東京・板橋区は50年、100年先の持続可能な都市の実現を目指し、現在、5つの駅周辺で街づくりを進めています。板橋区の坂本健区長は「人と緑と共につなぐ都市づくり。板橋区版ウオーカブルな街の実現に、各エリアの駅周辺まちづくり事業者がその先導的役割を担っていく」と説明しています。

板橋駅西口周辺では緑を取り入れた駅前広場の再整備を、上板橋駅南口周辺では各家庭で育ててもらった苗を駅前へ植え替えるなど、区民参加型の街づくりも進められています。また、高島平地域では小学校跡地に110メートルのタワーマンション建設や団地の建て替え計画などが進められています。
住み続けたくなる街を目指した再開発計画に対し、区民からは「緑、環境が一番。緑がいっぱい増えた方が人も住みやすいと思う。人が困っている姿があったら助けられる、そういう街になってほしい」(60代・女性)といった声や「公園が増えると、子どもが遊ぶ場所が増えるのでうれしい」(30代・女性)といった声も聞かれました。
区は今後も再開発を進めるとともに、説明会や展示会を通して住民の理解を得ていきたいとしています。
<高島平地域再開発では近隣住民から反対の声も…>
上板橋駅南口周辺地区では2028年度以降の完成を目指して駅前広場の整備が行われています。板橋区は地域住民に土と種を販売し、各家庭で育てた苗が植えられるということです。また、大山駅周辺では駅前広場を整備していて、今後はさらなる道路の整備や鉄道を高架化し、踏切の撤去などを進めていきます。さらに板橋駅西口周辺地区では2029年度完成予定の緑を取り入れた駅前広場の再整備が、東武東上線沿線ではさまざまなエリアでまちづくり協議会が設立され、地域住民が主体となって街づくりを担っていくということです。
駅周辺での再開発が進められている中、高島平地域ではタワーマンションの建設や団地の建て替え計画が進められています。東京ドーム8個分となる高島平団地には中央に18年前に廃校となった小学校が残されていて、この小学校を解体し、跡地に高さ110メートルのタワーマンションを建設する計画です。マンションの入居者数は未定で、低層部にはスーパーなどの商業施設が入る予定です。また、駅近くの団地2000戸分の建て替えも計画されていて、希望した世帯は建設される予定のタワーマンションに移住することができるとしています。しかし近隣住民からは反対の声も聞かれます。近隣住民の中には「反対です。ちょうど私のところの家屋の取り壊しが一番最初。われわれは今のところに、もう年も年だから永住したいと思っている。交通量が増えると交通事故も心配。足が弱い人間は大変だと思う」(80代・男性)、「どちらかといえば反対。人が増えると治安も考えないといけない」(60代・女性)、「こういう所にタワーマンションが1棟建つと景観を損ねるのでは」(70代・女性)と話す人もいました。
再開発に反対する近隣住民の声としてはこのように「景観を損なう」「交通量増加に伴う交通事故の増加」「人が増えることによる治安悪化」といった意見のほか、「日当たりが悪くなる懸念」や「家賃の上昇」「自然の減少」などが挙げられています。こうした反対意見に対し、板橋区は「具体的な計画を示せていないことが心配や不安につながっているのだと思う。個別相談会や説明会を通じて、住民の理解を得ながら計画を進めていく」としています。