池袋のよりよい未来に向けて住民・地元企業・行政ができることは?「パブリックミーティング」で実装アイデアを議論!
2025.05.06(火)
06:50
TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週月~金曜21:00~)。番組では、池袋の未来を考える「パブリックミーティング in 池袋」を開催。先日放送した前編に続き、後編の模様をお届けしました。

◆行政と街の距離が近く公民連携意識の強い池袋
公園の再整備や文化、アートの発信などキレイで洗練された街となった豊島区・池袋。しかし、かつては暗い・汚い・怖いの“3K”と言われ、そのイメージはいまだ残っています。そこで今回はそんな池袋のイメージを払拭すべく、コメンテーターのお笑いコンビ・髭男爵の山田ルイ53世さん、ドイツ公共放送プロデューサーのマライ・メントラインさんに加え、豊島区の高際みゆき区長と地元住民、イメージアップに取り組む当事者を迎え、2週に渡り「パブリックミーティング in 池袋」を開催。
前編では池袋が抱える課題を抽出し、既存のイメージを刷新する新たな3Kを提案しましたが、今回の後編では池袋が目指すべき新たな3K実現のために住民・地元企業・行政ができる実装アイデアを話し合いました。
まずは、池袋がイメージアップのため現在実施している取り組みを整理します。“暗い”解消のために行っているのは、駅周辺にある4公園を核とした街作り。加えて、池袋ならではのイベント実施や地下通路のアート化などがあります。そして、“怖い”解消に向けては特殊詐欺や痴漢撲滅のキャンペーンや環境浄化パトロール。さらに、“汚い”に対してはごみゼロデーやゴミ拾いパフォーマンス集団「ゴミ拾い侍」などを設けてきました。
こうした取り組みについて高際区長は「行政だけでやっているものはなく、全て企業や団体、大学など街の人とやっています。それは豊島区ならでは。豊島区は以前から行政と街が近く、公民連携の思いは強い街ですね」と胸を張ります。すると、池袋西口駅前商店会 副会長の前原一仁さんも「地元の人間が『やりたい』と言ったことを行政が支援してくれる文化が昔からある」と同調します。
今回、番組では治安改善のために活動する取り組みのひとつ「環境浄化パトロール」を取材しました。月に約3回、客引きなどが多い地区を重点的に回っているそうですが、区と警察、地元商店街、学生ボランティアなどが協力するとともに高際区長も参加。総勢120人で違法な客引きや路上喫煙を行っている人への声かけ・注意喚起を行っています。
そこに参加する豊島区ぴーすUPがーるの宇崎真里愛さんは「警戒している姿勢を見せること、人の目があることで、犯罪をしようとしている人は“ヤバい”と思うと思うので、歩く様子をみなさんに見てもらって安全安心を感じてもらいたい」とパトロールが犯罪の抑止力になっていると言います。
そして、池袋仲町会 地域活性化担当の土屋康弘さんからは「僕はファンが大事だと思う。やはり(街を)好きになることが大事。好きになればなるほどその街を良くしたいとか自分が持っていきたい方向に動き出すと思う」との意見が。
株式会社nest 取締役の宮田サラさんは、楽しく行うことの重要性を指摘。「池袋に『Cleanup & Coffee Club』というゴミ拾いをして、その後にコーヒーを飲みながらおしゃべりをして友達を増やそうという活動があって、そこに参加されている方は『街をキレイにしよう』、『街を良くしよう』という思いで参加しているというより、『そこに行くと楽しい』、『友達・顔見知りが増える』ことをモチベーションに参加されていたりするので、(そういった形で)ライトな人が気軽に参加できる機会を増やしていくといいのかなと思う」と話します。
◆アニメの街が生まれた背景にあるのは?
また、池袋は近年、新たな特徴を積極的に発信しています。そのひとつが“アニメの街”。例えば、都の施設「アニメ東京ステーション」を開設したり、4月1日には「アニメイト通り」を設定。さらには、ふるさと納税の返礼品としてコスプレ体験なども追加しています。
株式会社サンシャインシティ 常務取締役の川上裕信さんは、池袋駅東西の安心活動にグループ企業として積極的に参加している取り組みを紹介し、「文化が染み付いていく背景には『ルールを守る』の徹底がある。(池袋は)コスプレが社会認知されていない時代からやっていて、細かいレギュレーションを乗り越えて、今日まできています」と新たな文化が生まれた経緯を解説。
ルールに関しては、キャスターの堀潤から「誰が守るのかではなく、誰と作るのか。どの程度広げていくかも重要」という意見が。これに宮田さんも賛同し「もともとあるルール・規制を今の時代に合わせていくことも重要だと思いますし、ルールに加えてマナーをどう醸成していくか。どういうふるまいを作っていきたいかを、きちんと発信していくことが重要だと思います」と加えます。
◆街づくりに重要な“都市ブランディング”とは?
