日本で「食品ロス」は年間472万トン発生していて、そのうちの半分が企業や店から発生する「事業系食品ロス」です。こうした食品ロスを減らすため、社員食堂やホテルのビュッフェなどで作り過ぎてしまった料理を、必要とする人々に無償で提供する「かんしょくプロジェクト」が都内の団体によって2025年2月から行われています。

これまで、日本では安全面の明確なルールがないことなどを理由に、調理済みの食品の再分配は行われていませんでした。国内初の試みとなるこのプロジェクトでは協力企業などと実証実験を重ね、安全面を確認し、消費者庁や東京都とも情報共有しながら運用しているということです。利用者からは「(余った食品を)処分するのにもお金がかかる中、おいしく食べてもらう取り組みはすごくいいと思う」といった声も聞かれました。
プロジェクトの代表を務める柏倉美保子さんは、このプロジェクトで2つの社会課題を同時に解決していきたいとしています。柏倉さんは「1つは日本社会のフードロスをいかに解消して、なくしていくか。そういったフードロスを再利用することで、多くの世帯に食事を届けられる。もう1つは、食料価格が非常に高くなっている中、多くの困っている世帯にも届けていける。2つの社会課題を解決しているのではないかと思っている」と話しています。