年々高まる子どものSNSの誹謗中傷リスク、重要なのは規制か、教育か? 専門家、有識者の見解は?

2025.07.14(月)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)。育児の悩みを解決に導く「トヨサキ育児っと」のコーナーでは、SNSの誹謗中傷リスクについて取り上げました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)。育児の悩みを解決に導く「トヨサキ育児っと」のコーナーでは、SNSの誹謗中傷リスクについて取り上げました。

◆SNSの誹謗中傷リスクから子どもを守るには…

こども家庭庁が、インターネット上のトラブルについて小中高生を対象に調査したところ、「悪口や嫌がらせなどをメール、もしくはSNSなどに書き込みされたことがある」と回答した人は年々増加傾向にあり、2023年は5.4%でした。

そうしたなか、SNSの誹謗中傷を減らすため中高生に向けた新たな取り組みが始まっています。今回は中学生が受けている誹謗中傷のリスクを考える授業を紹介しました。

そこでは、例えば芸能人の写真に対し「写真加工しすぎだろ」といった内容を発信する場合、家族や友人、匿名の掲示板など誰に向けた発信が誹謗中傷になるのかなど専用の教材を使って学びます。

この教材を開発した常葉大学教育学部の酒井郷平准教授は、リスクに対する自分の考えを生徒同士で共有し合うことが大切だと言い、「自分だけの物差しで測ってしまうと『これくらいだったら別に誹謗中傷にならないだろう』と思ってしまったり、受け取る側が誹謗中傷だと捉えればそれは被害として成り立つので、自分がこれまで思っていなかったことを他者と一緒に考えることで視野を広げていく、それを1つの狙いとして教材に入れている」と解説します。

なお、この教材は現在無償で提供しており、Webサイトからダウンロードして活用することができます。子どものSNS誹謗中傷対策について、酒井准教授は「規制するという取り組みもよくあるが、早期から教育していくことが重要になってくると考えている」と話していました。

◆SNSの誹謗中傷を減らすために必要なこと

この取り組みに、元衆議院議員の金子恵美さんは「明らかに誹謗、批判、ネガティブなことはみんなやめると思うが、自分の価値観ではいいかもしれないけど意外とわからない曖昧なこと、受け手がどう取るかは(酒井准教授が)言われたように、教育のなかでみなさんの意見を聞きながら学ぶことが必要かもしれない」と高く評価。

元裁判官で国際弁護士の八代英輝さんは「(16歳未満の子どものSNS利用を禁止とした)オーストラリアのように規制の方向に進むのは最後の手段であり、やはり教育、リテラシーを上げていく作業は必要だと思う」と教育の必要性を訴えます。

これを受けて、株式会社ABABA代表の久保駿貴さんも「思わぬところで人を傷つけてしまう場合もある。やはりこういう教育は必要」と賛同します。

近年は、グループLINEなどでも誹謗中傷を見たことがあるという子どもも多く、そこでその子たちはどんな対応をするかというと「無視をする」、もしくは「関わらない」ことが多いとか。ただ、この対応は被害を受けている子どもからすると「無視をしているみんなが誹謗中傷をしている人と同じように思っているのかもしれない」と捉えてしまう恐れがあり、さらなる誹謗中傷のリスクにつながるそうで、酒井准教授は「どう対応していけばいいかを予測していくことが重要」と注意を促します。

キャスターの堀潤は、誹謗中傷があった際の周囲の対応、リアクションについて「いろいろと共有したい」、さらには「下手に触れてしまうとかえって(相手を)傷つけてしまったり、余計に被害が広がったり、自分の身に危険が迫ることもあるかもしれない」と案じます。

堀の意見に、八代さんは頷きつつ「ただ、(誹謗中傷は)見過ごしていい問題ではないし、何か手を差し伸べる意志を示すことは大事なのかなと思う」と自身の見解を示していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 17:59~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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