東京・日野市新市長を堀潤が直撃 “大規模データセンター計画”の対応は? 近隣住民に続く不安

2025.05.08(木)

10:20

東京・日野市で大規模なデータセンター建設計画が進んでいます。住民側と事業者側で主張が食い違い、対立にまで発展しつつあります。さらに、隣の敷地には別の大規模開発の兆しもあります。TOKYO MX『堀潤 Live Junction』キャスターでジャーナリストの堀潤が、就任したばかりの日野新市長に、開発の未来について直撃しました。

東京・日野市で大規模なデータセンター建設計画が進んでいます。住民側と事業者側で主張が食い違い、対立にまで発展しつつあります。さらに、隣の敷地には別の大規模開発の兆しもあります。TOKYO MX『堀潤 Live Junction』キャスターでジャーナリストの堀潤が、就任したばかりの日野新市長に、開発の未来について直撃しました。

今回は、番組が2024年12月に放送した『日野市のデータセンター計画』についての続報です。建設が予定されているのは、日野市日野台のおよそ11万平方メートルの日野自動車工場跡地です。周辺に住宅街が広がるこの場所に超高層マンションに匹敵する高さ72メートルの巨大な建物の建設が計画されていて、住民からはデータセンターができることによる電力使用量や排熱量、冷却方法などが一体どうなるのかといった声が上がっています。住民説明会で事業者側からは「機密性が高く答えられない」「計画中でまだ決まっていない」と具体的な返答がもらえず、住民の不安は解消できていない状況です。

さらにこの敷地のすぐ隣の工場跡地の中心にある15万平方メートルの土地が野村不動産に売却され、一部報道では物流センターになるという話もあり、住民からはさらなる不安の声も上がっています。こうした状況の中で4月に日野市長選挙があり、新たな市長が誕生しました。新市長の初登庁に取材に行き、今後この計画についてどのように対応するのか直接話を聞きました。

4月13日に投開票となった日野市長選挙で、古賀壮志新市長は三つどもえの激戦を制し勝利しました。そこで、初登庁した新市長にデータセンター計画への今後の対応について直撃しました。

堀潤が「データセンター問題で、地元住民からもっと説明が欲しい、対話の場が欲しいという声が聞かれた。今後、市としてどう取り組むのか」と問うと、古賀新市長は「各種法令や条例にのっとって適切に指導していくが、市民が求めている、特に環境面のデータについては引き続き開示を求めながら、市民に寄り添った対応を取っていく」と答えました。

さらに市民との合意形成について古賀市長は「市民との合意形成の在り方、特に環境面はそれなりのノウハウは蓄積している。これまでの経験や実績を総動員して合意形成を図っていく」として、市民が求める情報開示や合意形成について、引き続き、市民に寄り添った対応を取ると説明しました。堀潤は「機密に関してはこれから事業者側に説明を求めたいということだったが、具体的にどう進めるのかについては言及がなかった」と取材の印象を語りました。

計画について、2024年12月に事業者と市の担当課との事前協議が始まりましたが、これまで計画に大きな変更はなく、公開される情報についても変わらないままです。こうした事業者や市の対応に、住民たちは今も不安を抱えたままでいます。

計画地のすぐ近くに住む大谷昭夫さんはデータセンターが建設されることにより日当たりがどのように変わるのか事業者側に説明を求めてきましたが、事業者の説明だけでは住環境にどんな変化があるのか分からなかったといいます。そこで大谷さんは計画された建物の模型や3Dデータを自ら作成し、日当たりの変化や建物の圧迫感などを調べたといいます。大谷さんは「日の出が眺められなくなるということに気付いた。近隣住民は気付いていないのでは」といい「私がなぜこれを作らないといけないのかというのが疑問ですよね。反対が出てくる種をまきたくないのかもしれないが、そういうところで地元の理解が得られるのではと思う」と話します。

さらにこの地に新たな大規模計画の兆しが出ています。データセンターの建設が計画されている場所に隣接する日野自動車の工場跡地の中心部およそ15万5000平方メートルの土地について、今年2月、野村不動産に売却されることが決まりました。堀潤は「何に使われるのか。一部報道では物流センターなどができるという報道もあったが、住民の皆さんに対しての説明はまだこれから。果たしてきちんとした合意形成の上で再開発は進められるのか」と問題提起します。

今後の開発の中身についてTOKYO MXの取材に対し、野村不動産は「土地の取得は事実だが、用途の詳細は未定」としています。地元住民の大谷さんは「これだけの大きな土地を開発するのなら、環境影響についての実際の協議を行う。地区計画、高さ制限を設け、空き地も作って 道路も通すなりして、地域の住民と仲良くできる・交流できるような地区計画を作るべきだと思う」と語ります。

住民の不安が続く中、これに対して複雑な思いを抱えている人がいます。日野市に住む有賀精一さんです。日野市議会議員を務めていた有賀さんは、議会でデータセンターの計画について事業者側にしっかりとした説明を求めるべきだと再三にわたって主張していた人物です。4月には日野市長選挙に出馬し、事業者への要求を公約に掲げて1万9000を超える票を集めましたが、およそ2000票差で古賀氏に敗れました。有賀さんは「前市長も答弁では条例にのっとって企業に対して(説明を求める)と言っていたが、直接的なアクションは何も起こさない。これでは全く住民の声をしっかりと企業に伝えることになっていない。新市長にはしっかりそこを認識してほしいと強く思っている。ぜひアクションを起こしてほしい」といいます。

さらに有賀さんはこのデータセンターの問題は日野市だけの問題ではないと話します。有賀さんは「今回のデータセンターは過去の産業とは違う側面がある。国や東京都の規制もはっきり言ってヨーロッパなどと比べて追い付いていない。どうやってデータセンターを日本国内で作っていくのかに対し、規制・環境基準も含め、新しい法整備をしっかりすべき。市長が前に出て、そのことを(国や東京都に対し)しっかり伝えていくのが大事なポイントではないか」と話しています。

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