「若者の過半数が美術館に行かない」外国人はどう見る?

2025.08.11(月)

11:00

日本のニュースや課題を海外の人たちはどのように見るのか?中国出身の報道部・曹蒙記者が世界から多くの外国人が訪れる東京で聞きました。今回取材したテーマは「日本の若者の過半数が美術館に行かない」というニュースについてです。

日本のニュースや課題を海外の人たちはどのように見るのか?中国出身の報道部・曹蒙記者が世界から多くの外国人が訪れる東京で聞きました。今回取材したテーマは「日本の若者の過半数が美術館に行かない」というニュースについてです。

日本のアートについて情報を集め発信などを行う国立アートリサーチセンターが先日、日本の若者のアートに関する調査結果を発表しました。15歳から25歳の1800人に調査を行ったところ51.7%が「美術館には全く行かない」と答えました。日本の若者の半数が美術館に行かないことについて、外国人はどう思うのか、そして自国の状況についても聞きました。

Q:日本の若者の多くが美術館に行かないということについてどう思う?
ベルギーから:「ちょっと驚きました。もっと多くの人が行ってると思っていたので。日本のアートはとても美しいし、国自体や文化もとても美しいから」
中国から:「私たちは日本に来るたびに、美術展や展覧会に必ず行きます。日本人があまり行かないのは不思議ですね」

日本の芸術の評価が高いがために、若者が美術館に行かないことに対し驚きの声が挙がりました。その理由について聞いてみると…

カナダから:「携帯の画面やテレビばかりを見ていて、本当に重要で興味深いアート作品を見逃しているんじゃないかなと思う」
アメリカから:「SNSのせいじゃないでしょうか。もう美術館に行かなくても、スマホで見られますし、情報も調べられますよね」
ロシアから:「それは世界中で起きていることです。今の時代は自分を楽しませるための手段がたくさんあるし、ストレスもたくさんある。だから多くの人は家にいることを選んだり、文化的な教育ではなく娯楽を求めたりしてしまうんだと思う」

日本の豊富なコンテンツやスマートフォンの普及により、美術から足が遠のいているのではないかと分析します。
一方、学校でのアート教育が十分ではないことが理由だと指摘する人も。

ドイツから:「もしかしたら、学校でアートについて十分に教えていないからかも。私たちは学校でアートを学びますが、もし学校でそれがなければ、アートがどういうものか体験することもない。だから、経験がないと、アートに興味を持てないんじゃないかなと思う。ドイツでは美術を10年間くらい習い、とても重要な科目です」

美術館に行くこと、芸術について学ぶことの必要性については…

アメリカから:「必要だと思う。手先のスキルが身に付きますし、頭の中で何かを創造する力を養うことができるから」
アメリカから:「アートにはその時代や背景が反映されていて、物語が込められているんです」
アメリカから:「文化や歴史の一部としてアートはとても重要なので、必要だと思う。自分たちの文化を知らなければ、将来成功することもできない」

続いて、自国の状況を聞きました。ロシアから来た男性は、政府によるアート教育の支援政策を教えてくれました。

ロシアから:「「プーシキンカード」というプログラムがある。プーシキンは詩人の名前で、そのカードを持っていれば国内の多くの文化施設、特に中心部の美術館などに行くことができる」

ロシアでは14歳から22歳の若者に対し、美術館などの文化施設に訪れるための費用を一部支援しています。

そのほかの国の状況はどうなっているでしょうか?今回、日本で行われた調査では、日本の若者の24.7%が「年に1回以上美術館に行く」と答えています。欧州連合統計局によると、スペインでは16歳から29歳までの45.5%が年1回以上、美術館などを訪問しています。

Q:あなたの国では若者が美術館によく行きますか
スペインから:「はい、今はもっと行くようになってきています。学校で毎年先生と一緒に美術館に行くんです、生徒たちは1年の間に5~6回、いろいろな美術館を訪れます。政府が若者向けに入場料を安くしていて、より行きやすくなっているから。月の最初の週末は無料で入れる美術館もあります」

続いては、ドイツ。同じ調査で年1回以上美術館などに行くと答えた割合は49.1%となっています。

ドイツから:「ドイツの良いところは、多くの美術館が無料で入れるという点です。ドイツでは「すべての絵には意味がある」と学びます。「絵が本当は何を」表しているのか」が分かるようになると、それを自分の人生や自分の作品に活かすこともできるかもしれません」

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