さらに、街づくりの大事なポイントとして“都市ブランディング”があります。横浜商科大学の若林教授によると、都市ブランディングには行政上の“地域”ではなく、人々が共通の感覚を見出せる“プレイス(場所)”をベースにブランディングしていくことが必要だとか。
加えて、活動や発信の中心となるキーマンを発掘し、彼らを軸に地元住民だけで動かしていくいことがベストとも。そしてその際、自治体はブランディングの主導をキーマンに任せ、サポートに徹することが成功のポイントだということです。
そして、池袋がこの都市ブランディングを意識するうえで参考となるのが近年イメージアップを成功させた“神奈川・川崎市”です。川崎市のイメージはここ数年上昇しており、愛着や誇りを持つ住民も増加。その理由のひとつに官民連携の都市ブランド推進事業があり、具体的には音楽フェスや障害者スポーツイベントなどへの助成、活動支援などが挙げられています。
これに対し池袋西口駅前商店会 副会長の前原一仁さんは「区外から多くの方が流入し、若い方も来られる時代になるなか、(地域を担う)成り手が足りないので、それをいかに増やすのか興味深い」と注視。また、マライさんは「外のファンを増やすことは大事で、そのファンに情報を渡し、そこからまた拡散するという情報の発信ができる」と区外の人たちへのアプローチに言及します。
◆池袋のイメージを刷新する具体策は?
最後に、出席者の方々に池袋イメージアップの具体策を伺いました。
前原さんの案は“推しを見つける、当事者意識で発信”。「自分の好きなものを自分目線で発信するのが一番伝わると思う。それをいろいろな人が見て、池袋には面白いものがあることを伝播していくとイメージアップにつながると思う」と主張します。
続いて宇崎さんは「レトロ感がありつつも安全な路地裏、いい意味であやしい池袋みたいなものも人が集まるポイントかなと思います」と“映えるまち”を提案。
一方、宮田さんの意見は“関わりしろを増やし、チャレンジを受け止めるネイバーフッド(近所)コミュニティを育む”。「(区の取り組みなどに)カジュアルに参加できる機会を増やしたり、こんなことやってみたい(という声)を受け止めて、少し範囲を広げて街中の人たちと顔が見える関係性が育まれている、育んでいきたいと思っていることを発信していけるといいなと思います」とその内実を語ります。
川上さんは“産官学連携での情報発信(例えば池袋を舞台にしたショートドラマの配信)・街全体をロケ地にできる仕組み”の実現がよりよい発信につながるとしつつ「IWGP(Ikebukuro West Gate Park)」からIWCP(Ikebukuro Wonderful City Place)に転換を」と新たなキーワードを提示。
また、土屋さんは“行くと面白い池袋(推しの池袋)”。「池袋に来て面白かった思い出があると、また行きたいなと思える。特に子どもたちに非日常の体験をさせてあげる。特別な体験をするとまた来たくなる。それでファンができる。そういった池袋を作れたら」と理想を述べます。
そして、コメンテーターの山田ルイ53世さんは“レディースデー”を掲げ、「(池袋は)乙女ロードなどがあり女性のオタクに優しい街。もともとそういう気質があると思うので、女性が来やすい・得をする街ということをもっと発信していけば、必然的に暗い・汚いといったイメージはなくなると思う」とその真意を明かします。
マライさんは“目を増やす・発信源を増やす”。「外からの目があることで実はここも面白いとか魅力を増やすことができると思う。あとは池袋によく来る人を巻き込んで発信源を増やせば負のイメージを払拭できると思う」と主張。
さまざまな意見に、高際区長は感謝を示しつつ「改めて街にはいろいろないいもの、面白いものがあると思いましたし、そこに関わっている人、関わりたい人、関わってほしい人もいるので、みんなが主体となってパートナー関係を結びたいと思いました。そうしたなかで行政は声を受け止めて応援する。それから規制緩和。街がいろいろなことができるよう、縛っているものはどんどん解き放って、なんでもできる環境を作りたいと思いました」と感想を話していました。
<番組概要>
番組名:「堀潤激論サミット」
放送日時:毎週月~金曜 21:00~21:25 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
「TVer」で放送後1週間Tverにて無料配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx