東京随一の繁華街・池袋、再開発で洗練した街へと変貌する中、さまざまな課題が…“新たな3K”を考える「パブリックミーティング」開催!
2025.05.05(月)
06:50
TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週月~金曜21:00~)。番組では、池袋の未来を考える「パブリックミーティング in 池袋」前編の模様をお届けしました。

◆新たな池袋を考えるパブリックミーティング開催!
ここ数年で整備や開発が進む豊島区・池袋。キレイで洗練された街へと変貌を遂げ、借りて住みたい街ランキングでは毎年上位にランクインしています。
しかし、かつてはキャッチや風俗の無料案内所が多く、“暗い”、“怖い”、“汚い”の3Kが代名詞。そして、それは今も根強く残っており、豊島区による来街者調査でも特に若い世代で怖い・汚いなどの不安要素が散見しています。
そんなイメージからの脱却を図るべく、池袋では官民連携のパトロールなどさまざまな取り組みを実施。豊島区の高際みゆき区長は「怖いというイメージがあるかもしれないが、それを超えてもっとワクワクするものがある“ニュー3K”を作りたい」とイメージ刷新に意欲を見せます。
そこでこの日は「パブリックミーティング in 池袋」と題し、キャスターの堀潤、キャスターの田中陽南、コメンテーターのお笑いコンビ・髭男爵の山田ルイ53世さん、ドイツ公共放送プロデューサーのマライ・メントラインさんに加え、高際区長と地元住民、さらにはイメージアップに取り組む当事者を迎え、池袋が目指すべき“ニュー3K”を考えました。
◆アクセスが良い一方でまだまだ悪いイメージも…
豊島区が2023年に行った調査によると、1都3県からの訪問者の訪問後のイメージで最も多いのは「交通の利便性が高い」が53.5%。次いで「活気がある」が40.5%。一方で「怖い・汚い」が全体では11.2%。年代別に見ると、20代以下の女性は22%。30代の男性は20%となっています。
池袋東口の大通りや公園など公共エリアをリビングのような居心地で過ごせる空間へと変貌させてきた株式会社nest 取締役の宮田サラさんは、いまだに池袋が怖い・汚いと言われることについて、ゴミのポイ捨てや路上喫煙者の存在を認めつつ「豊島区としても(街は)みんなのためのものとおっしゃっているんですけど、その“みんなのため”というのが“誰のためのものでもないような場所”として受け取ってしまっている人もいるのかなと思う。私たちはそれを“自分たちの場所”、“自分たちの街”という意識を変えていくことが重要かなと思っています」と率直な思いを語ります。
ゴミに関しては近年、街中からゴミ箱が減っています。高際区長は「東京オリンピックのときにゴミ箱が街中や駅のホームからなくなった」とその理由のひとつを挙げる傍ら「区としては公園を大事していて、公園から喫煙所を撤去しています。一方で(喫煙者からは)『どこで吸えばいいんだ』という声もあり、区としてはいよいよ池袋西口公園近くに喫煙所を作ります。私たちは人々の健康を守り、街の美化も大事だとPRしながら、(タバコを)吸う場所も作っていこうと思っています」と豊島区の考えを明言します。
◆多様性が育まれる中で新たな問題も…
今回は戦後から池袋に住む齊木さん(86歳)にも話を伺いました。そもそも池袋は戦後、ヤミ市があったため当時から悪いイメージがあったとか。そしてバブル崩壊後、不景気に陥ると客引きが目立つにようになり、さらに西口公園にはカラーギャングやホームレスなどが増加。齊木さんは「真面目な人は通りにくいイメージがあったことは事実」と言います。
そうした状況を受け、住民は警察とともにパトロールを行い、その結果、客引きなどは減少。若者や家族連れなどが訪れやすい街になりましたが、最近は外国人観光客が増加したことによる新たな課題も。「文化も言葉も違うからどうしても争いごとが起きる。これはやむを得ないことだが、非常に多様性のある街。だから人が訪れやすい、それが池袋だと思う」と齊木さんは話していました。
堀も「多様性があるというのは、裏を返せばいろいろな価値観の人がいるということ。そこでどうやって合意形成していくか」と池袋が抱えるジレンマに共感。
高際区長も「齊木さんの世代からすると(池袋は)すごくキレイで安全になっているし、いい街になったと思われるのも事実。一方でインバウンドが増え、いろいろな国から多くの人たちが来ている。外国籍の区民も12%を超えどんどん増えている」と現状を語り、「それは街の活気になり、いろいろな文化の接点ができたり、豊島区の強みだと思うが、区や日本のルールが伝えきれておらず、いろいろな問題が出てきている部分はあるのかなと思う」とも。
ここでマライさんから「12%の外国籍の人の声を聞く機会はあるのか? 外国人も街に愛着を持っているし、そこをうまく巻き込むのは大事」との声が飛ぶと、高際区長は「3月末に新しい計画を作る際に外国人の声も聞いた。そこで私が驚いたのは(外国籍の方々が)『町会に入りたい』と言っていたこと。一方で町会は人手が減って困っている。だからこれをいかに結びつけるか、それが今年の最大のテーマのひとつ」と言います。
一方、町会の地域活性化担当として活動している池袋仲町会 地域活性化担当の土屋康弘さんによると、現場ではすでに外国籍の方々と一緒に町会を盛り上げる取り組みが始まっており、そこで感じた課題は2つ。土屋さんは、「ひとつは入っていいんだという雰囲気作りで、もうひとつは言葉の壁。いろいろな国の方がいるなかでどう関わりを持てばいいのかというところ」と指摘します。
◆再開発・再整備が進む一方で失われるものも…
池袋の再開発は、特に公園の再構築に力を入れています。池袋西口公園は2019年に野外劇場とともに再整備。休日にはイベントが行われ、多くの人で賑わっています。また、東口の南池袋公園は2016年に再整備され、広大な芝生が広がり、子どもが楽しめるだけでなく大人がくつろげるカフェも完備。過ごしやすい環境が整っています。
宮田さんによると、この南池袋公園のカフェは地元企業が参画し、公園に来た方々とのコミュニケーションを重要視しており、それにより安全・安心が育まれているとか。
また、駅東西の安全・安心活動にグループ会社として積極的に参加している株式会社サンシャインシティ 常務取締役の川上裕信さんは「4つの公園を短期間で整備し、新たな街づくりの中心に据えたやり方がいい効果を生み出していると思う」と行政側の判断を称賛。さらには「そこに事業者を入れ、ただ商売をするだけでなく管理も含めてやる。その仕組みを作ったことが行政側の都市づくりとして良くて、それをさらに活用すべく、みんなでアイデアを出し合いながらやっていこうといろいろなプレイヤーが集まったプラットフォームを運営し始めています」とさらなる今後の展開を示唆します。
再開発が進む一方で、堀からは「全てが漂白されていくことがいいことなのか」との疑問が。山田ルイ53世さんも「雑味・えぐみがなく、全部クリアですっきりすると、街として面白みがないんじゃないか」と賛同すると、高際区長は「西口の再開発の計画を作っているなか、全部をキレイにするのがどうなのか。どこにでもあるようなビルが建つキレイな街は池袋っぽくないという意見もある。いろいろなものがあるというのも残しながら(考えたい)と思っています」と話します。
◆池袋が目指すべき方向性、新たな3Kは?
最後に、今回の出席者に池袋が目指すべき新たな3Kを発表してもらいました。池袋西口駅前商店会 副会長の前原一仁さんが挙げたのは“高層・高質・高活”。「再開発でできる高い建物に起爆剤効果を期待しています。“高質”は高品質のサービスを提供する街を目指そうということで、“高活”というのは(池袋は)エンターテインメントに力を入れているので、そういった活動もクオリティの高いものを」と解説します。
豊島区ぴーすUPがーるの宇崎真里愛さんの考えは“キレイ・カッコイイ・暮らしやすい”。「街の人が自分たちの街のために自ら活動に参加していることが“カッコイイ”と思うし、孤独にならない、住んでいてポジティブな気分になれる安全安心の街に」と理想を吐露。
そして、宮田さんは“心地よさ・関わり・寛容”。「街中がリビングのように心地よい場所になってほしい」と望み、「小さな企業や個人で活動されている方などいろいろなレイヤーの方の関わりが生まれ、その人たちが街に関わっている動きが生まれているので、そこをもっとPRできれば」とコメント。
さらに、川上さんは“協働・共奏・感動”。「ともに作り、ともに奏でる感動都市。大きいところからも小さいところからも感動が生み出されてくる街を作り、外から来た人たちにもそういう街だと評価されるような街に」と話します。
一方、土屋さんからは“K からCへ”と変化球が。「3Kというと悪いイメージがあるので、“K”を手放して“C”にしたらいいんじゃないか。みんな違っていいという観点から(カラフル・クリーン・クリア・クールなど)さまざまなCをコンセプトにすると面白いと思う」とその意図を語ります。
山田ルイ53世さんは「池袋に限らず豊島区は濃ゆいお店が多い。その独特な濃ゆさ、文化を押していけばいいと思う」と“KOYUI”を提案。
一方、マライさんは「今までの池袋もすごく多様・多彩だったと思うので、むしろそれを極めてほしい。そうしてファンを増やせばいろいろな課題も解消されるのではないか」と“国際色豊かで極め系のカルチャー拠点”を目指すべきと熱弁していました。
<番組概要>
番組名:「堀潤激論サミット」
放送日時:毎週月~金曜 21:00~21:25 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
「TVer」で放送後1週間Tverにて無料配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx