<都議選2025>【武蔵野市】保守・リベラルの戦いに新勢力も… 定数1に現職と新人3人が争う

2025.06.18(水)

10:20

東京都議会議員選挙の6月22日の投票日に向け、TOKYO MXでは主な選挙区の選挙戦をお伝えしています。今回は“住みよい街”としても知られる吉祥寺エリアなどを含む「武蔵野市選挙区」です。

東京都議会議員選挙の6月22日の投票日に向け、TOKYO MXでは主な選挙区の選挙戦をお伝えしています。今回は“住みよい街”としても知られる吉祥寺エリアなどを含む「武蔵野市選挙区」です。

武蔵野市選挙区では届け出順に、再生の道・新人の尾花山和哉さん(42)、国民民主党・新人の松井隆雄さん(50)、無所属・新人の笹岡裕子さん(39)、自民党・現職の東真理子さん(59)の4人が立候補しています。この地域は元々、保守とリベラルの両陣営が共に強い選挙区として知られています。武蔵野市選挙区の定数は1で、今回は現職の自民党候補に対し、新人3人が挑む構図となっています。

「小美濃市長と連携を取りながら、現職として進めている事業を止めるわけにはいかない」と力を込めるのは、東真理子さん(59)です。自民党の現職・東さんは、市と連携して進めてきた駅のホームドアの設置などを進めると訴えています。東さんは2024年11月の都議補選で、次点の候補におよそ1800票の差を付けて当選しました。地元の衆院議員や現職の市長らの応援を受け、再選を果たすと意気込んでいます。東さんは「まだ半年しかたっていない。次の4年間をしっかりとやりたいという覚悟を現職として持っている」と話しています。

「生まれ育った武蔵野市、そして東京都をより良い状態にして子どもたちの社会に受け渡す」と訴えるのは、笹岡裕子さん(39)です。無所属の新人・笹岡さんは元市議会議員で、立憲民主党と生活者ネットワークの推薦を受け、家庭の所得に応じた学習支援制度など、子育て政策を中心に訴えています。2年前の市長選挙ではおよそ300票の僅差で次点となりました。前市長や立憲民主党の幹部を務めた蓮舫さんが応援に入る中、市民ボランティアとともに支持の拡大を図ります。笹岡さんは「働く真ん中世代が中心となったボランティア部隊でやっている。未来を感じるやり方を頑張っているところ」と話します。

「右とか左とか言っている人たちがこの街で争っているが、全然面白くない。もっともっと政治を近いものにしたい」と話すのは、松井隆雄さん(50)です。国民民主党の新人・松井さんは経営コンサルタントの経験を生かし、中小企業の成長を促進させ、賃金を増やすことを公約に掲げています。松井さんの演説には玉木代表も駆け付け、国政と連携して物価高などの課題を解決すると主張しています。また「対立より解決」だと強調し「ちゃんと政策本位で、私でいえば経済政策。思想なしで中道のところでやっていける」と支持を訴えます。

「私は政治の世界に技術者の目線を持ち込みたい」と意気込むのは、尾花山和哉さん(42)です。再生の道の新人・尾花山さんはデータ活用の専門家として意思決定の「見える化」が必要だとして、行政手続きなどのデジタル化を加速させると主張しています。初めての選挙への立候補に当たり、インターネットでボランティアを募集するなど“普通の人”が政治に参加することの重要性を訴えます。尾花山さんは「今まで投票してこなかった層やこっちだという強い思いがなかった人に、危機感を持ってもらって、選んでもらえたら」と話しています。

<武蔵野市 近年の選挙の構図は?>

この地域は衆院選の選挙区割りでは「東京18区」で、自民党の土屋正忠さんと立憲民主党の菅直人さんがいわゆる『土菅(どかん)戦争』として激戦を続けてきた、保守層とリベラル層が特に厚い地域として知られています。近年の選挙結果を見てみると、2021年の都議選では立憲民主党の候補が当選し、市長選でも立民系の市長が再選しました。

一方、2023年に行われた市長選では自民系の候補だった現市長が当選しました。さらに2024年の衆院選でも自民候補が当選し、都議補選でも自民候補の東さんが当選しています。ここ3回の選挙戦では、国政の裏金不記載の逆風の中、自民党が3連勝している状況です。

こうした構図の中、8年前=2017年にはいわゆる“小池旋風”で都民ファーストの会の候補が議席を獲得しています。近年の選挙で保守とリベラルの両陣営が争ってきた中、国民民主党と再生の道も支持の掘り起こしを狙っています。

<医療提供体制への不安に… 各候補の主張は>

今回の取材で、武蔵野市の大きな課題として「医療提供体制への懸念」が浮かび上がりました。武蔵野市では民間病院の吉祥寺南病院が2024年10月に診療休止となりました。災害対応病院でもあった吉祥寺南病院の事業継承先は決まりましたが、病院の再開時期は未定です。

こうした医療提供体制への不安に対し、尾花山さんは「根本は何も解決していない。台湾ではシステムで医療情報が一元化されていて、人員などのコストを削減している。東京都でも技術者を積極的に活用して医療の連携を図るべき」、松井さんは「病院の人手不足を解消するため、病院で働く人の住宅補助など、福利厚生・賃金の補助をしていくべき」、笹岡さんは「病院を新設することで、隣接する市のコミュニティーセンターの在り方も含めて幅広く市民の声を聞いて進めるべき」、東さんは「市内の病床数はここ10年間で339床減少したことが問題。このままでは病院の機能を果たさない。病床数の拡充を東京都に求める」と訴えています。

東京都議会議員選挙は6月22日に投票日を迎え、即日開票されます。

■都議選・武蔵野市選挙区(定数1,届け出順・敬称略)
尾花山和哉(42,再生・新)
松井隆雄(50,国民・新)
笹岡裕子(39,無・新)
東真理子(59,自民・現)

RELATED ARTICLE関連記事