母親だけでなく実は父親にも多い“産後うつ”、そのリスクを下げるための対策は?専門家が解説

2025.07.08(火)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)。育児の悩みを解決に導く「トヨサキ育児っと」のコーナーでは、“父親の産後うつ”について取り上げました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)。育児の悩みを解決に導く「トヨサキ育児っと」のコーナーでは、“父親の産後うつ”について取り上げました。

◆母親だけでなく実は父親にも多い“産後うつ”

国立成育医療研究センターが、生後1歳未満の子どもがいる夫婦を対象に行った調査によると、産後1年間の精神的な不調のリスクがあると判定された父親は11.0%。母親の10.8%とほぼ同水準であることがわかりました。また、夫婦が同時期にリスクありと判定される夫婦もあり、どちらかが不調になるともう一方も不調になるリスクが跳ね上がるということです。

そうしたなか、今回は産後うつにならないよう父親への支援を行っている団体「Daddy Support協会」を取材。まず同団体の代表理事である平野翔大さんは「寝られないことと孤立することの2つは(産後うつの)非常に大きなリスク」と話します。

そして、「父親は本来だったら妊娠中にすべき準備ができていない。パートナーと話し合ってその後の計画を立てていくとか、何が必要か考えるということが必要」と父親の産後うつへの対策を指摘します。子どもが生まれてからは育児に追われ、自身の睡眠時間の確保に目を向けることが難しくなるため、出産前にいかに準備しておくかが大切だと言います。

そこで、父親をサポートする目的で作られたのが「父子手帳」です。これは、Daddy Support協会が2023年に制作。多くの企業や自治体を通じて配布されており、なかには父親がやるべきアクションを網羅しつつ、さらにはチェックリストがついています。

リストには「家事の分担や運用方法についてパートナーと話す」や「出産後にやること、手続きを整理する」、「産後の育児に時間を割けるようなスケジュールを立てる」などの項目があり、父親がやるべきことを事前に確認しておくことで、子どもが産まれてからも睡眠時間を確保することを見据えたスケジュール作りがしやすくなります。

また、妊娠後期にやることとして「自分たちの支援先を整理して、書き出す」という項目もあり、裏面には8つの支援先が記入可能。小児科やベビーシッター、相談できる親戚や友人など出産や育児に困ったときに頼れる支援先をリスト化しておくことで、いざというときも慌てることなく対応でき、孤立を防ぐことができるそうです。

最後に平野さんは「子育てってやっぱり予想外の連続なんですよね。トラブルもなく何事も対応できる状態になっていれば、トラブルが起きてもちょっと頑張ればなんとかなると思うんです。これを作れることで安心感につながると思います」と話していました。

◆父親の“産後うつ”…でき得る対策は?

この父子手帳に関して、キャスターの豊崎由里絵は「ポイントは、妊娠中にお父さんがやるべきことを父子手帳で教えてもらえるところだと思うんです」と評価しつつ、「女性は妊娠すると10ヵ月かけて少しずつ体も気持ちも(出産後の育児の)準備していくわけですが、お父さんからしたらある日突然お家に赤ちゃんが来る感覚」と父親と母親の育児に対する心構えの違いに注目します。

一方、哲学者の萱野稔人さんは、妊娠中にできる限り育児の準備をするということに賛同する傍ら、「例えば、赤ちゃんによって親の負担はかなり違う。なかなか寝ない子もいれば、すぐに泣いちゃう子もいる。赤ちゃんもいろいろで、産まれてから分かるというところでのケアも必要だと思う」と付け加えます。

さらには、別の視点からこの問題の解決策に言及。「日本のお父さんは北欧の国など比べ育児参加率が低いと言われるが、(父親が)家にいる時間を母数にし、その時間のなかでどれくらい子育てに参加しているかを見ると、意外と日本は高い」と指摘しつつ、「そもそも(日本の父親は)長時間労働で家にいないから、家事や子育ての参加時間が短い。ということは、お父さんは長時間労働をし、家に帰ってさらに育児をしていることになるので(負担が大きく)不眠になる。不眠は心身の健康に影響するのでうつになることが結構ある。だから、長時間労働をいかに削減するかという社会的取り組みをしっかり進めてほしい」と切望していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 17:59~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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