5月13日午前11時前、東京・江戸川区の小松川中学校で、理科の実験後に2年生の生徒6人が体調不良を訴え、病院に搬送されました。

警視庁によりますと、理科の授業では試験管に硫化鉄の破片と塩酸を入れ、硫化水素を発生させる実験を行っていて、臭いをかぐこともしていたということです。理科の授業中に体調不良を訴えた生徒はいませんでしたが、次の授業に入り6人の生徒が体調不良を訴え、病院に運ばれました。6人は頭痛などを訴えていますが、いずれも軽症とみられるということです。
学校に駆け付けた保護者らは「ニュースを見て(子どもが)同じ学校に通っているので、ちょっと様子を見に来た。手が震えてしまった」「怖いですね。(授業は)安全にやってほしい。仕事から帰ってくる途中にニュースを見てびっくりして来た。(保護者への連絡は学校から)ない」などと話していました。
授業は換気のため窓と教室の扉を全て開けて行っていたとみられていますが、警視庁は事故発生の詳しい経緯を調べています。
<硫化水素 過去にも搬送事例 危険性は?>
実験では手であおいで臭いをかぐよう指導していましたが、鼻を近づけて直接かいだ生徒もいたとみられています。その後、頭痛や吐き気など体調不良を訴える生徒が相次ぎ、合わせて6人が病院に運ばれましたがいずれも意識はあり、軽症だということです。
中学校での硫化水素の実験を巡っては、近年では2023年6月に東京・八王子市の中学校で8人が、2024年6月には埼玉・鶴ケ島市の中学校で23人が搬送されています。
硫化水素は無色で、腐敗した卵に似た強い刺激臭を持った物質です。発生源としては、自然界では火山や温泉地帯、人工的な発生源としては汚水を貯蔵するタンクなどが挙げられます。濃度によって危険度が大きく変わる物質で、濃度によっては頭痛や目まい、吐き気を引き起こすほか、さらに濃度が高くなると嗅覚がまひしたり、意識不明、さらには死に至る可能性もあります。