出動の3割占める八王子市「運休に懸念ある」 東京都のドクターヘリ7日間運航休止で

2025.08.06(水)

10:10

東京都が多摩地域を中心とした救急医療対応のため運用しているドクターヘリが、委託先の事業者の整備士不足のため、8月中に一時的に運航休止となることが明らかになった問題で、このドクターヘリの出動のおよそ3割を占める八王子市の担当者は「命を守る手段」の一つとしてドクターヘリの重要性を訴えています。

東京都が多摩地域を中心とした救急医療対応のため運用しているドクターヘリが、委託先の事業者の整備士不足のため、8月中に一時的に運航休止となることが明らかになった問題で、このドクターヘリの出動のおよそ3割を占める八王子市の担当者は「命を守る手段」の一つとしてドクターヘリの重要性を訴えています。

ドクターヘリが運航を休止するのは、8月7日から10日までと24日から26日までの合わせて7日間です。八王子市の担当者は「心肺停止で倒れてドクターヘリで搬送され、一命を取り留めた事例が(今年)あった。そのため7日間であってもヘリが運休してしまうのは少し懸念がある」と語ります。そして「病院や医師会と連携しながら、救急搬送の逼迫(ひっぱく)を減らすように協力していきたい」としています。

東京都によりますと9月以降は整備士を採用するなどして安定した運航が可能となる見通しですが、街からはヘリの運休に不安の声も上がっています。八王子市内で市民に話を聞くと「どこかで助けを求めている人がいると思うから、ドクターヘリが使えないというのはない方がいい」(70代女性)、「いつでも休みなく飛んでほしい」(70代男性)、「緊急事態がいつどこで起きるのかは予測がつかないものなので、常に飛べる体制をぜひとも考えて整備してほしい」(40代女性)などといった声も聞かれました。

東京都の担当者は「委託会社が任務を果たせていないのは遺憾」だとした上で、安定的な運航に向け対応するとして「再発防止策、今後の運航管理の徹底についての報告を速やかに出してもらうよう依頼している」と話します。また「われわれとしては7日間きっちりと陸路によって東京消防庁と連携して迅速に運べるよう調整している」として、医療輸送に大きな問題はないと説明しています。

<運休ドクターヘリ 夏の救命活動への影響は>

救命活動への影響も懸念されますが、東京都のドクターヘリがどのように運用されているのか見てみます。

東京都のドクターヘリは2022年から運用が開始され、主に「命にかかわる重症患者」の搬送のために運用されています。患者に救命医療を行い医療機関に搬送する流れとなっていて、現在、多摩地域の17市町村で活動しています。

夏の多摩地域では登山や水遊びなどレジャーで訪れる人が増えることが想定されます。行楽シーズンの運航休止に対し、東京都の担当者は「夏の救急対策は東京消防庁と連携して、情報共有をしながら対応していきたい」と説明しています。一方、ヘリ事業を委託されているヒラタ学園は「複数の整備士の事情で運航できず、人材確保に向けて全力で取り組む」などと説明しています。

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