オードリー・タン氏が日本の教育現場の大きな課題、AIとの関わり方に言及「学生たちにはAIと戦ってほしくない。電卓と同じように使ってほしい」
2025.05.26(月)
06:50
TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)放送では、台湾の元デジタル担当大臣オードリー・タン氏が日本で行った特別講座に注目しました。

◆オードリー・タンが日本で特別講座を実施!
5月8日(木)、東京・八王子で東京都立大学が行った特別講座に、台湾でデジタル担当大臣をつとめ、行政のデジタル化や新型コロナウイルスへのITを駆使した対応などで国際的にも注目されているオードリー・タン氏が登壇しました。
この特別講座は、東京都立大学が彼を客員教授に迎えたことで実現。会場では来場者から東京や日本が抱えるさまざまなデジタル化の課題に関して質問が飛びました。
例えば、「今、日本の教育現場ではAIとどう向き合うのかという問いが生まれている。公教育の現場で子どもたちとこの問題をどう一緒に考え、何を学んでいく必要があるのか?」という質問に対し、オードリー・タン氏は「子どもたちがAIを使ってリポートを書く方法を学べば、彼らがAIに取り替えられることはない。なぜなら彼らが異なる視点を一緒に提供できるから。集団的知性はとても強みになる。学生たちにはAIと戦ってほしくない。AIを電卓と同じように使ってほしい」と回答。
加えて、都政へのメッセージも。「小池知事・日本の政府は台湾と同様、誰も置き去りにしたくないと考えている。ただ『言うは易し』で人々が無関心であれば政府に対して何も感じなくなってしまう。“無関心”は私たちの敵であり、“違い”は私たちの友であると思う」と話していました。
◆日本と台湾の行政手続きの違い
日本と台湾における行政手続きのデジタル化について比べてみると、日本では国や自治体、企業がそれぞれアプリを作り、それらを市民がダウンロードし、各々に情報を渡しています。一方、台湾では年齢や性別、住所など自身の情報が入った“ウォレット”を作り、そこから必要な情報のみを国や自治体や企業など各所に提供していく流れができているそうです。
キャスターの堀潤は、「しかも、この開発において、国(政府)以外と協力してやっているところが日本と違う。台湾の場合、小さな『g0v(ガブゼロ)』という組織があり、これはいわゆる大きな政府やガバメントではなく市民が作る政府。そこの横断をオードリー・タンさんがしている」と指摘します。
これに続いて、元裁判官で国際弁護士の八代英輝さんは「台湾地震のときの素早い支援も(現地の)NPOやNGOなどが高度に発達していて、市民権を得ているところは今の堀さんの説明と大きくリンクしてくるところだと思う」と補足しつつ「日本は縦の繋がりで、どれかが麻痺すると他で補填できない。その関係性はシステムとしては脆弱だと感じてしまう。横の連携ができていない」との苦言も。
モデルでタレントの藤井サチさんは「台湾のように(行政手続きが)シンプルだと、手続きをする側も処理する側もみんなにとっていいと思う。日本ももう少し手続きが楽になれば」と切望。すると、堀は台湾の「g0v」のような日本の団体「Code for Japan(コード・フォー・ジャパン)」を紹介しながら、日本でも市民自身がテクノロジーを活用して社会課題の解決を目指す“シビックテック”の拡大に期待を寄せていました。
<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 17:59~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx