豊島区“ミステリーの街”江戸川乱歩旧邸リニューアル 百貨店やバスでイベントも

2025.05.31(土)

11:00

いま、東京・豊島区内では「としま乱歩フェス」が開催されています。日本の推理小説の礎を築き「少年探偵団」や「怪人二十面相」など数々のミステリー作品を世に残した作家・江戸川乱歩が晩年を過ごした豊島区で、区内を走る周遊バス「IKEBUS」を使ったミステリーツアーや、池袋駅直結の東武百貨店でパネル展示を行うなど、ミステリーをテーマにしたイベントを開催し、街を盛り上げています。

いま、東京・豊島区内では「としま乱歩フェス」が開催されています。日本の推理小説の礎を築き「少年探偵団」や「怪人二十面相」など数々のミステリー作品を世に残した作家・江戸川乱歩が晩年を過ごした豊島区で、区内を走る周遊バス「IKEBUS」を使ったミステリーツアーや、池袋駅直結の東武百貨店でパネル展示を行うなど、ミステリーをテーマにしたイベントを開催し、街を盛り上げています。

イベント開催のきっかけとなったのが、5月19日に公開された江戸川乱歩の旧邸宅のリニューアルオープンです。生涯で46回の引っ越しをしたという乱歩が1934年から晩年の1965年までついのすみかとして30年以上暮らした邸宅で、乱歩が過ごした当時の状況をそのまま復元したという応接間には、乱歩が愛用していたという椅子や、床には当時の傷もそのまま残されています。

そして一番の目玉が、乱歩が書庫として使っていたという土壁で作られた蔵「土蔵」です。今回は施設を管理する立教大学の杉本佳奈助教授の案内で、普段は外から見ることしかできない土蔵の内部に特別に入らせてもらいました。

本がぎっしりと並んだ場所について杉本さんは「乱歩が収集した書籍を収蔵しているスペース。特にこちらの棚は、乱歩が当時の探偵小説を海外の原書で集めていたスペース」と説明しました。

本棚に並んでいたのは、海外の推理小説の原書です。当時、ここまで多くの海外の小説が集まる場所は珍しかったといいます。杉本さんは「日本の探偵小説作家の仲間たちが乱歩に本を借りに来たりしていたそうで ここにある板が“本の貸出票”だった。誰の何という作品を何月何日に誰が借りていったということを、本があった場所に代わりに差し込んで、貸出票として使われていた」と紹介しました。

乱歩のきちょうめんな性格がうかがえる場所は2階にもあります。杉本さんは「こちらにあるのが、乱歩が収集した江戸時代の和本のコレクションの“箱だけ”だが、この箱自体が貴重な資料。和本のサイズに合わせて乱歩自身が箱を作り、タイトルをレタリングしていた」と説明しました。さらに、乱歩が「自著箱」と呼んだ自身の作品を箱詰めしてタイトルを書いた箱もそのまま残されています。この土蔵を見るだけでも、江戸川乱歩自身のまめな性格がうかがえます。

江戸川乱歩の貴重な資料の数々を実際に見ることができるこの施設は、入場無料です。

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