TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)。「Newglobal」のコーナーでは、キャスターの堀潤が、7月に大地震から3ヵ月以上が経過したミャンマーを取材した模様をお届けしました。

◆大地震から3ヵ月…まだまだ苦しいミャンマーの現状
今年3月28日、ミャンマーでM7.7の大地震が発生。6月26日時点での死亡者数は3,700人以上、負傷者は5,100人以上。しかし、これらはあくまで軍政による発表のため、正確な数字・全体像は分かっていません。
そもそもミャンマーは2021年2月にクーデターが起き、政府は軍によって奪われ、以降は軍が支配しています。そして、民主派や弾圧に苦しんでいた少数民族部隊と軍が今も激しい内戦を繰り広げています。
今回、堀はその戦闘の最前線であり、ミャンマー大地震の震源域でもあるザガインを取材しました。
ザガイン郊外に行ってみると、そこにはモバイルクリニック(移動診療所)が。そこではテントが設けられ、巡回診療が行われています。なぜならザガインでは内戦下で発生した大地震により病院が機能停止。そんななか、現地で長年支援活動を続ける国際NGO「BFDM」代表の林健太郎医師が、移動診療所を開設しました。
週に1度開いている移動診療所には地域の医師やボランティアが集まり、治療や薬を提供するとともに、林医師は診療所に足を運べない人への訪問診療も行っています。
この日は被災生活で脳梗塞を患い、足が麻痺してしまった男性のもとへ。診療を行った林医師は「(彼の)家そのものをなんとかしないと。バリアフリーを含めて介護の問題(がある)。どこから手をつけていいのか正直分からない」と苦しい胸の内を明かし、「こういった患者がここだけではない。とてもじゃないけど1人では追いつかない」と悲嘆します。
必要なのは、医療支援だけではありません。地震から3ヵ月以上経過した今も、この地域では深刻な水不足が続いています。橋の崩壊などで水をはじめとする支援物資の運搬がままならないなか、日本の支援チームが給水活動を行っています。
現地の方からは「病気からの回復が早まったのは、支援の人たちのおかげ。きれいな水を配ってくれたことで、飲み水の心配もなくなった。他の誰にもできないことを日本のチームはやってくれている」と感謝の声が。
また、住環境も大きな問題です。気温が30℃を超える暑さのなか、テントでの生活を余儀なくされている人もいます。国内避難民の女性は「避難民にとっての最大の問題は、住む場所がないこと。ここには居場所がない」と苦しい現状を語り、さらには「収入を得るための仕事もない。こうした政治的状況のなかで、私たちのコミュニティは本当に厳しい状態。助けもほとんどなく、生活のあらゆる面で支援が不足している」とも。
堀によると、ミャンマーの軍政はこうした現状のなか、早々に復興を宣言してしまったために国際援助隊などが引き上げざるを得ないそう。その背景には軍政が外部・国外の力を頼りたくないという思いがあるのですが、林医師らはクーデター前からミャンマーに根を張っていたため今の活動ができているとか。
そして、林医師が嘆いていたように、現状では圧倒的にマンパワーが足りません。住環境の整備のほか、医学療法士やリハビリのための技術など必要なものは多々あり、今なお最前線では多くの課題を抱えています。
◆ミャンマーの現状に、日本の識者たちは…
タレントのふかわりょうさんは「地震を乗り越えることだけでも大変なのに、治安が不安定でインフラも整っていない。ここから立ち上がるのは大変だと思う。トイレも不衛生で感染症が広がる恐れもある。生きていくことが困難な状況のなか、本当に頭が下がる」と林医師らの奮闘に感服します。
また、堀が「国際社会こそしっかりとコミットし、まずは市民の暮らしを支えるという強い決意を示さないと、彼らは取り残されたまま」と主張すると、ミャンマーの人々と古くから交流があるという関西大学特任教授の深澤真紀さんも賛同。そして「東京にはミャンマー料理の店がたくさんあるので、それを検索するだけでも」と支援を呼びかけます。
脳科学者で理学博士の茂木健一郎さんは、堀がミャンマーで撮影してきた映像を観て「こうした現地の映像を観ることで我々の関心も高まる。やっぱりジャーナリストは取材してなんぼ」と現地取材を称賛。すると堀は「現地で根を張って活動を続けている方々がいるから。」「まだまだ支援が足りない。ぜひみなさん力を貸してください」と視聴者に訴えていました。
<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 17:59~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx