日本のニュースや課題を海外の人たちはどのように見るのか?中国出身の報道部・曹蒙記者が世界から多くの外国人が訪れる東京で聞きました。取り上げるのは「月に1冊も本を読まない人」が6割を超えるという日本で進む読書離れの現状です。外国人にこの現状についてどう思うのか、また自身の国の現状と理由について聞きました。

日本で進む読書離れ。文化庁が去年発表した調査結果によると、「1カ月に1冊も本を読まない人」が62.6%となりました。約5年ごとに行われる調査では4割前後を推移していましたが、最新となる2023年度の調査で増加、初めて6割を超えたのです。
なぜ読書量は減ったのか…その背景として文化庁が指摘した一番の理由は「スマホなどの情報機器で時間が取られる」でした。
曹記者:「これから日本の読書離れについて海外の人たちはどう見ているのか、話を伺います」
Q:日本の読書率が低くて多くの人が1カ月に1冊も本を読まない、これについてどう思いますか?
シンガポールから:「驚きです。日本は落ち着いた国で、自由時間に本を読む人が多いイメージがあったので意外です」
カナダから:「日本人は読書が好きだと思っていました」「日本は教育水準が高い国だと思っていたので本を読む人が少ないのがとても驚きました」
なぜ低くなっているのか理由を考えてもらうと…
カナダから:「iPhoneやテレビがあるので読書が好きじゃないのかもしれません。カナダやアメリカでも読書率がとても低いです」
続いて自身の国の状況について聞きました。
アメリカから:「以前はもっと良かったかもしれませんが、今は悪化しています。教育制度に問題があり、読書を楽しむ方法を教えてないのが原因かもしれません。読書はすぐに楽しいわけではなくじわじわ楽しくなってくるものです」
ドイツから:「ヨーロッパでも読書離れが進んでいます。インスタグラム、TikTokなどの影響で本を読まない人が増えていると思います」
多くの外国人が読書率の低下について、SNSの影響で読書に楽しみを見出しづらくなっているのではないかと指摘しました。
ブラジルから:「最近の若い人たちはSNSなどに夢中で、読書に集中するのが難しいのかもしれません」
一方、自身の国の読書率が回復しているのではと話す人も…。
カナダから:「今は少しずつ読書が戻ってきているように感じます。ポッドキャストや電子書籍など、読書をしやすくする手段も増えています」
電子書籍などを活用したデジタル読書の普及が読書率の回復につながっていると考えていました。
そして近年、デジタル読書が進んでいるのが中国です。中国では成人の約8割りがスマートフォンで読書をしているといいます。中国から来た女性は、中国人の読書に対する考え方を語ります。
中国から:「中国は本を読む人は多いと思います。本を読むことで自分が普段見られない世界に触れられるという意味もあるから、多く学び、多く読むことで、自分自身をより豊かにできます」
また、読書率が高い背景として、試験が多く勉強意識が強いことを上げました。
中国から:「「知識で運命を変えたい」という意識があるからだと思います。中国では何をするにも「試験」があって、そこを乗り越えるには知識の蓄積が不可欠です」