内戦続くスーダンで貴重な文化財が破壊…専門家が避難先で文化財を保護・継承する活動

2025.06.24(火)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)。「New global」のコーナーでは、紛争下における文化財保護について取り上げました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)。「New global」のコーナーでは、紛争下における文化財保護について取り上げました。

◆スーダンの内戦で貴重な文化財が…

スーダン国軍トップのブルハン統治評議会議長は3月26日、戦闘を続ける準軍事組織「RSF」から首都ハルツームを解放したと述べ、首都奪還を表明しました。2023年4月の内戦開始以降、ハルツームの大部分はRSFの支配下にありましたが、国軍がRSFの拠点を相次いで制圧し勢力を拡大していました。

また、内戦開始以降、RSFが支配していたハルツーム国際空港が国軍により解放され、スーダン航空はエジプトのカイロなどとの間でフライトを再開。一方、RSFは西部ダルフール地方で勢力を保っており、戦闘継続の構えを崩していません。

スーダンはエジプトよりも多くのピラミッド文化があると言われ、観光資源に恵まれた国。キャスターの堀潤は5年前にスーダンを訪れた際、同国に残るナイル川の文明・文化に起因するさまざまな文化財に感銘を受けたそうですが、内戦が始まった2023年以降、それらの安否が専門家の間でも懸念されてきました。

そして、その懸念は現実のものとなり、かつて堀が訪れたスーダン国立博物館は内戦により崩壊。そこにあった貴重な展示物、遺跡なども破壊されてしまいました。

このように今、世界各地で内戦・紛争が起こるなか、人の命・財産を守る一方で人類が大切にしてきた“文化財の保護”も問題となっています。

コラムニストの河崎環さんは、スーダンの現状に心痛な面持ちで「戦争下にあることで文化・文明が大きく失われていくことについては、むしろ私たちよりもご本人たちが胸を痛めているんじゃないか」と現地の方々を慮ります。

◆各地で文化財を守る取り組みが実施

そうしたなか紛争下のスーダンで、文化財を守る取り組みも行われています。

例えば、スーダン東部カッサラでは内戦下でも文化的な取り組み・アプローチができる場所「カッサラ・ピース・ガーデン」が2月に開園しました。さらに、紅海沿岸ポートスーダンの紅海博物館では、展示改修をして文化財を守ろうという取り組みが行われ、学芸員や専門家の方々が避難先で文化を継承しています。

そして、こうした活動はスーダンだけではありません。アラブ地域全体で文化財を守ろうという取り組みも進んでいます。

「イスラム世界教育科学文化機関(ISESCO)」と「アラブ地域世界遺産センター」は、遺産保護・持続可能性確保に必要な是正措置を取るための専門的な研修を実施。紛争や気候変動などさまざまな問題があるなか、共同で「危機遺産」(紛争などにより普遍的価値を損なうような重大な危機にさらされている世界遺産)のリストからアラブ遺跡の削除を目指しています。

総じて堀は「文化遺産を残し、ものとものが出会う場所があるということが新たなイノベーションの起点にもなる。そういう意味でいうと、私たちもまず(現地のことを)知ることから始めたい」とまとめていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 17:59~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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