東京・中野区の酒井直人区長は9月8日に開いた会見で、建て替え計画が白紙となっている「中野サンプラザ」について、解体までの間、建物の一部を広告として暫定利用する方針を明らかにしました。2026年4月から建物の壁やガラス面を広告スペースとしてアニメ事業者に提供することで、建物の維持管理費を捻出していくということです。

会見で酒井区長は「中野区はアニメに関連する企業が集積していて、これが中野の強み。アニメによるプロモーションをさらに展開する」と説明し、維持管理費として見込む年間500万円程度を建物への広告掲載料で賄う考えで、正面の壁を使ったデジタルサイネージの設置なども検討していきます。
一方で区長は建物を修繕して再利用することについては改めて「困難」だとした上で、再利用した場合の費用は建設費の高騰などにより、当初の100億円から7割増えて170億円に膨れ上がるという試算を示しました。酒井区長は「区民からたくさん意見を頂いて、残してほしいとの意見もある。ただ、区としてはこれまでも表明した通り、駅前の課題を解決するためには1回壊して、建て直さないと厳しいだろうというのが区の考え方」と述べ、理解を求めました。
中野区は今後も地元の住民や団体の意見を聞き、建て替えに向けた新たな方針を今年度中に示す考えです。
<再利用も困難 アニメ広告掲載などで維持費を捻出へ>
中野サンプラザを再利用した場合の費用が1.7倍に膨らむ見込みであることが分かりました。
中野区によりますと2011年の試算では、修繕費などをおよそ100億円と見込んでいましたが、建設費の高騰などを受け、7割ほど増えた170億円まで膨らんだということです。酒井区長はこの日の会見で「170億円を改修で投資した場合、ペイするのは事実上不可能。区の税金なので再利用するのはより厳しくなった」などと説明しています。
中野サンプラザを巡っては、再開発の費用が膨らみ、計画が白紙撤回となる中、再利用することも難しいという状態です。
中野区は解体まで数年以上かかると見込んでいて、維持費の負担を軽減するため、歳入の確保を目指しています。その一環として、壁面やガラス面に広告を掲載することや、エントランスホール活用の検証、デジタルサイネージ設置の検討などに取り組んでいく方針です。