行政や企業も後押しし昨年度に比べて10ポイント以上アップした男性の育休取得率、とはいえまだ女性の半分以下…今後の課題は?

2025.10.06(月)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)。今回の放送では、行政や企業が取り組む“男性の育休支援策”に注目しました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)。今回の放送では、行政や企業が取り組む“男性の育休支援策”に注目しました。

◆男性の育休取得率、過去最高を記録するも…

総合人材サービスなどを手掛けるパーソルグループは、男性の育休取得を推進するための取り組みとして、育児をする父親が考えたご飯「育児パパめし」を披露する社内イベントを開催しています。

その背景には、同社の社内アンケートで、女性がパートナーにやってほしい家事として最も多かったのが「料理」だったことがあり、この取り組みを通し子どもを持つ男性に料理を身近に考えてもらい、育児への参加や育休取得につなげることを目的のひとつとしています。

厚生労働省によると、昨年度の男性の育休取得率は前年度から10ポイント以上増えた40.5%と過去最高を更新しましたが、女性の取得率(86.6%)と比べるとまだまだ半分以下。しかし、パーソルグループでは育休促進の取り組みの効果もあり、男性の育休取得率は84.3%となっています。

これについて、パーソルホールディングス人材開発部の馬場さんは「自分がどういう人生を実現したいかやどんなキャリアを築いていきたいかを尊重することが大事だと思っているし、(会社側が)そういう姿勢を持っていることを社員に伝えていくことが一番大事」と言います。今後は育休取得率の促進だけでなく、1ヵ月以上の長期の育休が取得できるよう、さらに社内での環境づくりを進めていくということです。

◆国や東京都、行政も育休取得を後押し!

現在、行政もさまざまな男性の育休支援策を行っています。例えば、国は2022年に「育児介護休業法」を改正し、「産後パパ育休制度」を創設。これにより父親は1歳までの育児休業とは別に出産直後にも育休が取得できるようになりました。期間は産後8週間以内4週間までとされ、2回にわけて取得することができます。

また、東京都は育休の“休む”というイメージを刷新しようと愛称を“育業”に。さらに、2022年7月20日からは男性従業員の育休取得率を一定の割合で達成した企業を「TOKYOパパ育業促進企業」として登録する取り組みを始めました。登録された企業は、都が行う融資を金利の安い特別な条件で受けることができるということです。

こうした取り組みに、キャスターの田中陽南は「制度ができたことはいいなと思うけど、制度があるだけでは広がらない。男性が育休を取れないのは“空気的に”みたいなこともよくいうので、その空気を変える一手ができれば」とさらなる後押しを望みます。

そして、キャスターの堀潤も「(男性が育休を取得しにくい理由の)ひとつには空気。もうひとつは、手取りが減る。やはり残業代ベースで生活設計をしていたりするので、働き手が休むとその分のお金の不足分を誰が補填してくれるのかという不安感。あとは出世、キャリアなどもある」と課題を指摘。

また、田中は「(東京都が行った)名前を変えるのは、結構いいなと思う」と評価する傍ら、「都庁周辺は育業が浸透しているが、私の周りでは育休を長く使ってきた言葉だけあって、まだまだ市民権を得ている感じがする」とも。

愛称に関して、元裁判官で国際弁護士の八代英輝さんは「“業”という言葉は、“業務” となると法律的には反復と継続が必要になる。ですので、一定期間だけ集中的にというイメージではなく反復」と指摘。反復については「国の制度では4週間まで2回に分けてというシステムだが、2日、3日など細切れで取れればより柔軟な制度になるし、それこそが反復だと思う。1回か2回まとめて(育休)を取って終わりではない。そういった意味では言葉を変えて、もっと柔軟に運用できるようにする。子どもが成人するまでというニュアンスが込められているなら悪くないと思う」と持論を述べます。

一方、国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんは「最終的な目標は、家事や介護も含めた完全な男女分担だと思う」と終着点を示しつつ「まだ育休は男性が譲歩して家事をしているような精神的な認知がある。全体の生産性が底上げされ、みんながもっとハッピーで豊かになるためのこれは投資であるという意識の切り替えができれば」と主張。

さらには「過去に私は2回、育児ではなく家事をやってみたが、大変な失敗をした。(家事は)難しいが、そういう屈辱を乗り越えて男性が勇気を持つことも大事な一歩。それが女性のキャリアを押し上げると思う」と自身の経験を踏まえて語っていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 20:00~21:00 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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