日本のニュースや課題を海外の人たちはどのように見るのか?中国出身の報道部・曹蒙記者が世界から多くの外国人が訪れる東京で聞きました。取り上げるのは「子どもの幸福度」です。

ユニセフは今年5月、先進・新興国43カ国を対象とした「子どもの幸福度」に関する調査の結果を公表しました。この幸福度は精神的健康、身体的健康そして学力などを示すスキルという3つの側面で測られるのですが、調査によりますと日本の総合順位は14位で、身体的健康が1位である一方、精神的健康が32位という結果となりました。この大きなギャップについて、外国人にどう思うのか、そして、自身の国の現状についても聞きました。
Q:(日本の子どもは)身体的にすごく健康ですが、精神的健康は低い、このギャップについてどう思いますか。
フランスから:「多分親子の関係に問題があるんじゃないでしょうか」
フランスから:「子どもたちが孤立してひとりになってしまっていて、十分なコミュニケーションが取れていないのかも」
フランスから:「親が忙しく働いていて子どもに向き合う時間が少ないから、そうすると子どもたちは孤独を感じてメンタルが弱くなるのだと思います。でもこれはあくまでフランスにいる私たちから見た日本に対する印象なんです」
オーストリアから:「他の国と比べたら、全体的に日本の総合順位は悪くないと思う。日本より下位の国もいくつかありますし」
オーストリアから:「日本はとても競争意識が強い社会で、誰もが結果を出さなければならないというプレッシャーがあります。それが精神的な健康に大きく影響していると思う」
アメリカから:「43カ国のうち32位?思ったよりギャップがありますね」
Q:日本の子どもの精神的健康が低い理由はなんだと思いますか
アメリカから:「プレッシャーだと思う。勉強でも音楽でも部活でも、とにかく「一生懸命やらなければならない」という重圧が常にあるように見えます。とにかく高いパフォーマンスを求められる社会だから」
一方、身体的健康が1位であることに対してはこんな意見が。
アメリカから:「身体的健康が1位なのは納得できます。日本の食べ物はアメリカと違って健康的だから。日本の給食は食べたことがあるけど、おいしいし栄養バランスもとてもいい」
続いて、自国の子どもの幸福度について聞きました。
Q:あなたの国でも子どもたちはどんな状況ですか
オーストリアから:「オーストリアではプレッシャーは低めです。学校でもメンタルヘルス支援体制がしっかり整っていて、専門のスタッフが子どもたちの精神的なケアをしています。私たちは学校心理士と呼んでいます。家庭や学校で問題を抱えている子どもが自由にその人に相談して自分の悩みを話すことができる仕組みです」
フランスから:「フランス人は日本人と違って長く仕事しません。親の労働時間が日本ほど長くない。週に35時間くらいの労働時間が決められているので、親が子どもとしっかり向き合う時間を取れることが(子どもの幸福度が高い)大きな原因だと思う」
一方、経済大国アメリカは身体的健康が低水準となっています。アメリカから来た男性は、貧富の差が教育の格差につながっているといいます。
Q:アメリカの教育制度はどうですか
アメリカから:「あまりよくない。僕は私立に通っていたので質はよかったですが、お金も多くかかった。公立は無料だが、将来に役立つ教育はあまり受けられない」
さらに、総合順位が36位のチリから来た男性は、治安との関連性を指摘します。
チリから:「チリでは治安の悪さも大きな問題です。一部の地域では安全が確保されていないので、自由に外出できないような環境があります。それが精神的な健康に悪影響を与えていると思います。正直、チリの子どもたちのIQやスキルが特別低いとは思っていません。でも教育の質に問題があるのは確かです」