日本のニュースや課題を海外の人たちはどのように見るのか?中国出身の報道部・曹蒙記者が世界から多くの外国人が訪れる東京で聞きました。今回取り上げるのは「進む温暖化~化石燃料からの転換は~」です。

世界経済フォーラムは先月、各国で化石燃料から転換が進んでいるかどうかを分析した報告書を公表しました。評価対象の118カ国の中、日本は25位となりました。電力構成比を見てみますと日本は化石燃料による発電、つまり火力発電が7割弱、そして非化石燃料に発電、これは原子力と再生可能エネルギーで3割強占めています。外国人にこの現状についてどう思うのか、自身の国の現状についても聞きました。
曹蒙:「脱炭素化が世界的に進む中、脱化石燃料への取り組みで日本が25位にランクインしていることについてどう思いますか」
フィリピンから:「とても驚きました。でもほとんどのアジアの国より上なのでいい順位だと思います。(Q:なぜそれの順位に驚きましたか?)日本は産業が非常に発展していて、技術力が高い国なので、もっと上位にいるはずだと思っていました。将来的にはきっとランキングが上がると思います」
アイルランドから:「観光客が多いことや人口を考えると、今の順位でもそんなに悪くないのかもしれません。もっと上に行く可能性は十分にあると思います。日本は島国なので、水力や潮力、地熱など、自然エネルギーの活用方法がたくさんあります」
一方、日本の順位について「原子力発電に対する不安」が影響しているのではという意見もあります。
イギリスから:「やはり日本では過去に原発事故があったので、原子力への抵抗感が強いのだと思います。それが影響しているのでしょう」
フランスから:「フランスには原子力に関する多くの研究があり、予防対策もたくさん取られていて、だからこそあまり怖がらずに使えます」
続いて自身の国の状況について聞きました。
イギリスから:「京都議定書などで定められた気候目標を達成しようという強い意志があります。また、ロシアとウクライナの問題以降、ガスへの依存に対する懸念も高まりました。西ヨーロッパには化石燃料の資源があまりないので、風力や太陽光などの再生可能エネルギーを使うことがエネルギー安全保障にもつながります」
アルバ(オランダ王国の構成国)から:「オランダには電力を生み出す風車がたくさんありますし、二酸化炭素排出に対して非常に意識的です。ただその代わりに、国民にはより多くの税金が課されます。だから問題は、果たして人々が地球や環境を守るためにその犠牲を払う覚悟があるかどうか、ということです」
中国出身の女性は、自身の国のイメージ戦略について話してくれました。
中国から:「中国政府は自然は金と銀にも匹敵するという理念を掲げており、国際的なイメージ戦略の一環として、(環境政策などに)力を入れています。新しいエネルギーを動力源とする車の普及がその一例です。ガソリン車よりも環境に優しい燃料を動力源とする自動車の購入を、政府が補助金で支援しています」
今回、中国は再生可能エネルギーの発電容量の拡大などを背景に、過去最高の12位に入っています。
一方、発展途上国では脱化石燃料はどうしたら進むのか、フィジーから来た女性が提案をしてくれました。
フィジーから:「日本のような技術力がある国や他の先進国が開発した技術が、もっと手軽な価格で私たちのような太平洋の小さな国にも届くようにすることが大切だと思います」
各国で進む再生可能エネルギー活用の流れ…しかし、化石燃料の使用をセーブすることへの懸念を口にする人もいました。
インドから:「無理に使うなと強制することは、発展を妨げることになります。(化石)燃料の消費を減らしすぎると、今のようなスピードでは発展できないでしょう。現在のように飛行機や地下鉄が当たり前にあるのは、急速な発展とエネルギー消費のおかげです」