TOKYO MX(地上波9ch)朝の情報生番組「おはリナ!」(毎週月~金曜7:00~)。「TOKYO LENS」のコーナーでは、TOKYO MXの曹蒙記者が外国人記者の視点から、日本の「わさび」を取材しました。

◆和食に欠かせない「わさび」 日本国内での生産量は大幅に減少
わさびは日本独自の食材で、他の食材の味を引き立てるだけでなく、抗菌作用や抗酸化作用もあると言われています。飛鳥時代から薬草として利用されていたという記録も残っていて、日本食に欠かせないものになっています。
今では海外でも広く消費されています。去年、番組の取材で韓国ソウルのスーパーを訪れた際には、店員が「わさびは輸入したらそのまますぐ売れちゃうんです。1週間経たないうちに在庫が全部なくなります」と話していました。
一方で、わさびの国内生産量は近年大幅に減少しています。農林水産省によると、2005年に約1100トンあったワサビの生産量が、一昨年には350トン程度にまで減少し、20年足らずで3分の1以下になっています。
その理由について専門家は、「温暖化によって気温が上がってきていますので、水の量が減ったり、気温が上昇してわさびが栽培しにくくなっています。あとは災害、大きな台風が起きたりして、わさび田が大きな被害を受けたりしています」と説明します。
◆奥多摩町でわさびを栽培、世界へ発信
自然環境の変化により、近年生産量が減少しているわさび。こうしたなか、都内でわさびの栽培を続けている地域があります。それが奥多摩町です。
わさびの栽培には一定範囲内の温度のきれいな水が絶えず流れ、さらに強い日光が当たらない環境が必要と言われていて、奥多摩の山奥にはその条件のそろった場所がたくさんあるということです。
奥多摩町のわさび専業農家、角井さんを取材しました。奥多摩は「年間通して(水温)12~13度、日照時間30%、ラッキーな場所だと湧き水。東京中を見ても湧き水は1割もない場所」とわさび栽培に適していると説明します。
さらに、山の斜面の狭い沢で栽培されている奥多摩わさびは、細長い形と豊かな風味が特徴だといいます。
実際に採れたてのわさびを食べてみた曹記者は、「(今まで)寿司屋とかで食べたわさびってすごくツンときて、頭が一瞬止まったような感じがするんですが、このすりたてのわさびは本当に辛さだけではなくて、甘さとうまく合わさってすごくおいしい」と話します。
奥多摩のわさび栽培は江戸時代から続くと言われていますが、近年存続が危ぶまれる状況にあったといいます。その原因となったのが、2019年に発生した台風19号。この台風でほとんどのわさびが流された上、増水で石垣が崩れる被害も受けました。
しかし、それでも農家たちは奥多摩のわさびを守っていくことを決意。コンクリートを使わず、自分たちの手で石垣を積み上げ、修復したということです。「何年かに一回、地震や台風が起きて壊されても、もう一回積み直せたりとか、自然の景観を崩さない。時間も労力もかかるけど、つなげて守っていけたら面白い」と角井さん。
そんな奥多摩のわさび農家は現在、わさび田を案内するツアーを開催していて、参加者の約半分が外国人だということです。
角井さんは、日本が原産地だからこそ、わさびの価値を守り発信していきたいと話します。「フランス・中国・韓国・チリ、(わさびは)いろいろなところで育てていたりするんですけれど、ちゃんと日本が通していかないともったいないことになってしまう。食が世界を繋いでくれる日本の1つのキーワードなので、これをまた世界の人に知ってもらえて、遊びに来てもらえたらいいな」と語っていました。
日本の食文化に欠かせない伝統わさび。ここ奥多摩でも栽培を続け、守ろうとする人たちの姿があり、世界に向けて発信していました。
<番組概要>
番組名:おはリナ!
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:山本里菜、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/oharina/
番組X(旧Twitter):@oha_rina
番組Instagram:@oharina_mx