいる人、それこそ学習にも障害が出ている子どもたちをいっぱい見てきているので、そういう苦しみに対する解決策は、すごく光明だと思います」とコメント。

哲学者の萱野稔人さんは、「私も研究者として、坂口先生のことを一番尊敬するのは、このアイディア(“制御性T細胞”)が最初は学会で全く受け入れられなかったにも関わらず地道にずっと研究してきて、こうして偉大な成果を残したのは素晴らしいと思う」と感服。

その一方で、「(世界の研究者たちに)受け入れられない期間に地道に研究した環境というのは、実はなかなか得難いものなんです。今の時代、そういったことが可能なのかというと、大学を取り巻く状況はあまり可能になっていない。どんどんこういった研究(を継続すること)が難しくなっていると言わざるを得ない」と指摘しつつ、「文科省の人たちは、もっと研究者がじっくりと研究できるような環境を整えてほしい」と望みます。

これを受けて、堀は「(聞き手の)坂田さんは、(インタビューの)後半で坂口先生に研究の話を聞いたところ、『日本人はコツコツと誠実に研究を進めると評価しながらも、やはり若手が挑戦できる仕組みが今弱くなっている、と。挑戦と持続のどちらも大事。挑戦する勇気を支える環境を整えないと、若い人が独立するのが難しい。だからこそ科学技術政策を選挙でももっと語ってほしいです』という話がありました」と坂口さんの声を代弁していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 20:00~21:00 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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