日本のニュースを海外の人たちはどのように見るのか?中国出身の報道部・曹蒙記者が多くの外国人が訪れる東京で聞きました。取り上げるのは、4月に報じられた「過去最大・日本人89万人減」というニュースです。外国人に日本の人口減少や自身の国の現状、また各国の人口政策について取材しました。

総務省が4月公表した去年10月1日時点の人口推計によると、日本人が約89万人減少し過去最大の落ち込みとなりました。日本の総人口1億2380万人、止まらない人口減少の原因として指摘されるのが出生率の低下です。女性1人が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は2023年1.20と、こちらも過去最低を記録しました。これは人口を維持するために必要な目安とされる2.07を大きく下回っています。海外の人は日本の人口減少をどのように見るのでしょうか。
Q:日本では人口が減少していますが、この社会問題についてどう思いますか?
チリから:「子どもを持つことの責任が社会問題になっているのだと思います。各々が自由な時間を楽しみたいので、子どもをあまり持ちたがらないのです。チリも同じ問題を抱えています」
オーストラリアから:「オーストラリアにもこの問題はありますが、日本ほど深刻ではないと思います。オーストラリアにはより多くの人が入ってきています」
続いて聞いたのは自国の現状についてです。ブラジルから来た女性は…。
ブラジルから:「昔のようにたくさん子どもを持つ人がいなくなりました。今は一人だけとか、私も子どもはいません」
人口約2億1642万人のブラジル、2023年時点の出生率は1.57です。日本より出生率が高く人口は微増しているものの2041年以降は減少に転じるとみられています。
Q:なぜ子どもを持ちたくないですか?
ブラジルから:「仕事や経済状況が理由ですね、だから子どもを持つ決断をしていません」
イギリスから来た男性にも自身の国の現状について聞きました。
イギリスから:「イギリスでは、私の知る限り人口は減っていません」
人口約6827万人のイギリス。2022年の出生率は1.57で、日本より高い値をキープしています。こちらの男性によると、行政のサポートが手厚いといいます。
イギリスから:「働けない場合、食料のクーポン、食費補助、住宅補助、特定の品目への補助金などが支給されます。子どもが学校に行くようになれば給食も無料になります。そして最初から政府から現金の支援も受け取れます」
一方、世界的にみて出生率が深刻な状態にあるのが、韓国です。去年の出生率は0・75と世界最低水準となっています。韓国から来た男性は自国の人口政策について話してくれました。
韓国から:「韓国では人口戦略部署を新たに設置し、出産奨励金の拡大、育児休業制度の強化、住宅支援の拡大、そして外国人労働者の受け入れ拡大などを行っています」
こちらも韓国からの男性。出生率が低い背景には、価値観の変化が影響しているのではないかと指摘します。
韓国から:「最近の生活スタイルの変化や一人暮らしの増加に伴い、人々の価値観が個人の人生を重視する方向に変わってきているように感じています」