お盆休みが明けても東京都内の暑さは収まらず、8月18日の都内は厳しい残暑となりました。

この日の都内の最高気温は府中で39.0℃、八王子で38.3℃、青梅で38.0℃を観測するなど、各地で体温超えの危険な暑さとなりました。また、都心では8月6日以来となる今年2度目の37.0℃を観測し、今年1位タイの暑さとなりました。正午すぎの中央区銀座では、立っているだけで汗が吹き出すような暑さの中、日陰で信号待ちをする人の姿も多く見られました。
この猛暑の影響は“物価の優等生”とも呼ばれてきた卵の価格にも表れてきています。練馬区関町北にあるスーパーでは、卵1パックの価格がゴールデンウイーク前よりも30円ほど上がっているといいます。スーパーアキダイの秋葉弘道社長は「この業界にかれこれ40年近くいるが、ここ最近は暑さもあるし、今の時期としては過去にない異常な高値になっている」と話します。そして「生産者もしっかりやっていけるような価格帯で、消費者も困らず、消費が落ちないで売れ続けるというのは重要でしょうね」と話しています。
一方、買い物に訪れた客は、卵のさらなる値上がりへの懸念を抱いています。お客からは「卵の価格が上がってしまうと食卓に打撃はあると思う。今300円を超えているものもあるが、それ以上いってしまうと上手に調整しながら使っていくことになるのかなと思う」(50代女性)、「これ以上高くなるとやっぱり考えないといけない。でも暑さが続いて養鶏場の人も大変だと思うので。できたらこのぐらいの値段で落ち着いてくれたら」(70代男性)などといった声も聞かれました。
あきる野市にある浅野養鶏場では、連日の暑さにより鶏の飲む水がお湯になってしまい、鶏が水分をなかなか取らなくなり餌も乾燥していることから、鶏の食が細くなっているといいます。取材した日、鶏舎の中は38℃ほどになっていて、鶏は羽を広げて休んでいました。これは暑くて体の熱を下げるしぐさだということです。
こうした影響から産卵率は下がり、卵を産んでもサイズは小ぶりだということです。浅野養鶏場の浅野敬貴代表は「遮光カーテンに水を吸わせると気化熱で少し冷える」と話し、養鶏場では鶏舎の温度を少しでも下げようと屋根の周辺に散水したり、鶏舎の中の風通しをよくするために扇風機を活用したりするなどの対策を講じています。浅野さんは「ファンを回したり余計な電力がかかるので、光熱費は当然多少は増えるが、うちの卵だからと買ってくれるお客さんがいるので…」と話し、光熱費などの経費は増加していますが価格転嫁はしていないということです。
浅野さんは「生活としてはかなりのギリギリ。もう少し世の中全体の給料がよくなるとか購入量が増えたら自分たちにも糧になる。それができないと卵の値段を上げざるを得ない」と苦しい胸の内を語りました。