TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)。放送では、導入に向け検討が進む“日本版DBS”について取り上げました。
◆日本版DBSとは?
性犯罪に関して今、政府は“日本版DBS”の導入の検討を進めています。DBSとは“Disclosure and Barring Service(前歴開示・前歴者就業制限制度)”の略で、イギリスなどで導入されている制度です。それをモデルに、日本版の「子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認する制度」として来年12月の導入を目指し、7月にはこども家庭庁が制度の素案を示しています。
具体的に検討されていることとしては、例えば、公立小学校の採用の場合、採用候補者が応募をすると、まずは教育委員会がこども家庭庁に照会の申請をします。すると、こども家庭庁から法務省にいき採用候補者に関する犯罪照会が行われ、性犯罪歴についての回答がこども家庭庁へと戻されます。

そこでもし犯罪歴があった場合、こども家庭庁から本人に直接通知され、応募を辞退するか、訂正請求をするかといった機会が与えられ、犯罪歴に間違いがなければそのまま不採用に。一方、犯罪歴がない場合はこども家庭庁から教育委員会にそれが通知され、採用選考が進められます。
この制度は、現状ではまだ検討段階ですが、元衆議院議員の金子恵美さんは「(性犯罪の)被害が出ており、親御さんたちも心配するなか、これは第一歩だと思う」と一定の評価をする傍ら「犯罪歴がなくとも、潜在的に危険性があったかもしれない人もいる。そこをどう拾い上げられるかがずっと問題視されている。より実効性のあるものにしていくには、不断の見直しが必要」とも。

◆日本版DBSは職業選択の自由を侵害!?
日本版DBSについては課題もあります。そのひとつが、“制度の対象範囲”です。現状、対象となる事業は大きく2つに分けられ、性犯罪歴の確認が義務付けられるのは、幼稚園、保育所、認定こども園、小中高校、特別支援学校、児童福祉施設、放課後等デイサービスなどです。
一方、学習塾、スポーツクラブ、ダンススクール、学童保育、ベビーシッター、認可外保育園、サークル活動などは申請して認定を受けることで制度の対象となります。そして、申請するためには一定の安全管理体制や職員数などの条件があります。なお、この他に送迎バスの運転手や嘱託医、栄養士などは業務内容により対象となる可能性があるとなっています。

認定を受ければ、それを公表でき、安全性がアピールできます。しかし、そうなると認定を受けていない事業者に犯罪歴のある人が集中してしまうのではないかといった懸念点も。また、日本版DBSが職業選択の自由を制限し、更生の機会を奪うのではという指摘もあります。
元裁判官で国際弁護士の八代英輝さんは「市場原理が働き、認定なしの業者に(子どもを)通わせる家庭が減るのではないか。そこで(事業者の)淘汰が進むのではないかという考え方もある」と示唆。また、職業選択の自由について「子どもに関わる仕事以外の職業は自由に選べる。特殊な性向を持っている人物は子どもに関わってほしくないというごく当たり前のことを望むだけなので、これが職業選択の自由に関して憲法違反であるというのは違うのではないか」と主張し、金子さん同様に不断の見直しを望みます。

キャスターの豊崎由里絵もこれに同意しつつ、職業選択の自由については「例えば、アルコールで罪を犯した人が酒屋や居酒屋で働くと、(自然とお酒に触れて)もう一度お酒を飲もうと思ってしまうので、そういう意味では、性犯罪歴がある人も(犯罪に関連するものから)引き離すことがその人のためになるのでは」と話していました。

<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 17:59~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx





