東京都はこの夏の猛暑対策として、エアコンの使用を促すため、水道の基本料金を無償化する方針を明らかにしました。1世帯当たり5000円程度の軽減が見込まれています。

発表で東京都の小池知事は「この夏に限り臨時的な特別措置として、水道料金の基本料金を無償にする。都民の光熱水費を軽減するもの」と、その意義を強調しました。
東京都は今年=2025年の夏に4カ月間、一般家庭向けの水道基本料金を無償化する方針を明らかにしました。小池知事はこの狙いについて、物価高で苦しむ家計を助け、エアコンの使用を促して熱中症予防につなげたいと説明しました。
対象は都内の一般家庭や個人商店などおよそ800万件で、今年の夏の4カ月間の基本料金を無償化することで1世帯当たり5000円程度が軽減される見込みです。東京都はこのため、6月の都議会定例会に358億円の補正予算案を提出する方針です。
会見で小池知事は「大胆かつ効果的な取り組みを迅速に行う。スピード感。この夏に予想される猛暑において、都民が安心して暮らせる環境を整えていきたい」と述べました。また、都水道局が供給していない都内の島しょ部などの地域でも同様の措置が取れるよう、自治体に交付金を支給するため、補正予算案に10億円を盛り込む方針です。
水道基本料金の期間限定の無償化について、都民からは「水道代が安くなれば、確かに(その浮いた分の金額で)エアコンをあまり気にせず使えるかなという部分では、そういう暑さ対策としてはありかな」(60代男性)、「助かります。1つでも無償化されるものがあればいいと思う。娘から冷房は朝から入れるように言われているので、今年はじゃんじゃん使います」(80代女性)といった、歓迎する声も聞かれました。その一方で「多少は冷房に手を出しやすくなるとは思う。いっときでも助かることは助かると思うが、長期的に考えるとどうかなとは思う」(40代女性)、「あまり変わらない。消費税が安くなった方が目に見えていい」(30代男性)と、効果に疑問を感じる声もありました。
<なぜ猛暑対策で「水道基本料」ゼロ?>
東京都議会の自民党・都民ファーストの会・公明党は5月19日、猛暑対策として「物価高騰の中、都民の負担を低減し、安心してエアコンを長時間利用できる環境をつくる」よう、小池知事に対して水道基本料の無償化を要望しました。
エアコンの使用を推進するに当たって、なぜ「電気代」ではなく「水道料金」の減免なのでしょうか。
これについて、要望した会派の幹部は「水道料金ならば電力会社などと絡まず、東京都単体で対応しやすい。実務と実効性を意識した」としています。
一方、20日に対応を発表した小池知事は「家計や財布から出る電気・水道代で、東京都ができるのは水道基本料金だ」と説明しています。