気候変動に海面上昇、さらには相次ぐ災害、移住か故郷に留まるか…苦悩する太平洋島しょ国の人々

2025.07.07(月)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)。「New global」のコーナーでは、気候変動に揺れる“太平洋島しょ国”に着目しました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)。「New global」のコーナーでは、気候変動に揺れる“太平洋島しょ国”に着目しました。

◆気候変動で沈みゆく可能性も…

太平洋に浮かぶ島々で構成される「太平洋島しょ国」は今、気候変動により危機に瀕しており、各国で国民を守るためのさまざまな対策が講じられています。例えば、海面上昇により沈みゆく可能性がある小国・ナウルでは市民権を取得できる「ゴールデンパスポート」の販売を始め、89ヵ国にビザなしでの渡航を可能にしています。

また、太平洋島しょ国にはすでに気候変動や災害による国内避難民が約91万人(2010~2021年)います。

それを聞いた株式会社トーチリレー代表取締役の神保拓也さんは「そこまで避難民がいることは全く知らなかった」と驚く傍ら「今まで自分が住んでいたところから追いやられる衝撃は、日本にいると意識することがないので、当事者の気持ちを考えるといたたまれない」と率直な思いを語ります。

◆太平洋しょ国の厳しい現状

こうした太平洋島しょ国の状況について、今回は国連機関IOM(国際移住機関)フィジーコーディネーション事務所の井上悦子さんに話を伺いました。

井上さんによると、住処を移動するにはさまざまな理由があるものの、この地域における最大の要因が“海面上昇”で、それは世界平均の最大4倍ぐらいの上昇率だとか。さらには「災害の頻度も増してきて、より激しい災害が起きている。大洋州では年間平均10〜15のサイクロンが来ている」と厳しい現状を伝えます。

その他にも気候変動による災害で水不足が起きたり、農業ができなくなるなど人々が移動せざるを得ないものの、現地で暮らす人々の移動に対する考えはさまざまだそう。

井上さんは「みんな意見がバラバラで、同じ家族のなかでも意見が違うし、コミュニティのなかでも世代によって考え方が違う。『私たちは移動しない。将来何が起きてもこの土地で死にたい』という人もいるし、ツバルのグループは『多くのツバル人がすでに行っているからニュージーランドが一番いい移住先』と考えている。忍耐強く人の意見をより多く聞きながら、政策とかに反映していかないといけない」と話していました。

なお、気候変動における太平洋地域枠組みには5つの柱があり、そのひとつが「そこにとどまる」で、そう考える方々に災害にも耐え得る地域の強化と支援が必要とされています。

そして、「計画的移転」にあたっては法整備や安心して移動ができるサービスの確保。「避難」に際しては災害発生時に安全に移動できるよう協力すること重要性が指摘され、「移住」については移住先での教育や働き方の支援などが求められています。さらに、病気や障害などで移動ができない「動けない人々」に対してもどのようなサポートをするのかなど、この5つのカテゴリーに分けて支援が行われているということです。

モデルでタレントの藤井サチさんは、現地でサポートされている方々に感服しつつ「先進国が利益のために出すCO2のせいで気候変動が起き、こうして(太平洋島しょ国で)自由に生きる・住む権利が奪われているかもしれないと思うと他人事じゃないと思う」と憂慮。

さらには「日本で海底に鉱物資源が見つかったというニュースを見ると、一度立ち止まって同じ間違いを繰り返さないように、(海底の鉱物資源を)採掘することでどんな影響があるのがちゃんと考えながら、慎重にしていかないと地球がもたない」と危惧すると、キャスターの堀潤も同意。

タレントのふかわりょうさんは、「(太平洋島しょ国は)欧米列強のある意味豊かさの犠牲になっている。これは地球全体で守らないといけない」と警鐘を鳴らします。

そして、キャスターの豊崎由里絵も「先進国が太平洋島しょ国の手助けをしないといけないと思うし、(現地の方々が)移住するとしても移住先がないとできないので、文化ごと受け入れる先、どこが受け皿になるのかちゃんとやらないといけない」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 17:59~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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