<都議選2025>【島部】「非公認」の現職に新人2人が挑む 各候補が島の振興策を訴え

2025.06.17(火)

10:20

6月22日が投票日の東京都議会議員選挙の主な選挙区の選挙戦についてお伝えします。最初に紹介するのは、伊豆諸島や小笠原諸島の11の島が属する「島部」選挙区です。

6月22日が投票日の東京都議会議員選挙の主な選挙区の選挙戦についてお伝えします。最初に紹介するのは、伊豆諸島や小笠原諸島の11の島が属する「島部」選挙区です。

島部選挙区では1議席を巡って、届け出順に国民民主党の新人・伊藤奨さん(34)、無所属の現職・三宅正彦さん(53)、再生の道の新人・奥村光貴さん(25)の3人が立候補しています。政治資金の不記載問題で自民党から非公認となった現職に対して新人2人が挑む構図となっていて、各候補が各島を巡り、島の振興に向けた主張を繰り広げています。

「ゼロからの出発になりますが、しっかりと皆さんのために働かせていただきたい」と声を上げるのは、三宅正彦さん(53)です。無所属の現職・三宅さんは4期16年の実績をアピールし、島しょ部でのリハビリ施設の拡充など、医療体制の強化を訴えています。三宅さんは「リハビリで都内の病院を転々とする現状。なるべく早い段階から島に帰っていただき、島でリハビリをできるような体制を整えていきたい」と訴えます。三宅さんは都議会自民党の政治資金の不記載問題で、幹事長経験者として非公認の処分を受ける中、これまで築き上げてきた地域のネットワークを生かした選挙戦を展開します。三宅さんは「(島の人は)自民党じゃなくてもいいんじゃないのって感じ。いつもと変わらない。公認でもなかなか応援に来てくれないので」と話しています。

「島の文化のある暮らしを守る。文化だと思っています」と主張するのは、伊藤奨さん(34)です。国民民主党の新人・伊藤さんは社団法人の理事として複数の島で観光促進に携わっています。各島の文化を守ると訴え、都心や島を行き来する際の交通費の補助を充実させる政策を掲げています。伊藤さんは「上で決めたことが下に下りてくる。それは現場には合っていない。いくら予算があっても、むしろ島の人は疲弊しているということがたくさんある。だからこそ、島がありたい方向に対して予算を再編集していく」と訴えます。伊藤さんの演説には告示日に国民民主党の玉木代表が応援に駆け付けていて、党の勢いを生かしながら、島で育ち、働いてきた「現場目線」もアピールし、選挙戦を戦います。伊藤さんは「いい風は吹いていると思うが、そこに頼るというよりはローカルの人として現場目線で都政と折衝し、島の未来を考える」と意気込んでいます。

「25歳、若い力で頑張りますのでよろしくお願いします」とアピールするのは、奥村光貴さん(25)です。再生の道の新人で京都大学大学院生の奥村さんは2年前に八丈島に移住してきました。島しょ部での教育支援の推進を掲げ、大学の研究拠点を創設すると呼びかけます。奥村さんは「島にはたくさんのいい資源が眠っている。この研究ができる大学の拠点を作る。そうすることで、小中高一貫の探求学習をやることができる」と主張します。奥村さんは選挙活動をSNSやネット配信で積極的に発信し、島の課題を全国的に伝えて新たな解決方法を見つけていく考えを訴えています。奥村さんは「島の中だけで解決するのがなかなか難しいことになっている。再生の道は島のことを全国の課題にしてもらえる。これがすごく大事なことだと思っている」と話しています。

<各候補者の政策、移住・定住への提案は…>

各候補の政策について、伊藤さんは「島民が島や都心に移動する交通費の補助の引き上げ」と「各島のリスクに合わせた防災強化」を、三宅さんは「島しょでリハビリに励むことができる体制の構築」と「観光・農林水産業の振興」を、奥村さんは「大学の研究拠点を誘致して、島の資源を生かした教育の強化」と「産婦人科医・助産師を配置し『産める島』に」などと主張しています。

また、今回の取材で島の大きな課題として「移住・定住の難しさ」が浮かび上がりました。そこで、解決に向けて各候補者がどのような対策を考えているのか直接聞きました。移住・定住に向けた政策として、伊藤さんは「移住後のコミュニティー支援など、フォローアップ強化で定住につなげる取り組み」、三宅さんは「移住者の住宅探しや島民のUターン支援」、奥村さんは「町営住宅・URなど、島ごとに最適な形での手頃な住宅の入居支援」を、それぞれ行っていくと訴えています。

東京都議会議員選挙は6月22日に投票日を迎え、即日開票されます。(なお、22日の投票締め切り時刻は、利島村・新島村・三宅村・八丈町は午後6時まで、御蔵島村・青ケ島村・小笠原村は午後7時までです。自治体からの情報でご確認ください。)

■都議選・島部選挙区(大島支庁管内・三宅支庁管内・八丈支庁管内・小笠原支庁管内)(定数1,届け出順・敬称略)
伊藤奨(34,国民・新)
三宅正彦(53,無・現)
奥村光貴(25,再生・新)

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