TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)。「New global」のコーナーでは、極右が躍進するドイツの人々から見た“日本人ファースト”に注目しました。

◆“日本人ファースト”に外国人は関係ない!?
先の参院選では参政党が躍進。彼らは外国人問題を大きく取り上げ、“日本人ファースト”を強く訴えていました。そんな参政党の主張について、今年2月の選挙で極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党となったドイツ人は何を思うのか。今回は、来日していた国際政治学を学ぶドイツ人学生、ステン・スタウブさんに話を聞きました。
ドイツの現状について、ステンさんは「ドイツの選挙でも18歳から25歳の若者の多くが極左政党や極右政党に投票した。これほど高い数値はかつてなかったことで、ポピュリズムが若者の間にも浸透していることを示している」と分析。
その上で「“日本人ファーストは外国人関係ない”、市民に問題を提示し、怒りや不満などの感情を持ち込み、そこから政治を作り出す」と指摘し、自分の意見が形成される前の若者が適切なフィルタリングの仕組みがないSNSの情報などで極端な政治思想を刷り込まれていると言います。
一方、参政党の神谷宗幣代表は7月20日にTOKYO MXで放送された「選挙Junction」に出演した際、キャスターの堀潤からの「これを機に、例えば、差別的な発言や行動をする人たちが出てくるかもしれません。そうした人たちに向け、神谷代表からメッセージを」という言葉に対し、「もし外国人を差別したり、追い出したいと思っている人たちが参政党に期待しているならば、それはちょっと違うと思う。我々はそういう党ではありません。ただし、ルールは厳格にし、皆さんが安心して暮らせる日本にしたい。過度な行動や言論は控えていただきたいとお願いしたい」と答えていました。
これに対し、ドイツ出身でドイツ公共放送プロデューサーのマライ・メントラインさんは「外国人は関係ない、ただ“日本人ファーストなだけ”というのはよく聞くが、その先にあるのが、(自分たちと)合わない人、いないほうがいい人物を探す流れになりやすい。それがこのワードの問題点だと思う」と案じます。
◆注視すべき“日本人ファースト”の行方
ドイツの極右政党「AfD」は先の選挙中、“UNSER LAND ZUERST!(わが国ファースト)”を掲げていました。
そして、最近は新たに“リ・ミグレーション”という言葉がよく使われているとか。これは、“イミグレーション(Immigration/移住・移民)”に“リ(Re)”がつき、“再移住”を意味しています。つまり「ドイツから出ていけ」ということで、こうしたメッセージが若者から支持を獲得しているそう。
堀は「ステンさんが話していたように、外国人問題があるから票が入るのではない。不満があるから、その不満を焚きつけるときに外国人問題を利用している」と言います。
こうした状況にタレントのふかわりょうさんは「“日本人ファースト”という言葉自体に排他的・排外主義を直結しない人もいるとは思うが、短期間でそれが一人歩きしたというか、濃度が高まっている気がする」と懸念。そこに無闇に追従することに疑念を感じていると言及します。
弁護士の島田さくらさんは「自分が選んだものや努力して勝ち取ったものを誇ることは問題ないと思うが、そうではなく自分が選んだものではない、例えば、外国人であるとか日本人であるとか、男性である・女性であるとか、選べないものに優劣をつけ、(一方を)排除していく考え方は絶対的によくない。自分が排除される側に回る可能性を上げていくものでもあり、その考え方に沿って日本が動いていくのは、本当に怖い」と危惧します。
経済アナリストの池田健三郎さんも「何かを排除する、何かをファーストにすることは残りのものがセカンド以下、排他的な色彩を帯びる」と指摘しつつ、「そうではなく、この国をこうしようというスローガンがなぜバズらないのか」とポジティブな方向に進まないことを憂慮。
最後に堀は、スタンさんの話でとても興味深かったという一節を紹介。「極右のスローガンに中道右派の人たちがなびいた。その言葉をマイルドにして、もう一度きちんと提案すれば、極右に(票を)投じた人たちも戻ってくるかもしれないということで、ややゆり戻しもあるという」といい、「だから、今回の(日本の)参院選のなかで出てきた“日本人ファースト”を、どの政党がどういう形で取り込んでいくのかは、よく見ておかないといけない」とその後の展開に注目していました。
<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 17:59~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx