脱毛大手「ミュゼプラチナム」で混乱 2カ月超の給与未払いも…従業員から悲痛な声

2025.04.24(木)

10:00

脱毛大手の「ミュゼプラチナム」が3月から全店舗が休業となっています。今回の経営トラブルの経緯と、従業員の現状をまとめました。また、運営会社の社長を取材しました。

脱毛大手の「ミュゼプラチナム」が3月から全店舗が休業となっています。今回の経営トラブルの経緯と、従業員の現状をまとめました。また、運営会社の社長を取材しました。

全国169店舗・430万人の顧客を抱える脱毛大手の休業は突然のことでした。ミュゼプラチナムは3月21日、ホームページ上で「新たな経営体制への移行に伴い、誠に勝手ながら全店舗を一時休業とさせていただきます」と、従業員や顧客に事前の相談なく休業宣言を出しました。そして「新たな経営体制への移行」を理由に、その翌日から実際に全店舗が休業となりました。

その後、明らかになったのは全従業員への給与の未払いをはじめとしたずさんな経営体制でした。2024年11月振り込み分の給与から支給に遅れが出始め、今年=2025年1月振り込み分は3割、2月と3月分は全額の給与が支払われていません。

未払いが続く中、休業宣言から10日後の3月31日、従業員に対するオンライン説明会が開かれました。説明会の中でミュゼプラチナム運営会社・MPHの高橋英樹社長は「皆さんにも僕にも、少なからずミュゼプラチナム全体で売り上げが上がらなかった原因がある」「3月31日付で会社は解雇する方向で進めている」と述べ、一方的にほぼ全ての従業員およそ2500人に対し“解雇”が通達されたのです。

一斉休業まで店舗で勤務していた従業員に話を聞きました。従業員のAさんは「とにかく金銭的に一番つらいので、とにかく給料を払ってほしい。貯金自体は今月のカードの引き落としが恐らく最後。もう貯金は底を突く状態」といいます。突然の“解雇”を受け、今は日雇いのアルバイトで何とか生計を立てているというAさんによると、給与の遅延や未払いの連絡はいつも当日で、会社への怒りを募らせていたといいます。Aさんは「給料日当日に『申し訳ございません』と連絡が来て、いつまでに残りを入れますと連絡が来るが、その期日になって『やっぱり全額は無理でした』という状態だった。100万円以上の給料を人質に取られている状況。新しい仕事に就ける精神状態ではない。こんな気持ちで面接とか絶対できないし、そういう気力も湧かない」と語りました。

残ったのは「働く」ことへの不信感、そして日々対面でやりとりをしていた客への罪悪感でした。Aさんは「信じて通ってくれていたお客さまに、私たちの口から何も伝えることができないまま店を閉めることになってしまった。本当にそこだけがすごく申し訳ない」と話します。

別の従業員からは経営陣の説明不足を指摘する声が聞かれました。従業員のBさんは「従業員に対してしっかり説明がされていないので、誰を信じたらいいのか、(会社は)何をしているのかというところが一番怒っている」と話しています。

今後の運営について従業員向けの説明会が何度か開かれはしたものの、給与の未払いや生活への保障など、従業員の疑問が解消されるものではなかったといいます。また、既に提出した退職届の行方も分からないとBさんは不安を口にします。Bさんは「2月に出した退職届が本当に受理されているのか、分からない状態になっている。(賃金は)いつ払われる予定なのか、支払う気がそもそもあるのか。その不安が拭えない限り、普通の生活にはなかなか戻れない」といいます。

退職届は受理されると再就職などで必要となる行政上の書類が届く流れですが、女性の下にはいまだ届いておらず、リスタートを切れないもどかしい状態が続いています。

従業員から不安や不満の声があふれる中、ミュゼプラチナム側は“一斉解雇”を宣言した5日後となる4月5日、説明会の場で方針の転換を従業員に伝えました。高橋社長はこの中で「3月28日と3月31日の説明はとても分かりづらい説明になった。申し訳ありませんでした」とわびた上で「皆さまは解雇ではございません。退職勧奨という、会社都合での退社を推奨している」と説明しました。

<社長「未払いは年内に支払い」謝罪の言葉も…>

400万人を超える顧客、そして2500人の従業員の混乱を招いた事態について、TOKYO MXはミュゼプラチナムを運営するMPHの高橋英樹社長に取材を申し込みました。

高橋社長がまず口にしたのは「感情的な発言をしてしまったこと、謝罪させてください。申し訳ありませんでした」と、従業員に伝えた“一斉解雇”発言についての謝罪でした。また、感情的な発言だったという「解雇」から、あくまで従業員の同意の上での退職となる「退職勧奨」に訂正したことで、従業員たちのさらなる混乱が生まれてしまったとして「私たちMPHが有利になるような形で退職勧奨に変えたわけではない。解雇することで『いち早く失業保険がもらえるのではないか』というのが意向だったが、そこはしっかりと調べた上で伝えるべきだった」と釈明しました。

そもそもなぜこれほどの未払いが発生したのかについては「給料日前に給料の金額相当額を(業務提携先から)資金提供してもらう予定だったが、給料日前日になって資金の供給が難しいと連絡があった」と弁明しました。そして、これまでミュゼプラチナムとして従業員側に示していなかった未払いの給与については、年内に支払いを完了する方針だと明らかにしました。高橋社長は「未払い金を5月中に確定させて、一日でも早く、少しずつでも給料が払えるように進めていきたい。年内には未払い金の支払いを全て完了させる予定」と述べました。

また、退職届については「退職勧奨」を受けて提出されたものは順次受理の作業が進められていて、すでに届け出た人のうち800件への退職を証明する書類などの返送作業が完了しているということです。

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