戦後80年を節目として、東京・板橋区立中央図書館で展示会が開催されています。当時の様子を振り返る資料が並び、板橋区に疎開してきた子どもたちや学生が軍事訓練を受けている写真などが公開されています。

総務省によりますと、板橋区では空襲による死者は500人、被害を受けた建物は1万2000軒に上り、6万人を超える被害者が出ました。区内でも戦争の被害があった事実を若い世代に伝えたいと、板橋区は今回の展示会を開催しました。
会場を訪れた人は「戦争をやめさせたいです」(6歳・男の子)、「わが子が戦争に行くのはどう考えても耐えられないと思うので、繰り返さないようにとすごく思う」(30代・女性)などと話していました。また、2歳の時に空襲を経験したという80代の男性は「爆弾が落ちるから夜間は灯を消したり外に灯が漏れないようにして料理した」と自身の体験を話した上で「子どもが自発的にこういうこと(戦争と平和について)勉強しましょうということはなかなかないから、学校と家庭できちんと教える。それに尽きると思う」と語りました。
展示会は8月6日まで開かれています。板橋区の担当者は命の大切さを感じ取ってもらい、平和について考えるきっかけにしてほしいとしています。
<戦争の記憶を伝承 都内でも取り組み>
間もなく終戦から80年を迎えます。東京都内でも当時の記憶を伝承しようと、板橋区以外でもさまざまな取り組みが行われています。
杉並区は被爆資料などを8月15日まで区役所で展示しています。また、目黒区は5日から7日まで「平和の特派員」として小中学生を広島市へ派遣するなど、戦争の悲惨さや平和の尊さを伝える取り組みを行っています。世田谷区の郷土資料館では「戦時下のくらし」をテーマに特別展示が行われています。早稲田大学は6日と9日、原爆開発者の罪と悔恨を描いた英語による能舞台「オッペンハイマー」を上演します。